あなたのポジション、いただきます
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今、ボールが弾む音が聞こえたんだ!」
「えっ?」
フェンスの網の間から円堂は食い入るように下を見回すと、秋も不思議に思いながらも隣に立って下を見る。
トンッ、トンッ、トンッ――……。
「「!」」
すると木々の隙間から出てきたのはバレーボールやバスケットボール、さらには野球ボールが転がっていた。あきらかにおかしいので、もしやと円堂と秋はハッとする。
「行くぞ!」
「ええ!」
手がかりを見つけた二人はすぐさま屋上を飛び出した。一人残っていたリリアは眉を下げて悲しそうで――でもどこか清々しいように笑っていた。
☆☆☆☆☆
体育倉庫中で、瑞貴は小窓へ向けて次々とボールをセンタリングやループパスの要領で蹴り上げ、外へ出していた。倉庫の備品が外にあるなどおかしいと誰かが気づいてくれると祈って。
日曜日の校舎は人が少ないので一種の賭けなのだが、やらないよりマシだったからだ。
「野球ボールも尽きそうだな……。仕方ない、イチかバチかバトミントンのシャトルとか――」
ドンドン!
「!」
「瑞貴! 瑞貴、いるのか!? いたら返事をしてくれ!」
突然扉を叩いた音に驚いたが、次いで聞こえてくる音にホッとして笑顔になる。
「いるよ、守! 鍵が掛かって出られなくなったの!」
「っ、瑞貴! 秋、やっぱりここだ!」
「私、職員室に行って鍵を取りに行ってくる!」
秋は1分1秒でも瑞貴を出してあげられるようにすぐさま走り去った。残った円堂は扉に手を当てて瑞貴に向かって言う。
「悪い、遅くなった」
「ううん……こうして気づいてくれて嬉しいよ。私、一生閉じ込められるのかと一瞬でも思っちゃったから」
「一生なんてありえないだろ!」
半ば冗談で言ったとはいえ、こうも一蹴されると少し恥ずかしくなった瑞貴は苦笑する。
「そ、そうだよね。ありえない――」
「俺たちがいるんだから」
「えっ……?」
「俺たちが……――俺が、何があっても見つけてやる」
円堂の脳裏に浮かぶのは福岡で起こったことだ。自分の知らない所で瑞貴は必死に駆けずり回り、そしてムリが祟って倒れてしまった。相棒でありながら甘えていたと、何もかも知ったとき――どれほど悔やんでも悔やみきれなかった。
円堂は扉にコツンと額を当てる。その表情はまるで失うのを恐れているようだ。
「大事な相棒の異変に気づけないなんてこと、もう二度としたくないんだ……!」
「守……」
二人の間に扉があるので、お互いどんな表情をしているのかはわからない。それでも気持ちだけは充分に伝わっている。
自然と瑞貴も扉にコツンと額を当てた。偶然かもしれないが、その場所は扉がなかったらちょうど二人の額が合わさる場所だった……。
「――円堂くん! 瑞貴ちゃん! 鍵、持って来たよ!」
「!」
顔を上げた円堂が振り向くと、鍵を持って来た秋を筆頭にリリアや雷門中サッカー部、さらに帝国学園サッカー部の全員がやってきた。大方、秋の知らせを聞いて飛んできたというところだろう。
秋が鍵を開けて扉が開くと、瑞貴は何時間ぶりかの外の眩しさに一瞬顔をしかめたが、次いで見えてきた仲間たちの姿に次第に笑顔になる。
「みんな……!」
「「「「「瑞貴/ちゃん/先輩!」」」」」
真っ先に飛び付いたのは春奈や成神や洞面の一年組だが、全員が瑞貴の姿を見て心からホッとしたように笑うのだった。
「わたくしの負け、ですわね……」
そのときにポツリと呟いたリリアの言葉など、誰も聞こえていなかった。
――瑞貴が外に出した備品は円堂たちが片づけることになり、瑞貴は念のためということで保健室でしばらく休むことになった。
時間が経ってしまったため練習試合は後日に回されたが、誰も文句を言うことはなかった。お互いが『全員そろった最高のチームと試合したい』という望みがあったからだ。
コンコン。
「はーい」
ガラッ。
「失礼しますわ」
「リリアちゃん……?」
保健室のベッドに座っていた瑞貴は訪問者であるリリアに驚いた。制服を着ているとはいえ、どことなく彼女の雰囲気がいつもと違っていたのだから。それに気づいていているのかわからないが、リリアはベッドのそばにある椅子に座る。
「えっ?」
フェンスの網の間から円堂は食い入るように下を見回すと、秋も不思議に思いながらも隣に立って下を見る。
トンッ、トンッ、トンッ――……。
「「!」」
すると木々の隙間から出てきたのはバレーボールやバスケットボール、さらには野球ボールが転がっていた。あきらかにおかしいので、もしやと円堂と秋はハッとする。
「行くぞ!」
「ええ!」
手がかりを見つけた二人はすぐさま屋上を飛び出した。一人残っていたリリアは眉を下げて悲しそうで――でもどこか清々しいように笑っていた。
☆☆☆☆☆
体育倉庫中で、瑞貴は小窓へ向けて次々とボールをセンタリングやループパスの要領で蹴り上げ、外へ出していた。倉庫の備品が外にあるなどおかしいと誰かが気づいてくれると祈って。
日曜日の校舎は人が少ないので一種の賭けなのだが、やらないよりマシだったからだ。
「野球ボールも尽きそうだな……。仕方ない、イチかバチかバトミントンのシャトルとか――」
ドンドン!
