失ったカケラ
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瑞貴が目を覚まして二週間も経ったが、一向に記憶が戻る気配がない。傷はこの星の文明が栄えているので残ることはないが、心因なことはお手上げらしい。
――そんなある日、マーベラスは一人で事件現場に来ていた。
「半月以上も経つんだな……」
デートのお昼を選んでケンカしたことすら覚えてないので仲直りしようがない。もしケンカせず瑞貴の希望していたカフェに行ったら、強盗の発砲に気が付いていたら……など、そんな後悔ばかり渦巻いている。
最初は拒んでいたマーベラスもアルバムや二人の思い出の品など持って病室に来ていたが、瑞貴が思い出す気配はない。バスコとの最終決戦のときみたいに神に祈ったが効果もない。
(お前が笑顔でいられるなら、俺は……)
「あー! やっと見つけました!」
マーベラスの考えを中断する声が響き渡り、振り向くとスーツ姿の初老の男が駆け寄って来た。
「初めまして! 私こういう者です!」
男が差し出した名刺を見てみると、強盗団に襲われた宝石店の社長だとわかった。
「あの、お連れの女性はお元気ですか? 強盗に撃たれたので心配で……」
「……ああ。で、俺になんの用だ」
「我が社の店を助けてくれたお礼がしたくて! こちらへ!」
社長に連れられるままにマーベラスは宝石店に入る。事件からだいぶ経ったので営業を始めたようだ。
「店の宝石をどれでも一つ差し上げます! もちろん、お連れ様のも!」
「……俺は海賊だ。悪いが、宝石なんて珍しくもねぇ」
そんな気分じゃないとマーベラスは店を出ようとすると、社長は慌てて腕をつかんで止める。
「離せ! 第一あれはストレス解消にやっただけだ!」
「それでは私の気が済みません! 売り上げもお得意様が多いので問題ないし、ここは選んだ宝石を加工してアクセサリーにもできます! ピアスやネックレスや一つの石を分け合ったペアリングも可能ですから!」
「いらねぇ」
「ここがお気に召されなかったのなら、他の宝石店も紹介します! なんでしたら我が社の最高級の宝石店でも!」
ピタリとマーベラスの動きが止まった。
「……なんでもいいって言ったよな?」
「はい!」
「一番高いのを選んでも文句はねぇな」
「もちろんですとも!」
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瑞貴の見舞いから帰ったジョーたちだが、マーベラスの姿がなかった。未だに傷心中とわかっているので、帰るのを待っていたとき……。
ドドドドド――ッ!
「おいルカ!」
「な、何!?」
突然ラウンジに駆け込んで来たマーベラス。今までは落ち込んでマトモな返事すらできなかった彼がどうしたのかと、ルカだけじゃなく全員が驚く。
「この星の最高級の宝石店を教えろ!」
「ハァ? あんたこんなときに何を――」
「いいから早く!」
「わ、わかったわ」
マーベラスの剣幕に圧されたルカは部屋に雑誌を取りに行った。
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翌日。瑞貴はゴーカイジャーの誰かが来るのを待ちながら、病室の外の景色見ていた。
(マーベラス…今日は来るかな……?)
今も瑞貴はマーベラスを思い出せていない。だが、彼が来る度に心が暖かくなるのを感じていた。
(でも、何も思い出せない私なんて……もう愛想をつかれたよね)
スパ――ンッ!!
「おい瑞貴!」
「マ、マーベラス!?」
スライド式の扉を勢いよく開けたマーベラス。さっきまでのセンチメンタル気分が吹っ飛ぶくらい瑞貴は驚いた。
「これに着替えろ。今日は外出するぞ。許可も取ってある」
「えっ? えっ?」
「10分だ。それ以上は待たねぇ。それとも……俺が着替えさせてやろうか?」
「自分で着替えるから出てって!」
とんでもないことを言うマーベラスを瑞貴は追い出すと同時に、何故か懐かしい気分になった。