メリーイタダキマス! グルメサンタの贈り物!
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全ての配給が終わる頃には朝になっていて、結局みんな研究所に泊まることになった。
「お前たち、よくやった! 今日はゆっくり休んでくれ」
「そうさせてもらうか。さすがに眠いからな」
「僕もハシャぎ過ぎました……」
「お言葉に甘えさせていただきます」
「俺(レ)は肌ケアしてから寝るとすっか」
「瑞貴ー! ウチの部屋で一緒に寝るしー!」
「うん! あっ、その前にみんなに渡したいのがあるの!」
「「「「「?」」」」」
私は研究所に預けていた荷物からラッピングした包みをいくつか取り出すと、色を目印にみんなに配って行った。
「今は朝だから一日遅れだけど……私からのクリスマスプレゼントです!」
「「「「「おおっ!」」」」」
「開けていいか?」
「どうぞ」
トリコを筆頭にみんながラッピングを解いて中身を取り出した。それはみんなのパートナーを模した私の手作りの編みぐるみだ。リンちゃんにはスノードームを模したネックレス。チャームは市販だけど、組み立てたのは私自身である。
「かなり似てるじゃねぇか!」
「フフッ。まるでキッスが雛のときのようだ」
「この繊細な作り……美(ツク)しい!」
「ほら見て、そっくりだよ」
〈ユンユン!〉
「超可愛いしー! 瑞貴、超感謝だし!」
「バッハッハッ! まさかわしにもくれるとはな。ありがとう!」
「喜んでもらえてよかったです!」
実はマッチさんと滝丸くんと与作さんと、一応鉄平にもクリスマスプレゼントを贈った。こっちは所在がわかっているから郵送になっちゃったけどね。
「もしかして、ゼブラさんにも用意したんですか?」
「うん。でもゼブラはまだパートナーがいなかったから、グルメ界にいる強そうな猛獣の編みぐるみを作ったの」
実は原作で覚えてたから、ゼブラにはダルマホースの編みぐるみにした。喜んでもらえるのは難しいかもしれないけど、気に入ってもらえたらいいな。
「それじゃ瑞貴、さっそくウチの部屋に来るし」
「わかった。みんな、おやすみー!」
「おやすみだしー!」
「「「「「おやすみ/なさい」」」」」
リンちゃんに連れられて部屋に行き、私たちはお風呂や着替えを済ませるとベッドで一緒に横になった。グルメ研究所で猛獣使いのリンちゃんはかなり偉い人らしく、部屋も広いしベッドもダブルだから余裕で二人並んで眠れる。
「……ねぇ、瑞貴。ちょっといいし?」
「どうしたの?」
「瑞貴はさ、トリコのことが好き?」
「えっ? そりゃあ仲間として好きだよ。同時にトリコは私の恩人でもあるからね」
急にリンちゃんが振ってきた話の内容に驚いたけど、私は正直に言ったらリンちゃんは「そっか」と微笑んだ。
「ウチはさ、初めて会ったときからトリコのことが好きなんだし。ずーっと想い続けてアピールしてるけど、トリコがウチに対する扱いは子供の頃からずっと一緒だし」
「リンちゃん……」
「年月を経つに連れてトリコはどんどんカッコよくなって、四天王として有名で、人気者になって……ちょっと遠くに感じたこともあったし」
私がいつも見ているリンちゃんはトリコに遠慮なく抱きついたり、腕を組んだり、時には公開妄想したり……とにかく前向きな女の子だ。幼馴染だと振り向かせるのが難しいって言うけど、リンちゃんはストレートに愛情表現するなどスゴくがんばっている。
「だからウチは、瑞貴もトリコのことを好きになるんじゃないかってハラハラしてるし」
「えっ!? 私が!? ないない!」
確かに仲間や恩人としての意味なら好きだけど、恋愛感情は持っていない。そりゃあギャップを見せたときはドキドキするけど……それとこれは別だよ、うん! 普段のあいつは私をからかったりダメ出しして遊んでいるもの。だから違う……よね?
(でも、トリコは瑞貴のことが好きだから……)
……リンは初めて瑞貴がグルメコロシアムに来たときのことを思い出した。トリコがGTロボ相手に共闘する瑞貴を見る目がいつもと違うとリンはわかっていた。最初は無意識かと思ったら、日が経つにつれてトリコの想いが瑞貴に向いていると気づいている。
「でも気持ちがどう動くかわからないし。だからもし……もしもだよ?」
「ん?」
「もし、瑞貴がトリコのことを好きになってもウチはあきらめないし。だけど同時に瑞貴ともずっと親友でいたいし。こんなこと難しいかもしれないけど……」
眉を下げるリンちゃんを見て、私はギュッと手を取った。いきなり取られて驚いた顔をされたけど私はニコッと笑う。
「私もリンちゃんとずっと親友でいたい。万が一トリコのことが好きになったら、真っ先に報告するから。そのときは――正々堂々と勝負しようね!」
「うん! ウチ、負けないし!」
どうしてリンちゃんが急にこんな話をしたのかはわからないけど、『リンちゃんとずっと親友でいたい』という気持ちに嘘偽りはない。
それにしても……もしトリコとリンちゃんが両思いになったら、もう今みたいに一緒に旅に行ったりできないのかな。小松さんと違って私は『仲間』だし……。
「瑞貴?」
「あっ、ううん。なんでもないよ」
一緒にいれない、それだけは嫌だってハッキリとわかる。この気持ちはある意味嫉妬だけど、それが『恋』の意味かはわからないや。
それから久しぶりにゆっくりと二人で過ごし、私たちは自然と眠くなるまでずっと話していた。
――翌日。研究所にゼブラが来て、私のクリスマスプレゼントである編みぐるみを受け取りに来たのは別の話である。
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