「……竹ちゃんがどうして彼女をそんなに非難することはわからないけど、これだけは言える」

「ん？」

「舞獣姫さんは、食べることの幸せや大切さをよく知っている！」

「……っ！」


修業時代の仲間に強く否定されたのがショックだったのか、大竹は歯を食いしばると――。


ズキィンッ！


｢｢！｣｣


小松と大竹は同時に『何か』を感じ取り、体の動きを思わず止めた。



☆☆☆☆☆


近況報告も終わり、私はまた来ると約束してウォーに乗ろうとすると――。


ズキィンッ！


「っ！　今の……!?」

〈ギュア？〉


第六感の危機察知とは違う、今までにも何度か感じたこともあった感覚が、光のように速くて雷のように鋭く感じ取った。


「今のは何度か味わったことのある、食材の声が聞こえた瞬間……!?」


……それは小松と大竹と瑞貴だけでなく、それは世界中の幾人かの料理人も感じ取っていた。そしてそれが必要になるのは、誰も知らないまだ先の話である。



☆☆☆☆☆


……宝箱のフタが開いたのはいいが、完全にフタが退いていないため中身がわからない。もらった食糧を食べて回復したトリコは、ココと共にフタを退かす作業に入る。


｢｢せー……のっ!!｣｣


ズドオォォオオン!!


やっとのことでフタを退かすと中心部に窪みがあり、二人は駆け出して近づくと――。


「なっ！」

「なんだこりゃあ!?」


グルメケースに入っているのは思っていたスゴい食材ではなく、たった一つの小さな粒だけだった。


「豆か？」

「何かの種のようにも見えるが……何故か電磁波の波長が弱まったな。大したモノではないのかな？」

「あの会長(ｵﾔｼﾞ)め～！　スンゲェご馳走が入ってると思ったのに～～っ!!」


特に苦労してツイン釘パンチを打ち続けたトリコの悔しさはハンパじゃない。拳を握り締めてここにはいない一龍に対して恨めしそうに言う。


「いずれにせよ、これが会長のフルコースなら詳しく調べてみる必要はありそうだ」


ココの意見に異論はなく、トリコは一龍のフルコースである前菜を持っていくことにした。