水晶の輝き! サンサングラミー!

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「松、例えばお前が俺とコンビに、そして瑞貴が俺の彼女になれば、一生食われることはないんじゃね」


…………。


「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」

「あっ」


上から小松さん、私、トリコ、サニーの順で声を上げる。今、サニーはなんて言った? 誰が誰のコンビに? 誰が誰の彼女に? 思わず目が点になったぞ?


「え~……あ~……なんでもねっ! クイン、森を抜けていくぞ!」

「ぎいやあぁぁああ!! スピード出し過ぎですって――っ!!」


誤魔化すようにサニーが指示を出すとクインのスピードが増して、一気に島の森へ入って行った。おかげで小松さんは悲鳴を上げるし、さっきのことは記憶の彼方に吹き飛んだだろうな。

クインはスピードを落とさず木々の間を器用にすり抜けて行くけど……今、口を開けたよね? しかもカエルみたいな足が見えるんだけど。


「わー! なんか食べましたよー今ー!」

「これが『顔を見た奴は食われる』ということね……」

「ハハッ! 『蛇に睨まれた蛙は動けなくなる』と言うが、マザースネークに関しては『食われちまう』ってのが正しいな!」

「確かにスゲースピードだ! 時速400キロは出てんじゃねぇか?」

「時速400キロってグルメ新幹線より速いじゃないですかー!」

「蛇は全身が筋肉の塊だから自由に動ける。言わば、自在にコースを変えられる新幹線ってとこだな。いい機動力だ!」

「クインはまだまだ子供。スピードはこんなモンだろ」

「こんなモンって!?」

「大人のマザースネークはまるで流星のようなスピードで移動するらしいよ、小松さん」

「これより速いんですかー!?」


なんだかんだ言いながら、小松さんもだいぶ目が慣れてきたんじゃない? ツッコミできる余裕もできているし。


「見たら願いごとを唱える美食屋もいるくらいさ」

「やっぱ縁起のいい奴だ!」

「確かに縁起いいかも! ――ん? 超ラッキーかも!」


前方を見てサニーが目を輝かせたので、私たちもそれを追うと枝の間からキラキラと輝いている実が見えた。


「あれは、滅多にお目にかかれねーミラーライチ! クイン!」

〈シェアアア!〉


クインが体を曲げて木にぶつかるとミラーライチが次々落ちて来た。サニーが器用にキャッチする。中には触手を使って取ったのもあるかもしれないけど。


「思わずハッスルしてフィーバーしそうなこの輝き! 美(ツク)しー! あむっ!」

「あー!」

「う~ん! 見かけに劣らぬ口の中で踊るような派手な甘み! いい! スゴくいい!」

「おいおい、俺にもくれよ!」

「やだ。自分のモンは自分で採れ」

「ムー!」


ミラーライチを楽しむサニーに対し、自分に譲ってもらえなかったトリコはふてくされた。頬を膨らませてちょっと可愛いかも。


「ほれ」

「えっ? えっ?」


サニーはミラーライチのひと粒を私にくれた。だけどトリコにはあげなかったのに、私がもらっていいのかと思わずサニーとミラーライチを交互に見てしまう。
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