「いや、蛇は発声器官があんま発達してねぇ。クインが出しているのは声じゃなくフェロモンだ」

「フェロモン？」

「俺の直観にクインが警報フェロモンで警告している。蛇は二股に分かれた舌の先で匂いの出所が左右どっちなのか調べられる。その舌を出し入れして獲物や外敵の位置まで計れるのさ」

「警告って、まさか……！」

「何か来る！」

「っ、みたいだね……！」

｢｢何っ/えっ!?｣｣


私も第六感も反応してきた。しかも進路は……私たちの真上ともうえる滝の上から！


ドボンッ!!　ドボンッ!!


「なんだ!?　無数の岩が！」

「トリコ、瑞貴、松、急ぐぞ！　この滝を抜けるんだ！　やな予感がする……直観だがな！」

「その直観、当たっているよ。私の第六感が警報を鳴らしまくっているんだから」


大岩が降ることはさっきもあったけど、それは滝に流れると小さくなるから大きいのはごくわずか。でも大きな岩が無数に振っているって言うことは、それ以上の大岩……いや、もっとヤバいモノが来る！


｢｢な――っ!?｣｣

「わみゃ――っ!!」

「ハア――ッ!?　なんだこりゃ!?　デッケェ岩！」

「いや、これは……山だ！」

「巨大な山が丸ごと流されて来たのか！」

「しかも並のサイズじゃないよ！　ありゃ絶対高さ５千メートルはあるって！」


確かに何か来るって予測はしていたけど、あれは予測以上のモノだって！　つか、山が流れるってどんな自然現象だよ！


「マズいぞ、ここはまだ滝の中間地点だ。回避はムリくせぇ！」

「レッグナイフ!!」

「疾風斬!!」


トリコと私が技を放ってみたものの、当たったけど切れ目を入れる程度しか効果はなかった。


「ダメか！　さすがにデカ過ぎる！」

「サニー、スーパーフライ返しを！」

「サニーさん、お願いします！　美しくやっちゃってください！」

「星くらいの超巨大隕石をも跳ね返すのが俺の目標だが……正直今はムリ！」

｢｢｢えっ？｣｣｣

「俺のフライ返しは触覚……つまり髪の毛で力を誘導させて相手に返す技。髪自体の耐久力がある程度必要だ。今現在、俺の髪の毛一本の張力はおよそ300キロ……一本でその千倍までの力を受け流せるが、それ以上は耐えられなくて切れちまう」

「つまり髪30万本だと、９千万トンが限界値ってことか」

「この山は重過ぎる。恐らく、数兆トンはくだらなくねー？」

「水の重さだけで数億トンはありそうな滝を跳ね返したろ？」

「滝はあの山みてぇな個体じゃなく液体だからな。全体じゃなく手前の水を跳ね返したのさ」


確かに液体と固体じゃ違い過ぎる……サニーはどう返すかも直観で感じて最低限の力で水を跳ね返していたんだ。


「俺のツイン釘パンチでもムリか……。瑞貴、守護壁はどうだ？」

「それこそムリ！　持てる力を全て守護壁に使ってもすぐに破られる！　神獣になっても、神獣自体の重さで私以外のみんなは水中に沈まれちゃうよ！」

「うわー！　じゃあどうするんですかー!?」


正直絶望的と言っても過言じゃない。だからと言って私だけ助かるなんて選択肢は選ぶつもりはないし論外だ！