「トリコさんのグルメ細胞がそのうまみを糧に持ち堪えてくれると信じて、僕らは調理しました」

「そのあとのしびレモンも、強い強心作用による回復が目的……」

「ラストの猛獣三連続も、回復目的ってわけか！」

「そういうことだ」

「じゃあ早く教えてくれよ！」


……ココの言葉にトリコが文句を言っている中、二人だけでなく瑞貴と小松を含めた四人をマッチは驚いたように見ていた。


「なんて奴らだ……普通は考えついてもできるモンじゃねぇ……。ニトロチェリーを食うなんてよ……」


……どんなにスゴい作戦でも、爆破解除できてないニトロチェリーを食べるなんて離れ業は通常できない。しかもそれまでの過程をここまで繋げていた。


「さあ、カードを引きな、ライブベアラー。ポテトの毒を弱めようがそれ以外の調理をしようが――お前は死ぬがな」

「……フフフフフッ！　わかったわ。ポイズンポテト、いただきましょう！」

｢｢｢!?｣｣｣


さっきまでのココさんの説明を聞いていたはずなのに、ライブベアラーはなんてことのないように言ったので、それに私とトリコと小松さんは驚く。


（バカが……！　くだらん作戦を長々とご丁寧に説明しやがって！　こっちは準備ＯＫだわ！）


……ライブベアラーは痛覚遮断し、さらに食道から直腸までの消化器官の内壁を、生分解性プラスチックでコーティングした。これで毒が体内に吸収されることはないのだ。


「食べ合わせがなんだってぇ!?」

「わっ！」

「っ……！」


立ち上がって笑い出したライブベアラーの迫力に小松さんが驚いたので、私はとっさに彼を守るように手を前に出した。


「アーハッハッハッハッ!!　私は裏社会の王!!　このゲームすら所詮、私の手の上で起こる茶番劇!!　食べてやるわ！　ポ・イ・ズ・ン・ポ――テトッ!!」


ライブベアラーの余裕に私たちが怯む中、ただ一人冷静なココさんは一度目を閉じて開けると……。


「一つ言い忘れたが……お前、太陽酒(ｻﾏｰｳｨｽｷｰ)を飲んだとき一緒につまみを食べたな」

「ん？」

「太陽酒(ｻﾏｰｳｨｽｷｰ)に唯一適合する野菜……チーズ白菜」

「あっ……」


確かにライブベアラーはトリコの真似をするように、太陽酒(ｻﾏｰｳｨｽｷｰ)を飲むときチーズ白菜を食べていた。もしかして、あれにもこの状況を打破する秘密が？


「その中には、強力なアルコールをも分解する大量の微生物が住みついている」

「それが？　なんだっていうの？」

「生分解性のプラスチック……」

「あっ！」

「その程度なら、チーズ白菜の微生物で簡単に分解される……と言いたいんだが」

「ええっ!?」


ライブベアラーが目を見開いて驚いた。ということは、今彼がコーティングした生分解性プラスチックは、微生物により分解されている！