俺の光
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俺の名前は吉良ヒロト。かつては『基山ヒロト』という名前だったけれど、俺を拾って育ててくれた吉良財閥を継ぐため、吉良家に養子に入った。
それまでの勉強はとても大変だったけれど、俺の秘書になった緑川や、俺と同期のお日さま園出身のメンバーが助け合ってくれるから、俺もこうして社長業に励むことができる。
「社長、本日の業務はこれで終了です」
「そうかい? じゃあまだ時間はあるし、明日の業務を少しでも――」
「あー! ダメダメ!」
さっきまで秘書として振る舞っていた緑川は、俺が手を出そうとした書類を引ったくった。業務が終了すれば家族であり友達の姿になるから、タメ口になる。
終了といってもまだ14時だし定時まで時間はある。急ぎの仕事はないとはいえ、なんで止めるんだ?
「最近のお前、根詰め過ぎだぞ。フィフスセクターの事後処理が終わってひと段落しているんだ。少し休めよ」
「だけど、せっかく順調に軌道に乗っている今だからこそ、やれることはやっておかないと」
「だからダメだって。弘法にも筆の誤りと言うだろ。仕事をがんばるのはいいが、それだとかえって失敗するかもしれない。――だからさ、俺から提案があるんだ」
「提案?」
「たまには里帰りして来いよ」
☆☆☆☆☆
緑川から(ある意味)会社を追い出され、俺はとある駅を降りると、最寄り駅まで歩いて向かった。車で来てもよかったけど、時間もあるしゆっくりと景色を見たかったというのも理由の一つだ。
この十年で回りの景色は変わったところもあれば変わらないところもある。昔はあの公園で遊んだなとか、学校の帰りに寄っていた店がなくなって新しい店ができているとか、気づかなかったこともいっぱいある。確かにこうしていれば仕事に没頭しすぎていたなと思う。
そうこう考えている内に目的地・お日さま園に着くと、庭先で掃除をしていた女性を見つけた。向こうも俺に気づくと微笑んでくれた。
「お帰り、ヒロト」
「ただいま、姉さん」
俺を迎えてくれたのは、昔からお世話になって姉のような存在だったけれど、俺が養子になったことで名実共に俺の姉になった吉良瞳子さん……いや、神崎瞳子さんだ。
――姉さんは俺を招き食堂に連れて行ってコーヒーを淹れてくれた。リフォームをしたこともあったけど、昔の面影は残っている。でも、今日は平日とはいえ誰もいないなんて珍しいから、向かいの椅子に座った姉さんに尋ねる。
「子供たちは?」
「まだ学校に行っている子もいるけど、他の子供たちは裏のグラウンドにいるわ」
「へぇ、今いる子供たちは結構活発な子が多いんだね。義兄(ニイ)さんは?」
「今日の夕方に出張から帰って来るわ。あの人もあなたも、フィフスセクターの事後処理、お疲れ様」
「俺のほうは大丈夫だよ。緑川たちもいるし、響木さんたちレジスタンスと協力しているからやりやすいし」
瞳子姉さんの夫であり、俺の義兄にもあたる神崎シンさんは、神崎グループの社長だ。十年前に世界大会へ出場したときはコーチとして世話になったこともある。――『彼女』がコーチとして活躍しているのも、義兄(ニイ)さんからいろいろと学んだって言っていたな。
「……フフッ」
「どうしたの?」
「ちょっと思い出したのよ。あなたとこうしてゆっくりとできるのは何年ぶりかしらね」
「ああ。そういえばそうだったね」
「中学三年のときだったわね。あなたが吉良財閥を継ぎたいって言ってくれたのには驚いたわ。私は園の子供たちを跡継ぎにする気はなかったし、ずいぶんとびっくりしたものよ。私たちへの恩とか気にしなくていいって言ったのに頑なだったわね」
「父さんや姉さんへの恩も理由の一つだけど、俺がただ継ぎたかったんだ」
思い返してみれば、年末年始など帰省したときも緑川や誰かしらと数人で一緒だったから、俺一人というのは確かに珍しい。子供の頃は姉さんとこうするのは当たり前だったのに。
それに吉良財閥を継ぐのは中学のときに『いきなり』とかじゃなくて、小さい頃から心のどこかで考えていたことだ。俺を拾ってくれた父さんの役に立ちたい、育ててくれた姉さんを支えたいって。それに事務仕事はもともと性に合っていたみたいで、特に苦とも思わなかった。
それまでの勉強はとても大変だったけれど、俺の秘書になった緑川や、俺と同期のお日さま園出身のメンバーが助け合ってくれるから、俺もこうして社長業に励むことができる。
「社長、本日の業務はこれで終了です」
「そうかい? じゃあまだ時間はあるし、明日の業務を少しでも――」
「あー! ダメダメ!」
さっきまで秘書として振る舞っていた緑川は、俺が手を出そうとした書類を引ったくった。業務が終了すれば家族であり友達の姿になるから、タメ口になる。
終了といってもまだ14時だし定時まで時間はある。急ぎの仕事はないとはいえ、なんで止めるんだ?
