小さなアイドル!
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「ね、ねぇ。本当に私も行かなきゃダメ?」
「ダメよ。見知らぬ女の子が雷門中の校舎にいたら騒ぎになるわ」
「万が一元に戻らなかったら、家に帰っても一之瀬くんが混乱するしね」
「でもそれは、事情を話せばいいんじゃ……」
「面白いからダメです!」
「春奈ちゃん!?」
サラッと言った春奈に瑞貴は固まった。ちなみに現在は変装ということで髪をツインテールにし、夏未に抱っこされてグラウンドに向かっている。
「休むって言い訳も、一哉がいるんじゃ通じないよ」
「大丈夫です! 神崎さんに呼ばれたと言いますから。ちなみに神崎さんには口裏を合わせるよう言ってます!」
「シン!?」
抜かりなしの春奈の手際に驚くべきか、シンのノリの良さに怒るべきか、瑞貴は一瞬迷った。
「みんなー! お待たせー!」
「秋! 夏未! 春奈!」
「!?」
考えてる内にグラウンドに到着したらしく、秋の声に反応した円堂の声が聞こえる。瑞貴は夏未の肩に顔を当てて縮こまる。
「あれ? 夏未、その子は?」
隠れてるわけじゃないのでバレるのは当たり前。瑞貴はギクッと肩を震わせる。ギューッと瑞貴が引っ付いたままなので夏未は逆に役得だろう。
「もしかして、夏未さんの子供でヤンスか!?」
「栗松くん、何か言ったかしら?」
「なんでもないでヤンス!」
冗談で言っただろうが、夏未の黒い笑みに栗松は怯えて壁山のうしろに隠れる。
そんな中、円堂は気にせず夏未の前に立ち、瑞貴に声をかけた。
「こんにちは!」
「…………」
「あれ?」
「人見知りする子なのよ。ほら瑞貴」
「えっ!?」
夏未は瑞貴を降ろすと円堂と向かい合わせる。といっても、身長差があるので見上げる形になるが。
「私の親戚の子で、雷門瑞貴っていうの」
「こ、こんにちは……。ら、雷門瑞貴です……」
「へぇ。瑞貴と同じ名前だ。俺、円堂守。よろしくな!」
円堂が手を差し出すと、瑞貴も恐る恐る手を合わせた。同時に小さな手だからこそ、円堂の手の大きさや豆や傷に、彼がどれだけ頼もしいGKかわかってくる。
すると円堂の肩越しから松野が顔を出してきた。
「ねぇ、その子なんで雷門のジャージ着てるの?」
「瑞貴は雷門中サッカー部のファンなの。だから特別に作ったのよ」
「へぇ。似合うな」
半田が瑞貴の頭を撫でる。すると先ほどからキョロキョロと顔を動かしている一之瀬が声をかけた。
「ねぇ、瑞貴は?」
「ん?」
「あっ。君じゃなくて、井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンのほうだよ」
「ご、ごめんなさい!」
「気にしないで。同じ名前だから、つい反応しちゃうよね」
同じ名前どころか本人です、などと瑞貴は絶対言えない。冷や汗をかきつつ、どうこの場をしのぐか考えた結果。
「み、みなさん……」
「「「「「?」」」」」
「よろしくお願いします」
「「「「「!!」」」」」
元々可愛い笑顔を持っているのな、さらにニコッと幼子特有の愛らしさで笑ったので、全員釘付けになった。