合掌一礼! 美食人間国宝・珍鎮々登場‼
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「でも恵方巻を盗んだことには変わりないよね」
「ウッ!」
「しかもそのとき、理由も言わず私たちを見て『ヤベッ』って言って逃げたし」
「ウグッ!」
「大方、『店に戻れば見つからない』とか高を括ってたんでしょ」
「すみませんでしたー!」
……半目になってズバズバと言い当てる瑞貴の迫力に恐れたのか、千輪は太っちょの体だが90度になるよう精一杯のお辞儀で謝罪をした。
「ま、まあまあ瑞貴さん! あっ、でも千輪さんのおかげでこのお店を発見できたわけですし!」
「そうだな。シャボンフルーツへの道しるべは途切れたが、なんとかなるだろ」
「シャボンフルーツですって?」
トリコが言った修業食材の名前に、千流さんが反応して足を止めてこちらに振り向いたので私は尋ねてみる。
「千流さん、知ってるんですか?」
「ええ。シャボンフルーツはこの樹海のさらに奥深くにある『食林寺』の宝・寺宝ですよ」
「食林寺か。別名・雲隠れの寺……誰もその詳しい場所はわからないって言う、伝説の寺だな」
雲隠れ割烹といい、食林寺といい、スゴい建物がスゴい樹海にあるんだな……。
「シャボンフルーツは最も繊細だと言われる食材の一つです。うちの店でも以前先代の料理長が使っていましたが――」
「ええっ!? ここで食べられたんですかー!?」
「え、ええ……。お恥ずかしながら、わたくしの腕がまだまだ未熟で今は……」
「――コラー!」
「あっ」
「おかわり早くせんかー!」
「はい、ただいま!」
いつの間にか店内に辿りついたみたいで、お座敷にいる客が叫ぶと千流さんが返事をした。でも、私たちはそれ以外で気づいたことがある。
「あの声……」
「ああ……」
「店に入る前、『合掌、そして一礼じゃ』って私たちを導いた声だよね」
「あの人です。樹海で見たの」
「小松さんが『人がいる』って言ってたときの?」
「はい」
背を向けているから顔はわからないけど、なんだか只者って感じの雰囲気じゃなさそう……。
「あの客が物スゲー食いまくってんだよ!」
「お客様に失礼ですよ。さっ、みなさんもどうぞ。すぐにお食事の準備を致しますね」
「おおっ! 待ってました!」
私たちは先ほどの客から少し離れた座席に案内された。待っている間に思わず目で追ってしまうのは、他に客がいないせいかやっぱりさっきの客を見てしまう。何者なのかは気になる所だけど、あまり見続けるのも失礼だからと二人の顔を見たら同じことを思ったのか、トリコも小松さんも一緒に顔を見合わせた。
「楽しみだな、小松! 瑞貴!」
「十星の料理なんて、なかなか食べられないですからね!」
「値も張りそうで怖いんだけど……」
「安心しろ。ちゃんとグルメクレジットカード持ってっから」
こういうときは本当にトリコに感謝! 無意識にタカってしまった感じもするけど、十星の――しかも雲隠れ割烹の料理を食べられる機会を逃したくない!