「最近のお前、根詰め過ぎだぞ。フィフスセクターの事後処理が終わってひと段落しているんだ。少し休めよ」
「だけど、せっかく順調に軌道に乗っている今だからこそ、やれることはやっておかないと」
「だからダメだって。弘法にも筆の誤りと言うだろ。仕事をがんばるのはいいが、それだとかえって失敗するかもしれない。――だからさ、俺から提案があるんだ」
「提案?」
「たまには里帰りして来いよ」
☆☆☆☆☆
緑川から(ある意味)会社を追い出され、俺はとある駅を降りると、最寄り駅まで歩いて向かった。車で来てもよかったけど、時間もあるしゆっくりと景色を見たかったというのも理由の一つだ。
この十年で回りの景色は変わったところもあれば変わらないところもある。昔はあの公園で遊んだなとか、学校の帰りに寄っていた店がなくなって新しい店ができているとか、気づかなかったこともいっぱいある。確かにこうしていれば仕事に没頭しすぎていたなと思う。
そうこう考えている内に目的地・お日さま園に着くと、庭先で掃除をしていた女性を見つけた。向こうも俺に気づくと微笑んでくれた。
「お帰り、ヒロト」
「ただいま、姉さん」
俺を迎えてくれたのは、昔からお世話になって姉のような存在だったけれど、俺が養子になったことで名実共に俺の姉になった吉良瞳子さん……いや、神崎瞳子さんだ。
――姉さんは俺を招き食堂に連れて行ってコーヒーを淹れてくれた。リフォームをしたこともあったけど、昔の面影は残っている。でも、今日は平日とはいえ誰もいないなんて珍しいから、向かいの椅子に座った姉さんに尋ねる。
「子供たちは?」
「まだ学校に行っている子もいるけど、他の子供たちは裏のグラウンドにいるわ」
「へぇ、今いる子供たちは結構活発な子が多いんだね。義兄(ニイ)さんは?」
「今日の夕方に出張から帰って来るわ。あの人もあなたも、フィフスセクターの事後処理、お疲れ様」
「俺のほうは大丈夫だよ。緑川たちもいるし、響木さんたちレジスタンスと協力しているからやりやすいし」
瞳子姉さんの夫であり、俺の義兄にもあたる神崎シンさんは、神崎グループの社長だ。十年前に世界大会へ出場したときはコーチとして世話になったこともある。――『彼女』がコーチとして活躍しているのも、義兄(ニイ)さんからいろいろと学んだって言っていたな。
「……フフッ」
「どうしたの?」
「ちょっと思い出したのよ。あなたとこうしてゆっくりとできるのは何年ぶりかしらね」
「ああ。そういえばそうだったね」
「中学三年のときだったわね。あなたが吉良財閥を継ぎたいって言ってくれたのには驚いたわ。私は園の子供たちを跡継ぎにする気はなかったし、ずいぶんとびっくりしたものよ。私たちへの恩とか気にしなくていいって言ったのに頑なだったわね」
「父さんや姉さんへの恩も理由の一つだけど、俺がただ継ぎたかったんだ」
思い返してみれば、年末年始など帰省したときも緑川や誰かしらと数人で一緒だったから、俺一人というのは確かに珍しい。子供の頃は姉さんとこうするのは当たり前だったのに。
それに吉良財閥を継ぐのは中学のときに『いきなり』とかじゃなくて、小さい頃から心のどこかで考えていたことだ。俺を拾ってくれた父さんの役に立ちたい、育ててくれた姉さんを支えたいって。それに事務仕事はもともと性に合っていたみたいで、特に苦とも思わなかった。