「!」
「瑞貴! 瑞貴、いるのか!? いたら返事をしてくれ!」
突然扉を叩いた音に驚いたが、次いで聞こえてくる音にホッとして笑顔になる。
「いるよ、守! 鍵が掛かって出られなくなったの!」
「っ、瑞貴! 秋、やっぱりここだ!」
「私、職員室に行って鍵を取りに行ってくる!」
秋は1分1秒でも瑞貴を出してあげられるようにすぐさま走り去った。残った円堂は扉に手を当てて瑞貴に向かって言う。
「悪い、遅くなった」
「ううん……こうして気づいてくれて嬉しいよ。私、一生閉じ込められるのかと一瞬でも思っちゃったから」
「一生なんてありえないだろ!」
半ば冗談で言ったとはいえ、こうも一蹴されると少し恥ずかしくなった瑞貴は苦笑する。
「そ、そうだよね。ありえない――」
「俺たちがいるんだから」
「えっ……?」
「俺たちが……――俺が、何があっても見つけてやる」
円堂の脳裏に浮かぶのは福岡で起こったことだ。自分の知らない所で瑞貴は必死に駆けずり回り、そしてムリが祟って倒れてしまった。相棒でありながら甘えていたと、何もかも知ったとき――どれほど悔やんでも悔やみきれなかった。
円堂は扉にコツンと額を当てる。その表情はまるで失うのを恐れているようだ。
「大事な相棒の異変に気づけないなんてこと、もう二度としたくないんだ……!」
「守……」
二人の間に扉があるので、お互いどんな表情をしているのかはわからない。それでも気持ちだけは充分に伝わっている。
自然と瑞貴も扉にコツンと額を当てた。偶然かもしれないが、その場所は扉がなかったらちょうど二人の額が合わさる場所だった……。
「――円堂くん! 瑞貴ちゃん! 鍵、持って来たよ!」
「!」
顔を上げた円堂が振り向くと、鍵を持って来た秋を筆頭にリリアや雷門中サッカー部、さらに帝国学園サッカー部の全員がやってきた。大方、秋の知らせを聞いて飛んできたというところだろう。
秋が鍵を開けて扉が開くと、瑞貴は何時間ぶりかの外の眩しさに一瞬顔をしかめたが、次いで見えてきた仲間たちの姿に次第に笑顔になる。
「みんな……!」
「「「「「瑞貴/ちゃん/先輩!」」」」」
真っ先に飛び付いたのは春奈や成神や洞面の一年組だが、全員が瑞貴の姿を見て心からホッとしたように笑うのだった。
「わたくしの負け、ですわね……」
そのときにポツリと呟いたリリアの言葉など、誰も聞こえていなかった。
――瑞貴が外に出した備品は円堂たちが片づけることになり、瑞貴は念のためということで保健室でしばらく休むことになった。
時間が経ってしまったため練習試合は後日に回されたが、誰も文句を言うことはなかった。お互いが『全員そろった最高のチームと試合したい』という望みがあったからだ。
コンコン。
「はーい」
ガラッ。
「失礼しますわ」
「リリアちゃん……?」
保健室のベッドに座っていた瑞貴は訪問者であるリリアに驚いた。制服を着ているとはいえ、どことなく彼女の雰囲気がいつもと違っていたのだから。それに気づいていているのかわからないが、リリアはベッドのそばにある椅子に座る。