「シッシッシッ! うまく食べられればいいけどな~!」
「千輪。――お待たせ致しました。まずは食前酒・昆布石から出汁を採った昆布酒でございます」
さっきの客のおかわりを持って行った千輪を叱った千流さんが、私たちに一つの徳利と三つのお猪口を持って来てくれた。
「何ぃ!? 昆布石だと!? 一時間ごとに水の温度を摂氏3度から1度ずつ上げながら、石を1ミリずつ浸して出汁を採り、1ミリでも石を別の方向に動かしたら出汁が出なくなるって石だな!?」
「シシシッ! そうだ。最低でも仕込みに五日はかかるんだぞ」
「スッゲー! いただきまーす!」
「あっ、ちょっと待って!」
「えっ?」
フォ……。
トリコが千流さんの注いでくれた昆布酒のお猪口を取って千流さんが呼びとめた途端、中に入っていた昆布酒が一瞬でなくなってしまった。
「ウッ!」
「しかもそのとき、理由も言わず私たちを見て『ヤベッ』って言って逃げたし」
「ウグッ!」
「大方、『店に戻れば見つからない』とか高を括ってたんでしょ」
「すみませんでしたー!」
……半目になってズバズバと言い当てる瑞貴の迫力に恐れたのか、千輪は太っちょの体だが90度になるよう精一杯のお辞儀で謝罪をした。
「ま、まあまあ瑞貴さん! あっ、でも千輪さんのおかげでこのお店を発見できたわけですし!」
「そうだな。シャボンフルーツへの道しるべは途切れたが、なんとかなるだろ」
「シャボンフルーツですって?」
トリコが言った修業食材の名前に、千流さんが反応して足を止めてこちらに振り向いたので私は尋ねてみる。
「千流さん、知ってるんですか?」
「ええ。シャボンフルーツはこの樹海のさらに奥深くにある『食林寺』の宝・寺宝ですよ」
「食林寺か。別名・雲隠れの寺……誰もその詳しい場所はわからないって言う、伝説の寺だな」
雲隠れ割烹といい、食林寺といい、スゴい建物がスゴい樹海にあるんだな……。
「シャボンフルーツは最も繊細だと言われる食材の一つです。うちの店でも以前先代の料理長が使っていましたが――」
「ええっ!? ここで食べられたんですかー!?」
「え、ええ……。お恥ずかしながら、わたくしの腕がまだまだ未熟で今は……」
「――コラー!」
「あっ」
「おかわり早くせんかー!」
「はい、ただいま!」
いつの間にか店内に辿りついたみたいで、お座敷にいる客が叫ぶと千流さんが返事をした。でも、私たちはそれ以外で気づいたことがある。
「あの声……」
「ああ……」
「店に入る前、『合掌、そして一礼じゃ』って私たちを導いた声だよね」
「あの人です。樹海で見たの」
「小松さんが『人がいる』って言ってたときの?」
「はい」
背を向けているから顔はわからないけど、なんだか只者って感じの雰囲気じゃなさそう……。
「あの客が物スゲー食いまくってんだよ!」
「お客様に失礼ですよ。さっ、みなさんもどうぞ。すぐにお食事の準備を致しますね」
「おおっ! 待ってました!」
私たちは先ほどの客から少し離れた座席に案内された。待っている間に思わず目で追ってしまうのは、他に客がいないせいかやっぱりさっきの客を見てしまう。何者なのかは気になる所だけど、あまり見続けるのも失礼だからと二人の顔を見たら同じことを思ったのか、トリコも小松さんも一緒に顔を見合わせた。
「楽しみだな、小松! 瑞貴!」
「十星の料理なんて、なかなか食べられないですからね!」
「値も張りそうで怖いんだけど……」
「安心しろ。ちゃんとグルメクレジットカード持ってっから」
こういうときは本当にトリコに感謝! 無意識にタカってしまった感じもするけど、十星の――しかも雲隠れ割烹の料理を食べられる機会を逃したくない!
「シッシッシッ! うまく食べられればいいけどな~!」
「千輪。――お待たせ致しました。まずは食前酒・昆布石から出汁を採った昆布酒でございます」
さっきの客のおかわりを持って行った千輪を叱った千流さんが、私たちに一つの徳利と三つのお猪口を持って来てくれた。
「何ぃ!? 昆布石だと!? 一時間ごとに水の温度を摂氏3度から1度ずつ上げながら、石を1ミリずつ浸して出汁を採り、1ミリでも石を別の方向に動かしたら出汁が出なくなるって石だな!?」
「シシシッ! そうだ。最低でも仕込みに五日はかかるんだぞ」
「スッゲー! いただきまーす!」
「あっ、ちょっと待って!」
「えっ?」
フォ……。
トリコが千流さんの注いでくれた昆布酒のお猪口を取って千流さんが呼びとめた途端、中に入っていた昆布酒が一瞬でなくなってしまった。