うまさ宇宙級! 実食メテオガーリック!
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「どこに手帳があるかはすでにわかっておる。『我々』の情報網はIGO、美食會を凌ぐからな」
「IGOに美食會といえば、最近トップ同士が接触したという情報が」
……IGOのトップ・一龍、そして美食會のトップはスタージュンたちが従う『ボス』だ。対立している二つの組織の頂点が瑞貴たちの知らない所で接触したのに、ジョアはそれをすでに知っていた。
「それともう一つ。トリコと常に一緒にいる『ある娘』なんですが、グルメ細胞とは違う力をお持ちのようで。環境に瞬時に適応する能力、食材の声を聞く力、そして――自身が猛獣に変わるとか」
「それはトップ同士の話と同様に興味深いのう……酒のつまみに聞かせてくれんか?」
「それはのちほど。まもなくトリコたちが来るようなので」
「ホォ……」
「目的は私のようです。面倒なので消えます。国王もそろそろ――『ロボ』のエンジンを」
「フッフッフッ……。そうか、ならわしもそろそろ――」
ダーニルの瞳が光ったと思うと、続けて出る声は肉声とは思えない声音が出てくる。
《戻ロウカノウ……》
そう言うと同時にダーニルは完全に動かなくなり、手に持っていたグラスも床に落ちた。それを見届けたジョアは扉に手をかけるのだった。
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バンッ!
「邪魔するぜ! ――って、誰もいねぇ!?」
トリコが勢いよく両手で扉を開いたら、その部屋は夜景が見渡せる展望系の部屋だったけど、これまた人っ子一人いない。しかもテーブルには手つかずの料理があるし、風が運んできたせいか床のあちこちに砂があった。
「ずいぶん前に出て行ったようだね。電磁波が感じられない。もう王宮にはいないだろう」
「国王が国を捨てたってわけか……」
「高級食材がたんまり入って来る独裁者が、なんで国を捨てるんだ?」
「ここよりおいしいモノが食べられる場所でも見つけたんですかねぇ?」
「だといいけど……。私たちが来る前にいなくなったなんてタイミングが良過ぎるね」
「ジョアか……一度会ってみたかったぜ」
トリコの呟きを聞いて、私たちは外の景色に目を映す。もう夜明けなのか朝日が差し込んで来た。
ココさんにはわからなかったようだけど、私には微かだけど第六感で感じていた。ここにいたのは紛れもなく、とてつもない強者が確かにいたということを。それは国王か、もしくは……国王と一緒にいた誰かが。
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やっとみんなが元の体に戻ると、休息を取るようにとライブベアラーがグルメカジノで一番のホテルを用意してくれた。しかも全員個室な上に豪華な部屋! おまけにタダでいいって言うもんだから太っ腹だよね!
だけどさっきも言ったようにメテオガーリックの効果が体に残っている。一ヶ月は寝ずに動けるという効果は嘘じゃないようで、眠れなかった私は屋上へとやって来た。サンルームまであって中は観葉植物や噴水などがあり、そこに入った私はベンチに座って景色を眺める。
「明日にはこの街ともお別れか~……」
朝だというのにここから見えるグルメカジノの景色は、夜と同じように賑わっている。きっと朝からギャンブルする気満々なためだろう。
「――瑞貴ちゃん」
「ん? あっ、ココさん!」
名前を呼ばれたので振り向いたらサンルームの出入り口にココさんがいた。ココさんは「隣、いいかな?」と訊いて来たので、もともと二人掛け用のベンチだったから私はもちろん了承する。
「ココさんも眠れないんですか?」
「まあね。気分転換に屋上へ来たら瑞貴ちゃんがいるのを見かけたんだ」
「へ~。あっ、そういえばメテオガーリックで不思議なことがあるんですけど……」
「何がだい?」
「だって元はトリコに当てた修業食材じゃないですか。なのにココさんが一番適合したって……――ハッ! まさか一龍会長はトリコがココさんに依頼することを見越して!?」
「あの会長ならありえるだろうね。子供の頃から僕も何度意表を突かれたことか」
「うわ~……」
なんだか一龍会長の手の平に踊らされている気分だぞ。
「でも確かに、今回はココさんがいなかったらゲームに勝つことも、メテオガーリックを手に入れることもできなかったです。本当にありがとうございます」
「礼には及ばないさ。今回のゲームは僕にとってもいい経験だったし、それに僕だけじゃライブベアラーに勝つことはできなかった……トリコ、小松くん、そして瑞貴ちゃん。君たちがいてくれたおかげさ」
「ココさん……」
「瑞貴ちゃん、ちょっと両手を出してくれるかい?」
「手? こうですか……――わみゃ!?」
言われるがままに両手を出したら、ココさんが私の手を取った上にそのまま私に両手を合わせると、自分の両手は私の両手を包み込むように握ってきた。その大きな手と暖かさに私は思わず目を白黒させてしまう。