本領発揮! 小松の食義 実食! 幻の“全麺”
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……節乃がリムジンクラゲを去ったあとも、鉄平はその場に残って屋台の周りにいるトリコや瑞貴たちの姿を見ていた。
「今度奴らにひと仕事頼んでみるかなぁ。いろいろと、キナ臭いことだし」
鉄平が瑞貴たちに『ある仕事』を頼むことは、数日後のことである。それが『美食神・アカシアのスペシャルメニュー』にまつわることは、まだ知らずに。
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片付けとか諸々の作業が全て終わったときには夜になり、小松さんの計らいで今晩はホテルグルメに泊まらせてもらうことになった。そして私は小松さんに誘われて屋上にいる。
「とっても綺麗な夜景だね~」
「はい。いつか瑞貴さんを招待したいなって思っていたんです。今まで手伝ってもらったのに、この場に連れて行く機会がなかなかなかったものですから」
「確かに。手伝いとか修業ばっかりで屋上に来たことはなかったね」
目の前の景色は大小連なるビルや、行き交う車、街を照らす街灯、それぞれの灯りが小さくても集まればとても綺麗な景色になる。それにホテルグルメは結構階層が高いから、夜空の星も地上に比べてよく見える。
「瑞貴さん。僕、今回の依頼の理由に気づいたんです」
「理由?」
「節乃さんは、僕に『ちゃんと食義を極めている』という自信を持たせてくれたんだなって。スゴい成長をしたお二人を見て僕はずっと悩んでいました。でも、今回全麺を一人で作って節乃さんからお墨付きを頂いて、やっと自信がつきました」
私と向かい合った小松さんの目は、金色小麦を捕獲する前と違って、迷いもなく自信に溢れているという意思の表れが宿っていた。
「僕は食義を極めても、もっともっと料理人として成長していきます! そしてそれを瑞貴さんにそばで見ていてほしいんです。仲間としてだけじゃなくて、もう一つの理由で」
「えっ?」
小松さんは私の両手をそっと取ると自分の両手で優しく包み込んでくれた。それはとても温かくまるで小松さんの優しい心を表しているように。
「僕、瑞貴さんのことが好きです。仲間としてだけじゃなくて、僕の一番大切な人として僕の成長を見守ってください」
「…………!」
小松さんは初めて出会ったときから危なっかしい所もあるけど、いざとなったら立ち向かう強さも持っていて、料理に対してとても真摯に向き合って、人や命に対する優しい心も持っている。私は彼を料理人として人間として尊敬している。それはこれからも変わらないけど……。
「ありがとう、小松さん。でも、私は――」
「待ってください!」
断ろうとしたら小松さんが大声を出したから、私も思わず口をつぐんだ。そのときの小松さんは寂しそうで悲しそうな顔をしている。
「その先を言うのは、今は待っていてくれませんか」
「小松…さん……?」
「僕は自分がズルいことを言っているのは重々承知しています。でも、瑞貴さんへの想いをそう簡単にあきらめることができないくらい好きになっているんです。だから……――っ」
小松さんは決意をするようにギュッと私の両手を握る手を強く握り締めると、泣くのを堪えるかのように笑って真っ直ぐ私を見た。
「だから、瑞貴さんが大切な人と両想いになったとき、改めて僕をフッてください。そうでもなくちゃ僕はあきらめきれません!」
「……ありがとう。私を好きになってくれて」
今の私に言えるのはこれが精一杯だった。これからも一緒に過ごすけど、小松さんの想いをウヤムヤにはしない。彼が私を好きだってことをちゃんと覚えておかないと。