「でもイラネ。めんどくさ～いし！」

「なんだと!?」

「！」


……再び顔を赤らめた状態に戻って拒否したライブベアラー。その答えにマッチは驚き、ココは一度だけ眉を動かした。


《あーっと！　ここでライブベアラー様、般若パンダをパースー！　このゲーム初のギブアップ！　般若パンダの250ポイントが、再びココ・トリコ・小松・瑞貴チームのほうに入ります！》


私たちが会場に戻って来ると、マッチさんから現在のポイントと状況を聞いた。そしてこれを食べれば逆転だとわかると、料理人がしびレモンを運んで来る。


《続いてしびレモン！　実食願います！》

「しびレモンに、このハニードラゴンのハチミツで作った特製ソースをたっぷりかけておくね」


皿の上で小松さんが少し大きめの輪切りに切ると、私はハチミツソースをその上へかけた。


「おっ、いただきます！　あむっ！」


最初はフォークで食べたトリコだけど、食べた瞬間に来る甘さと電撃がうまく調和したのか皿を持って一気に流し込んで食べた！


「んぐうっ！」

《おーっとトリコ！　一個の電圧が１万ボルトと言われるしびレモンを、ダメージを負った体で完食!!　ココ・トリコ・小松・瑞貴チームに200ポイントが入り、なんとここに来て逆転に成功だ――っ!!》

｢｢｢｢｢オオォォオオオ!!｣｣｣｣｣


グルメマフィアのみなさんは喜んでくれているけど、一気に食べたことでトリコに襲いかかった電圧はハンパないに違いない！


「トリコさん！」

「大丈夫!?」

「小松……！　瑞貴……！　俺は…皿に出された料理は死んでも残さねぇよ……！」


たとえダメージを負っても皿に出されたら最後まで食べるって……――どんだけカッコいいこと言うの。ここまで『食』に誠心誠意のありがたさを持つ人ってなかなかいないよ。


（まさかここで逆転とはな……ライブベアラーがパスすることを予知していた？）


マッチさんもココさんの先読み能力に驚いている。占い師としての経歴があるとはいえ、ココさんは本当にスゴい！


《ココ・トリコ・小松・瑞貴チーム、三連続ヒットと完食により、手番はライブベアラー様に移ります！》

（このゲームでここまで楽しめたのは初めてだわ。そして……――勝負ありね！）


残り食材はハズレ食材と麻薬食材の五種類のみ。その中で大きくポイントを引き離せる高得点カードがある！