極上の千歳飴! 小松とユン物語
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「ユンちゃん……」
「アイスヘルでのことを、思い出してるのかもしれねぇな……」
きっとトリコの言う通りだろう。アイスヘルで暮らしていたユンちゃんは、トミーロッドの手によって両親を亡くした。普段はあんなに明るくても、家族を一気に失った寂しさは大きく残っているに違いない。
「舞獣姫さん、どうぞ」
「あっ、ありがとう」
「お腹空いてないかい? ほら、おいしいグル樹の実が入ってるんだって」
〈ユンユーン!〉
小松さんは私のモンブラーメンを渡すと、ユンちゃんのそばで片足を着いた。そして小さく切った麺を食べさせようとすると……。
〈ユユユン!〉
「熱かった!? ごめんごめん! 冷たい物のほうが好きだよね、フー……フー……」
いきなりアツアツはダメだったのか、小松さんも今度はちゃんと冷まして食べさせる。
〈ユユユーユン! ユユユン!〉
「ユンちゃん、おいしい?」
〈ユンユン!〉
小松さんが冷ましてあげる度に、ユンちゃんは嬉しそうにハシャぎだした。私も食べようっと……あっ、甘くておいしい!
「そうだ、ユンちゃん。あっちに冷たい干し柿氷があるけど、食べる?」
〈ユーユン!〉
……ユンを中心に瑞貴と小松が笑顔でいる。それを見守るトリコもつられるように微笑む。だが――。
「あら、あそこに可愛いペンギンがいるわ」
「ホントだな。まるで家族のようだ」
「!」
……参拝客が同じように瑞貴と小松とユンを見たのだろう。しかし会話が聞こえたことで、最初は微笑ましい光景と思っていたトリコだが次第に複雑な気分にもなり始める。
「――おおっ! いらっしゃいましたか!」
「「「ん?」」」
「御神官がお待ちです。さあ、早く!」
駆け寄って来たのは服装からしてグルメ神社の関係者だ。なんだか慌てているけど、何かあったのかな?
☆☆☆☆☆
それから私たちは本殿の近くある別の建物に案内され、パーポー神官から衝撃的なことを告げられる。
「千歳飴がない!?」
「申し訳ない。本来ならば千歳飴を配っていただくためだけに、お招きすべきところを……」
「って、どういうことですか?」
「実は千歳飴作りに欠かせない『ある食材』を、未だ調達しておらず……」
「なるほど。その捕獲のために私たちを呼んだんですね」
「だろうな」
「えっ!?」
私たちが美食屋ということだけでなく、今年で一番運がいいと言われる食男と食女だからっていうのもあるだろう。私とトリコはすぐに察したけど、察してなかった小松さんは驚いた。
パーポー神官に引き続き、宮司さんも申し訳なさそうに眉を下げる。
「すみません……。今の今まで手を尽くしたのですが……」
「で、その食材ってのは?」
「『コトブキビ』です」
「コトブキビ!?」
……その樹液はサトウキビの一千万倍も甘く、一本で地球千周分の長さの千歳飴ができると言われているのだ。
「膨大な参拝客数を誇るこのグルメ神社で、充分な量の千歳飴を用意するのに欠かせません」
「縁起のいい色合いと万人が好む味わいを兼ね備えた、貴重な食材でもあります」
「確か、冷たく湿った土地と強烈な日光っていう、本来両立しねぇ二つの条件がそろった場所で育つんだったよな」
「捕獲レベル相当高そうですねぇ……」
「それでも、数年に一本はなんとか確保してまいりました。ですが、その蓄えも切らしてしまって……」
「子供たちや親御さんらのために、どうしても今日の内に千歳飴を用意せねばと、食男と食女のお三方に最後の頼みの綱とお招きした次第です」
早めに呼ばれたのは予想通りだけど、確かに七五三は親にとっても子供にとっても大事な行事だ。それを台無しにするわけにはいかない。
「アイスヘルでのことを、思い出してるのかもしれねぇな……」
きっとトリコの言う通りだろう。アイスヘルで暮らしていたユンちゃんは、トミーロッドの手によって両親を亡くした。普段はあんなに明るくても、家族を一気に失った寂しさは大きく残っているに違いない。
「舞獣姫さん、どうぞ」
「あっ、ありがとう」
「お腹空いてないかい? ほら、おいしいグル樹の実が入ってるんだって」
〈ユンユーン!〉
小松さんは私のモンブラーメンを渡すと、ユンちゃんのそばで片足を着いた。そして小さく切った麺を食べさせようとすると……。
〈ユユユン!〉
「熱かった!? ごめんごめん! 冷たい物のほうが好きだよね、フー……フー……」
いきなりアツアツはダメだったのか、小松さんも今度はちゃんと冷まして食べさせる。
〈ユユユーユン! ユユユン!〉
「ユンちゃん、おいしい?」
〈ユンユン!〉
小松さんが冷ましてあげる度に、ユンちゃんは嬉しそうにハシャぎだした。私も食べようっと……あっ、甘くておいしい!
「そうだ、ユンちゃん。あっちに冷たい干し柿氷があるけど、食べる?」
〈ユーユン!〉
……ユンを中心に瑞貴と小松が笑顔でいる。それを見守るトリコもつられるように微笑む。だが――。
「あら、あそこに可愛いペンギンがいるわ」
「ホントだな。まるで家族のようだ」
「!」
……参拝客が同じように瑞貴と小松とユンを見たのだろう。しかし会話が聞こえたことで、最初は微笑ましい光景と思っていたトリコだが次第に複雑な気分にもなり始める。
「――おおっ! いらっしゃいましたか!」
「「「ん?」」」
「御神官がお待ちです。さあ、早く!」
駆け寄って来たのは服装からしてグルメ神社の関係者だ。なんだか慌てているけど、何かあったのかな?
☆☆☆☆☆
それから私たちは本殿の近くある別の建物に案内され、パーポー神官から衝撃的なことを告げられる。
「千歳飴がない!?」
「申し訳ない。本来ならば千歳飴を配っていただくためだけに、お招きすべきところを……」
「って、どういうことですか?」
「実は千歳飴作りに欠かせない『ある食材』を、未だ調達しておらず……」
「なるほど。その捕獲のために私たちを呼んだんですね」
「だろうな」
「えっ!?」
私たちが美食屋ということだけでなく、今年で一番運がいいと言われる食男と食女だからっていうのもあるだろう。私とトリコはすぐに察したけど、察してなかった小松さんは驚いた。
パーポー神官に引き続き、宮司さんも申し訳なさそうに眉を下げる。
「すみません……。今の今まで手を尽くしたのですが……」
「で、その食材ってのは?」
「『コトブキビ』です」
「コトブキビ!?」
……その樹液はサトウキビの一千万倍も甘く、一本で地球千周分の長さの千歳飴ができると言われているのだ。
「膨大な参拝客数を誇るこのグルメ神社で、充分な量の千歳飴を用意するのに欠かせません」
「縁起のいい色合いと万人が好む味わいを兼ね備えた、貴重な食材でもあります」
「確か、冷たく湿った土地と強烈な日光っていう、本来両立しねぇ二つの条件がそろった場所で育つんだったよな」
「捕獲レベル相当高そうですねぇ……」
「それでも、数年に一本はなんとか確保してまいりました。ですが、その蓄えも切らしてしまって……」
「子供たちや親御さんらのために、どうしても今日の内に千歳飴を用意せねばと、食男と食女のお三方に最後の頼みの綱とお招きした次第です」
早めに呼ばれたのは予想通りだけど、確かに七五三は親にとっても子供にとっても大事な行事だ。それを台無しにするわけにはいかない。