十年間の培った想い
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「あっ、戻ってきた。昨日秋ちゃんからもらったクッキーがあるから食べよう」
「ああ。それと、訊きたいことがあるんだけど……」
「何?」
「今日の夕飯は決めたか?」
「うーん……まだ決めてないけど。リクエストでもあるの?」
「今日はさ、俺に作らせてくれ!」
「えっ?」
藪から棒に問いかけられたと思えば、さらには突然の提案を出されて瑞貴は目をパチクリする。
「どうしたの? 急に」
「たまにはいいだろ? それに瑞貴だってゆっくりしてくれよ」
「私は好きでやっているんだけど……」
「いいからいいから。とにかく今日の夕飯は任せてくれ!」
「フフッ、じゃあお願いしちゃおうかな」
やる気満々の円堂に瑞貴はこれ以上反対することなく頷いた。
☆☆☆☆☆
できてからのお楽しみと言われ、邪魔にならないように瑞貴は散歩に出ることにした。いつも早朝にランニングで通っている道だが、歩くと景色が少し違って見える。
「あら、瑞貴ちゃんじゃない」
「温子さん――じゃなかった、お…お義母(カア)さん。こんにちは」
バッタリと出会ったのは円堂の母であり、瑞貴の義母である円堂温子だ。まだ言い慣れていないのか訂正する瑞貴に温子は微笑ましそうに笑う。
「今日は一人なの?」
「はい。守が夕飯を作ってくれるということで、気分転換も兼ねて散歩に出たんです」
「あらそうなの? フフッ、よほど瑞貴ちゃんが大切なのね」
「えっ?」
温子の言葉の意味がわからず、何故そこに行きつくのかと瑞貴は再び目をパチクリさせた。
「話すと長くなるから、うちにいらっしゃい」
「は、はい」
面白そうに笑う温子に、瑞貴はただ付いて行くだけだった。
――近いとはいえ円堂家に寄ったのはずいぶん久しぶりである。リビングでお茶を淹れた温子は、向かいにいる瑞貴と自分の分を置くと椅子に座った。
「もう時効だし、言っても言いわよね。――あの子ってば、家事を身に付けたのは海外で暮らすからだけじゃないの。瑞貴ちゃんのためでもあるのよ」
「私のため?」
「そうよ。あなたは中学生の頃から一人暮らしをしていたでしょ? 一之瀬くんがいる間は二人だったけど、彼と一緒にスーパーで出会ったときもあったよね」
「はい、覚えています。たまに一哉とした買い物で偶然会ったときは驚きました」
「そのときね。私、帰ったときに守とこんな会話したの」
――まだ円堂が中学二年生のとき、温子が家に帰ればちょうど風呂上がりの円堂が出迎えてくれたのだ。そしてスーパーのことを話す。
『今日ね、瑞貴ちゃんと一之瀬くんと会ったわ』
『えっ? 二人が一緒に?』
『そうよ。なんでも一之瀬くんが今日の当番で、夕飯の材料を買いに来たんですって。まるで新婚夫婦みたいだったわ』
『そ、そうなんだ……』
あのとき円堂は気持ちを自覚していなかったし、温子もからかい半分と本気半分で伝えたのだ。
「ああ。それと、訊きたいことがあるんだけど……」
「何?」
「今日の夕飯は決めたか?」
「うーん……まだ決めてないけど。リクエストでもあるの?」
「今日はさ、俺に作らせてくれ!」
「えっ?」
藪から棒に問いかけられたと思えば、さらには突然の提案を出されて瑞貴は目をパチクリする。
「どうしたの? 急に」
「たまにはいいだろ? それに瑞貴だってゆっくりしてくれよ」
「私は好きでやっているんだけど……」
「いいからいいから。とにかく今日の夕飯は任せてくれ!」
「フフッ、じゃあお願いしちゃおうかな」
やる気満々の円堂に瑞貴はこれ以上反対することなく頷いた。
☆☆☆☆☆
できてからのお楽しみと言われ、邪魔にならないように瑞貴は散歩に出ることにした。いつも早朝にランニングで通っている道だが、歩くと景色が少し違って見える。
「あら、瑞貴ちゃんじゃない」
「温子さん――じゃなかった、お…お義母(カア)さん。こんにちは」
バッタリと出会ったのは円堂の母であり、瑞貴の義母である円堂温子だ。まだ言い慣れていないのか訂正する瑞貴に温子は微笑ましそうに笑う。
「今日は一人なの?」
「はい。守が夕飯を作ってくれるということで、気分転換も兼ねて散歩に出たんです」
「あらそうなの? フフッ、よほど瑞貴ちゃんが大切なのね」
「えっ?」
温子の言葉の意味がわからず、何故そこに行きつくのかと瑞貴は再び目をパチクリさせた。
「話すと長くなるから、うちにいらっしゃい」
「は、はい」
面白そうに笑う温子に、瑞貴はただ付いて行くだけだった。
――近いとはいえ円堂家に寄ったのはずいぶん久しぶりである。リビングでお茶を淹れた温子は、向かいにいる瑞貴と自分の分を置くと椅子に座った。
「もう時効だし、言っても言いわよね。――あの子ってば、家事を身に付けたのは海外で暮らすからだけじゃないの。瑞貴ちゃんのためでもあるのよ」
「私のため?」
「そうよ。あなたは中学生の頃から一人暮らしをしていたでしょ? 一之瀬くんがいる間は二人だったけど、彼と一緒にスーパーで出会ったときもあったよね」
「はい、覚えています。たまに一哉とした買い物で偶然会ったときは驚きました」
「そのときね。私、帰ったときに守とこんな会話したの」
――まだ円堂が中学二年生のとき、温子が家に帰ればちょうど風呂上がりの円堂が出迎えてくれたのだ。そしてスーパーのことを話す。
『今日ね、瑞貴ちゃんと一之瀬くんと会ったわ』
『えっ? 二人が一緒に?』
『そうよ。なんでも一之瀬くんが今日の当番で、夕飯の材料を買いに来たんですって。まるで新婚夫婦みたいだったわ』
『そ、そうなんだ……』
あのとき円堂は気持ちを自覚していなかったし、温子もからかい半分と本気半分で伝えたのだ。