ライブベアラーは階段の上のモニター前に立つココさんに向けて巨大包丁を投げたけど、ココさんはそれをジャンプしてよけた。ココさんが下に着地すると、今度はライブベアラーがジャンプをするのでココさんは毒を全身にまとう。あれは私も初めて見る技だ！


「ポイズンアーマー!!」

「何がポイズンアーマーだ！　笑わせるな――っ!!」


ライブベアラーと対峙するようにココさんもジャンプをし、その間に毒でポイズンソードを精製する。


「でやあああっ!!」

「はあっ！」


硬度が高いココさんのポイズンソードがライブベアラーの包丁を打ち壊し、下に落ちる彼に向けてココさんは指を動かした。そして再びモニター前に着地するとポイズンアーマーを解く。

ココさんがライブベアラーを倒してくれたときには、もう他の料理人も全員倒し終えていた。


「――お待ち遠さまです！」

「ん？」

「おっ。小松さん、ナイスイタミング！」

「グルメテイスティング最後の食材、ポイズンポテトです！」


小松さんがワゴンで運んで来てくれたのは、ある程度の解毒ができたポイズンポテトだった。


「お～～っ！」

「トリコ。お前が最後に食べた三連続の食材……あれは、ポイズンポテトを食べるための準備だ。ロックリザード、ウニネズミ、シザースネーク、滋養強壮成分の高い三つの食材。この短時間でお前の体力は、万全な状態まで回復しているはずだ。――食べるんだろ？　ポイズンポテト」

「バレた？　アハハッ」

「ハハッ」


垂れたヨダレを拭うトリコの食欲は本当に恐れ入るよ。それにココさんも、このためにあの三種類を残していたんだね。……だけど、私たちはトリコに謝らなくちゃいけないことがある。


「でもトリコさん、ごめんなさい。毒の強い部分は除去できたんですが、それでもまだ中には相当の毒が……！」

「私の持っている知識でも、ポイズンポテトの完全な調理法はわからなかった……。ごめん……」

「構わねぇよ。言ったろ？　俺にはハズレ食材はねぇって。皿に出たモンは絶対にの残さねぇ」


するとトリコは小松さんと私を交互に見て微笑んだ。


「小松、瑞貴、お前らがこしらえてくれた料理なら尚更な」

「ト、トリコさん……！」

「トリコ……！」

「さっ、これを食って初めて俺たちの完全勝利だ！　この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます！」


トリコはポイズンポテトを取って一気に口の中に入れた。私と小松さんの調理法でも残った毒がトリコの体に大きな影響を及ぼさないといいんだけど……。