分かれ道! 料理人のめざす先
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「新しい食材の情報…美食屋への依頼…仕入れ……全て『金』が可能にしてくれる」
「えっ?」
「フフッ。ちょっと珍しい食材を見つければ、すぐに物好きな投資家共が集まってくるぜ――それがグルメ時代。あとは宣伝、莫大な広告費を投じていろんなメディアに露出することで客をつかむ……根回しも忘れずにな。これで簡単に客は来るぞ。高級店でメシを食うことだけがステータスの、味もわからんバカな客共がさらに湯水のように金を落としていくのさ。どうだ、簡単だろ?」
バンッ!!
「お客をそんな風に言うのはよくないよ!」
「「「!?」」」
普段怒りを露わにしない小松が、テーブルを思いっきり叩いて立ち上がるほど叫んだ。その迫力に帰ろうとした取材陣たちも思わず足を止めて振り返ってしまう。
「もしかしてメディアへの根回しって、店を過剰に持ち上げてもらうための……! 取材なのに雑誌のリポーターが少しも食べなかったのは、『すでに書くことが決まってる』からなんじゃないの!?」
「……そうだけど? 悪いか?」
大竹は悪びれもなく、むしろニヤリと笑ってそう言った。
「竹ちゃん……賄賂は犯罪だよ!?」
「別に『嘘を書け』と言ってるわけじゃない。うちの料理は本当にうまいんだから」
「本当においしいなら、わざわざそんなことしなくてもいいじゃないか!」
「わかってないな! バカな客はその情報が全てなんだよ! いいか! 顧客満足度だって、そのバカな客のアンケートで決まるんだぞ!」
「お客を『バカ』っていうなんて……!」
小松はトリコや瑞貴を始め、今まで出会った人たちの食事を思い出した。みんなおいしいものを食べて笑顔になり、それがいつの間にか環になって楽しい雰囲気となっていた。
「料理はお客を……食べる人を大切にしないと!」
「フンッ、うちの店だってこうやって七ツ星まで伸し上がったんだ。みんなやってることさ」
「そんなことはない! 僕には…僕には……『食べること』の大切さを教えてくれた人たちがいる!」
☆☆☆☆☆
花屋を出てウォーが次に向かってくれた場所は古い孤児園だ。もう使われていないせいで建物の老朽化は進んでいるけど、墓にもなっているから入口にはいろんな花やおもちゃやお菓子が置いてある。私以外にも来てくれた人がいたんだろう。園長先生も子供たちもいい人だったからね。
ウォーから降りた私は周りに人がいないのを確認すると、仮面を取って素顔の状態で花束を置く。
「遅くなってごめんなさい」
ここは昔、私が初めて舞獣姫として寄付をした場所で――とある食材による集団食中毒で一人残らず亡くなってしまったのだ。
事件当日は他の寄付に行ってて私は寄ることができず、話を聞いて駆けつけたときにはすでに埋葬されていた。優しい園長先生も、孤児とはいえ前向きで元気な子供たちも、私が元の世界にいたときの施設に似てて愛着が特に湧いていた知ったときは涙した。
そんなときだった。私と同じように彼らの冥福を祈りに来た人が孤児園の卒園生で、私が舞獣姫だと知ると顔をしかめて――。
『お前が来なかったから! お前のせいであの人たちは死んだんだ!』
そう叫ばれたけど、私は否定することもできなかった。最初の頃は結構入り浸っていたのに、貧しい町や村や施設をいろいろ知ってからは寄付場所を増やし、ここを訪れる機会が減ってしまった。もともと事件が起こった翌日に来る予定だったけど、私が一日でも早く来ていたら……と思わずにはいられなかったからだ。
そして当時はその人が誰かわからなかったけど、数年後に出たグルメ雑誌で写真を見たときに知って、孤児園の人たちがいつも話してくれた人だと合点した。それから彼の功績がメディアに出てからは、私はみんなに知らせにここに来る。
それに私だけじゃなく、誰かが彼の現在までメディアに出た朗報や功績の記事を、誰もいなくなった部屋の壁に貼っていた。きっと天国の子供たちが見て喜んでくれるように。
「えっ?」
「フフッ。ちょっと珍しい食材を見つければ、すぐに物好きな投資家共が集まってくるぜ――それがグルメ時代。あとは宣伝、莫大な広告費を投じていろんなメディアに露出することで客をつかむ……根回しも忘れずにな。これで簡単に客は来るぞ。高級店でメシを食うことだけがステータスの、味もわからんバカな客共がさらに湯水のように金を落としていくのさ。どうだ、簡単だろ?」
バンッ!!
