幻の食材“C(センター)” 一龍と第0ビオトープ
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「小松? 瑞貴?」
(もしかしたら…竹ちゃんも……)
大竹さんと共に修業した小松さんなら知っているだろう、彼の過去を……。そして大竹さんが美食會に寝返った理由がアカシアの前菜なら辻褄は合う。
「ひょっとしたら奴らが目指す食材は、GODだけではないのかもしれん。目的は不明じゃがな。美食會に先手を許してはならん! 今回の件はすでにIGOの『第0ビオトープ』に伝えておる」
「第0ビオトープ?」
「食材の研究や開発……時にニトロの監視も行(オコナ)っとる、グルメ界にあるIGOの極秘施設じゃ。職員は二十人足らず、いずれも会長自ら委託した実力者ばかり」
落ちた眼鏡をかけながら珍師範はそう言ったけど、第0ビオトープは一龍会長が選りすぐった実力者ばかりだって聞いたことがあるし、いったい他にどんな人が……?
「……あっ」
「おっと」
そう考えていたら突然足に力が入らなくて倒れかけたところをトリコが受け止めてくれた。なんだか足どころか体全体に力が入らなくなっているような気が……。
「瑞貴さん! 大丈夫ですか!?」
「ムリすんなよ、師範代と小松どころか食林寺全体に結界をかけていたんだ。いくら食義を極めても疲れて当然だろ」
慌てて駆け付けてくれた小松さんを横目に見つつ、トリコの言葉で察した。力の使い過ぎだったのか、どうりで眠いわけだね。そういえばあとで玄武に怒られるだろうな……危ない中で急に交代したし。
すると千流さんがシャボンフルーツを持って来てくれた。珍師範の回復の手助けにもなってくれる奴だから、元気になれるかもしれない。
「トリコさん、瑞貴さんにもシャボンフルーツを」
「いや、このまま休ませる。もう終わったんだ。安心して寝てろ」
「うん……じゃあお言葉に甘えて……」
まるで小さい子をあやすような感じで頭を撫でながら言われたけど、今はそうさせてもらう。
「おやすみ」
瞼が閉じ切る前に見えたトリコはとても穏やかな顔をしていた。
玄武を通して見えたパワーアップしたトリコを見たとき、私は今までにない安心感があった。もちろん力で言えば本気で力を解放できた四神が強いんだろうけど、それとは別にトリコには頼れる感じがあって、いつも私を安心させてくれる。――もうこの気持ちを認めよう……私はトリコのことが……。
――……美食會に襲撃されたその夜、食林寺が無事なことにコッポウを始め多くの師範代や門下生にトリコたちは感謝された。特に常に結界を張り続けた瑞貴は影の功労者として喜ばれ、美食會の刺客が千代と聞いた挙句に珍師範の状態を見て謝罪もされたほどだ。
トリコと小松と瑞貴の怪我はほとんどないので、明日の朝には出発するという旨を伝え、今日はそれぞれの部屋で休むことになったのだが――。
トントン。
「瑞貴、ちょっといいか?」
…………。
障子の木目を軽く叩いたトリコは中にいる瑞貴に声をかけるが返事がない。倒れているのではないかと思い「入るぞー」と一応もう一度声をかけて障子を開くと、瑞貴は布団の中で熟睡をしていた。
「スー……スー……」
「ハハッ、爆睡するほど疲れてたんだな」
いくら食義を身に付けても1分1秒たりとも気を許さないように守護結界を張っていたのだ。万が一のことがあれば離れに避難していた者たちに危険が及んでいたし、玄武を呼び出したのもたとえ力を急激に消耗しようが確実に長時間保てるためにした行動だ。……トリコが奥義を習得して帰って来ると信じて。
トリコは部屋の中に入ると布団の外に出ていた瑞貴の手をそっと取った。体格差があるとはいえ自分より小さな手に逆に感動を覚えてしまう。
(もしかしたら…竹ちゃんも……)
大竹さんと共に修業した小松さんなら知っているだろう、彼の過去を……。そして大竹さんが美食會に寝返った理由がアカシアの前菜なら辻褄は合う。
「ひょっとしたら奴らが目指す食材は、GODだけではないのかもしれん。目的は不明じゃがな。美食會に先手を許してはならん! 今回の件はすでにIGOの『第0ビオトープ』に伝えておる」
「第0ビオトープ?」
「食材の研究や開発……時にニトロの監視も行(オコナ)っとる、グルメ界にあるIGOの極秘施設じゃ。職員は二十人足らず、いずれも会長自ら委託した実力者ばかり」
落ちた眼鏡をかけながら珍師範はそう言ったけど、第0ビオトープは一龍会長が選りすぐった実力者ばかりだって聞いたことがあるし、いったい他にどんな人が……?
「……あっ」
「おっと」
そう考えていたら突然足に力が入らなくて倒れかけたところをトリコが受け止めてくれた。なんだか足どころか体全体に力が入らなくなっているような気が……。
「瑞貴さん! 大丈夫ですか!?」
「ムリすんなよ、師範代と小松どころか食林寺全体に結界をかけていたんだ。いくら食義を極めても疲れて当然だろ」
慌てて駆け付けてくれた小松さんを横目に見つつ、トリコの言葉で察した。力の使い過ぎだったのか、どうりで眠いわけだね。そういえばあとで玄武に怒られるだろうな……危ない中で急に交代したし。
すると千流さんがシャボンフルーツを持って来てくれた。珍師範の回復の手助けにもなってくれる奴だから、元気になれるかもしれない。
「トリコさん、瑞貴さんにもシャボンフルーツを」
「いや、このまま休ませる。もう終わったんだ。安心して寝てろ」
「うん……じゃあお言葉に甘えて……」
まるで小さい子をあやすような感じで頭を撫でながら言われたけど、今はそうさせてもらう。
「おやすみ」
瞼が閉じ切る前に見えたトリコはとても穏やかな顔をしていた。
玄武を通して見えたパワーアップしたトリコを見たとき、私は今までにない安心感があった。もちろん力で言えば本気で力を解放できた四神が強いんだろうけど、それとは別にトリコには頼れる感じがあって、いつも私を安心させてくれる。――もうこの気持ちを認めよう……私はトリコのことが……。
――……美食會に襲撃されたその夜、食林寺が無事なことにコッポウを始め多くの師範代や門下生にトリコたちは感謝された。特に常に結界を張り続けた瑞貴は影の功労者として喜ばれ、美食會の刺客が千代と聞いた挙句に珍師範の状態を見て謝罪もされたほどだ。
トリコと小松と瑞貴の怪我はほとんどないので、明日の朝には出発するという旨を伝え、今日はそれぞれの部屋で休むことになったのだが――。
トントン。
「瑞貴、ちょっといいか?」
…………。
障子の木目を軽く叩いたトリコは中にいる瑞貴に声をかけるが返事がない。倒れているのではないかと思い「入るぞー」と一応もう一度声をかけて障子を開くと、瑞貴は布団の中で熟睡をしていた。
「スー……スー……」
「ハハッ、爆睡するほど疲れてたんだな」
いくら食義を身に付けても1分1秒たりとも気を許さないように守護結界を張っていたのだ。万が一のことがあれば離れに避難していた者たちに危険が及んでいたし、玄武を呼び出したのもたとえ力を急激に消耗しようが確実に長時間保てるためにした行動だ。……トリコが奥義を習得して帰って来ると信じて。
トリコは部屋の中に入ると布団の外に出ていた瑞貴の手をそっと取った。体格差があるとはいえ自分より小さな手に逆に感動を覚えてしまう。