四天王招集! 真冬の夜の奇跡!
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……ハニープリズンの所長室では、ラブがゼブラに会えない悔しさを駄々こねながらオーバンに存分に愚痴っていた。
「イケズだわ~ゼブラちゃん! 依頼を断るなんて、せっかく会えるチャンスだったのに~!」
「刑務所出所の条件……新種食材百種類の発見と五百人の指名手配犯の捕獲がありますから、さすがのゼブラも苦労しているのでしょう」
「フンッ! そんなモノとっくに終わってるでしょ、ゼブラちゃんのことだもの」
「えっ!?」
「あちしがゼブラちゃんに関して気になっているのは、もっと別のことよ!」
「別のこと?」
「そう、とても重大なことよ」
いつもより真剣な表情をして顔をしかめるラブに、オーバンは思わずゴクリと唾を飲み込むと……。
「ゼブラちゃんが瑞貴ちゃんに好意を持ってるかもしれないってことよー!」
「……ハッ?」
全く予想と真逆の答えが返ってきた。これまた思わずオーバンは唖然とするが、ラブは真剣そのものである。
「刑務所出所パーティーのとき、ゼブラちゃんってば事あるごとに瑞貴ちゃんを見てたのよ! 瑞貴ちゃんにだってゼブラちゃんは譲れないわ! ……でも、瑞貴ちゃんはあちしの大事なお友達だし、ゼブラちゃんのことだって応援してくれるいい子だし……恋と友情は複雑だわ~!」
「…………」
頭を抱えて暴走するラブをどう宥めようかとオーバンが考えていると……。
〈ギャース!〉
〈ゴアアアッ!〉
〈ブモモモッ!〉
外から聞こえるたくさんの猛獣の鳴き声で、ようやくラブの動きが止まった。
「ずいぶんと騒がしいわね」
「凍季が終わったと勘違いした猛獣が、冬眠から目覚めたようです。さらに……」
「!」
「『白い悪魔』が目覚めたとの情報も」
「そう……それは、マズいわね」
「はい……」
かつてゼブラが倒したマグマトータスとも引けを取らない猛獣の目覚めの知らせは、ラブもオーバンも難しい顔をするほどだった。
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雪道だっていうにもかかわらず、トリコは迷いもなく走って行くから私たちも急いで追いかける。
「甘露の木! 近いぞ!」
「待ってくださいよ~! って、うわあっ!」
「小松さん!? わみゃ!?」
「「わああぁぁあああ!!」」
雪に足を取られた小松さんを助けようと手をつかんだら、小松さんが転がるほうが早く、二人そろって雪玉を作るように転がってトリコを追い抜かしてしまった。スピードが加速するし挙げ句に坂に軌道を変えられて、大木にぶつかったことでやっと止まった。
「イテテテ……小松さん、大丈夫?」
「はい、なんとか……――って!」
「えっ?」
雪を払いながら顔を上げたら、ぶつかった木がとても巨大過ぎて私たちは驚くことになった。
「な、なんじゃこりゃ――っ!!」
「ええぇぇえええ!?」
「っ!」
「これって!」
「ホォ……」
「この香り……間違いねぇ! これが…ジュル…甘露の木だ!」
ココさんもリンちゃんもサニーも到着し、トリコもヨダレを拭って叫んだ。まさか転がった先が甘露の木って、これも食運の成せる技?
「これが……!」
「デッカい……!」
「――た…助けて……」
「「えっ?」」
小松さんと甘露の木を見上げていたら、雪の中から力ない声が聞こえてきた。
「誰か……」
「「ヨ、ヨハネスさん!?」」
雪の中で倒れていたのは、さっき見つけた無線機の持ち主である、IGO開発局食品開発部長・ヨハネスさんだった。
とりあえず持って来た収納袋から出した食材をヨハネスさんに渡すと、メチャクチャお腹が減っていたのかがっついて食べている。
「うまい! ジンジャーエールのような甘み、ピリッとした辛さ!」
「モグモグ…ショウガッツの実だ。生姜は体を温める効果があるからな」
「モグモグ~」
「てか、なんでトリコとリンちゃんまで食べてるの!? いつの間に!?」
ヨハネスさんにって出したのに、トリコとリンちゃんまで便乗して食べていた。