「お客をそんな風に言うのはよくないよ!」
「「「!?」」」
普段怒りを露わにしない小松が、テーブルを思いっきり叩いて立ち上がるほど叫んだ。その迫力に帰ろうとした取材陣たちも思わず足を止めて振り返ってしまう。
「もしかしてメディアへの根回しって、店を過剰に持ち上げてもらうための……! 取材なのに雑誌のリポーターが少しも食べなかったのは、『すでに書くことが決まってる』からなんじゃないの!?」
「……そうだけど? 悪いか?」
大竹は悪びれもなく、むしろニヤリと笑ってそう言った。
「竹ちゃん……賄賂は犯罪だよ!?」
「別に『嘘を書け』と言ってるわけじゃない。うちの料理は本当にうまいんだから」
「本当においしいなら、わざわざそんなことしなくてもいいじゃないか!」
「わかってないな! バカな客はその情報が全てなんだよ! いいか! 顧客満足度だって、そのバカな客のアンケートで決まるんだぞ!」
「お客を『バカ』っていうなんて……!」
小松はトリコや瑞貴を始め、今まで出会った人たちの食事を思い出した。みんなおいしいものを食べて笑顔になり、それがいつの間にか環になって楽しい雰囲気となっていた。
「料理はお客を……食べる人を大切にしないと!」
「フンッ、うちの店だってこうやって七ツ星まで伸し上がったんだ。みんなやってることさ」
「そんなことはない! 僕には…僕には……『食べること』の大切さを教えてくれた人たちがいる!」
☆☆☆☆☆
花屋を出てウォーが次に向かってくれた場所は古い孤児園だ。もう使われていないせいで建物の老朽化は進んでいるけど、墓にもなっているから入口にはいろんな花やおもちゃやお菓子が置いてある。私以外にも来てくれた人がいたんだろう。園長先生も子供たちもいい人だったからね。
ウォーから降りた私は周りに人がいないのを確認すると、仮面を取って素顔の状態で花束を置く。
「遅くなってごめんなさい」
ここは昔、私が初めて舞獣姫として寄付をした場所で――とある食材による集団食中毒で一人残らず亡くなってしまったのだ。
事件当日は他の寄付に行ってて私は寄ることができず、話を聞いて駆けつけたときにはすでに埋葬されていた。優しい園長先生も、孤児とはいえ前向きで元気な子供たちも、私が元の世界にいたときの施設に似てて愛着が特に湧いていた知ったときは涙した。
そんなときだった。私と同じように彼らの冥福を祈りに来た人が孤児園の卒園生で、私が舞獣姫だと知ると顔をしかめて――。
『お前が来なかったから! お前のせいであの人たちは死んだんだ!』
そう叫ばれたけど、私は否定することもできなかった。最初の頃は結構入り浸っていたのに、貧しい町や村や施設をいろいろ知ってからは寄付場所を増やし、ここを訪れる機会が減ってしまった。もともと事件が起こった翌日に来る予定だったけど、私が一日でも早く来ていたら……と思わずにはいられなかったからだ。
そして当時はその人が誰かわからなかったけど、数年後に出たグルメ雑誌で写真を見たときに知って、孤児園の人たちがいつも話してくれた人だと合点した。それから彼の功績がメディアに出てからは、私はみんなに知らせにここに来る。
それに私だけじゃなく、誰かが彼の現在までメディアに出た朗報や功績の記事を、誰もいなくなった部屋の壁に貼っていた。きっと天国の子供たちが見て喜んでくれるように。