「ト、トリコさん……み、瑞貴さん……」

「ああ」

「小松さんは下がってて」


トリコとサニーが構え、私もブレスレットを薙刀にすると――。


〈パオオォォオオン!!〉

｢｢｢！｣｣｣


また新たな鳴き声に顔を上げると、マウンテンサウルスの頭上の空に捕獲レベル49の翼竜獣類・エレファントコングが現れた。


「ヒッ！　もう一頭来ましたよ……！」

「つーか……デカッ！」

「ああ。どっちもリーガルマンモス級の巨体だな」

「デスフォールに突入する前の準備運動になるか、逆に体力を消耗されるか……」


するとマウンテンサウルスもエレファントコングも私たちではなく、お互いを狙い定めて戦いを始めた。


ゴロゴロ……――ドンッ!!　ガンッ!!


〈ギョアァァアアア!!〉

〈パオオォォオオン!!〉


滝の上から転がって(流れて？)来た大岩が、どこかにぶつかったショックで空に跳ねると、マウンテンサウルスとエレファントコングに当たり、そのまま滝の中に呑み込まれてしまった。しかも二頭とも身動きが取れず叫びながら落ちていく……。


「これが処刑の滝……デスフォール！」

「捕獲レベルが高い猛獣もイチコロってわけね……！」


滝の中から聞こえる二頭の悲痛な鳴き声は、デスフォールの……自然の恐ろしさを改めて認識された。私の環境適応能力は自然の流れに乗るだけで逆らうことはできないからな……あの中に入ったら私もイチコロだろう。


「帰りましょう、トリコさん、瑞貴さん、サニーさん」

「小松さん、そんな真顔で言わなくても……」

「デスフォールの滝……近くで見るとなかなかパネェ」


ドゴォンッ!!


今度は上流から砕け散った大岩や流木が流れて来て、それが滝の中にいるマウンテンサウルスとエレファントコングの頭上に落ちてトドメとなった。


「あんなにデッカい猛獣があっという間に!?　ってこれ、100パーセントムリですよ！　トリコさん！　瑞貴さん！　サニーさん！　帰りましょうよ！」

「なるほどな。山のように巨大な岩や流木も含んだ水の爆弾か……くらったらひと溜まりもねぇな」

「さて、こいつをどっから攻略する？」

「水中はどうだ？」

「ダメだ、この人たち全然行く気満々……」

「小松さん、ここまで来たらあきらめよう」


トリコとサニーは一切引き上げる気がないので、私は労うように小松さんの肩にポンッと手を置いた。


「水中はやめたほうがいいかもな。見ろ」


サニーが示した滝の下を私たちが視線を向けると、大小と異なるけどいくつものの巨大な渦潮が発生していた。