帰る場所はどっち?
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ドタバタドタバタ――……!
夕食を終えて全員が道場に集まっていたとき、旋風が一冊の書物を持ちながら大慌てで道場に入って来た。
「瑞貴ちゃん、見つけたよ! 空間移動の忍術!」
「「「「「「えっ!」」」」」」
「ホントですか!?」
ついに帰える方法がわかったのだ。瑞貴は即座に旋風に書物のページをめくって方法を教えてもらっていたが、他の六人の表情は思わしくなかった。
――明朝に帰ると瑞貴が伝えたため、全員それに備えて早く眠ることにした。そして深夜に瑞貴は最後にと屋敷を回りながら思い出を頭に浮かべているのだ。
最後に一番思い入れのある道場に入るとそこには修業している天晴がいた。彼も瑞貴に気づいて振り向く。
「修業?」
「ああ。少しでも早くじいちゃんに追いつきたいからな」
「相変わらず努力家だね、天晴は」
徹夜を何度もしていた瑞貴は遅くに道場を出入りする天晴の姿を目撃している。楽観的で本番に強いとはいえ、日々の修業の積み重ねも結果に繋がっているのだ。
天晴と瑞貴は並んで座ると壁にもたれた。しばらく無言の状態が続いたが天晴が口を開く。
「……よかったな、帰る方法が見つかって」
「うん……みんなには心から感謝している。鷹介に言われたとはいえ、三ヶ月もここに置いてくれたんだもん」
鷹介に言われて預かってから、時には修業し、時には牙鬼軍団を相手に共に戦い、時には楽しく遊んだり……いつしか天晴たちは瑞貴が大好きになった。しかも男性陣は恋愛感情として。
「俺さ、瑞貴が来てからスッゲー楽しかった。なんか当たり前になってたんだ。帰る日が来るなんて想像していたけど、したくなかった……」
「ごめんね……何も恩を返せなくて」
「そんなことない!」
「え――」
グイッ。
ギュ。
天晴は瑞貴の腕を引くと思いっきり強く抱きしめた。まるで今は確かにこの腕の中にいると確認するように、愛おしい者を失いたくないと願うように。
「俺は――俺たちは瑞貴がいてくれるだけで充分なんだ。瑞貴がそこにいてくれるだけで一番嬉しかったんだ。だから、何も返せてないなんて思わないでくれ……むしろ俺たちがずっと与えられてたんだ……」
「天晴……」
「最後に、一回だけ……」
「何……?」
チュ。
なんと天晴は瑞貴の唇の端にキスした。思わぬことに瑞貴は目を丸くしたが、天晴は苦笑していた。
「えっ!? えっ!?」
「お別れの挨拶ってとこかな。みんなの前だと俺がボコボコにされちまうし」
天晴が困惑する瑞貴の頭をポンポンと優しく叩くと立ち上がって背を向けたが、顔だけ瑞貴に振り向いた。
「明日の朝に備えて俺はもう寝るよ。おやすみ」
「お、おやすみ……」
天晴が道場を完全に去ったのを確認した瑞貴は、唇が触れた場所に手を当てながら眉を下げて呟く。
「天晴…みんな…ごめんね……」