ニワトラの卵! よっち爺さんと妻の記憶
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「「お待たせしました!」」
「おおっ!」
「ニワトラの卵だけで作った、フワッフワのプレーンオムレツと」
「にんにく鳥の茶碗蒸し! 生姜豚とクリーム松茸のタマゴチャンプルーだよ」
「ヒャッハ~! うまそ~! この世の全ての食材に感謝を込めて」
「「「「いただきます!」」」」
両手を合わせて礼をし、トリコはオムレツ、小松さんは茶碗蒸し、私はタマゴチャンプルーをひと口食べて……あまりのおいしさに感動して頬がとても緩んでしまった。
「まろやかだが、腰のある強い味だ!」
「!」
……トリコが言う味の感想に、よっちは再びある女性を思い出した。
――食事をしたあとは談笑して夜になっても盛り上がって、そこでよっちさんが昔は美食屋だったことを話してくれた。
「えっ? よっちじいさん、もともと美食屋だったのか!」
「ああ。もうずいぶん前に引退したがの」
「ひょっとしてニワトラを手懐けて卵を産ませてるのも、よっちさんなんですか?」
「そうじゃよ。昔あの場所で鳥の雛を見つけての。それがなんとニワトラの雛だったんじゃ」
「雛から育てたのか。ニワトラは大人になると強暴で捕獲レベル50はくだらん。かなり危険だ。それこそが巨万のひと坪から誰も卵を横取りできない理由でもあるが……」
「そんな強暴な鳥の雛を、何故育てようと……?」
小松さんの疑問はもっともだ。美食屋をやっていたよっちさんなら、ニワトラのことを知っているはずだし、あそこまで手懐けるには相当の根気も必要になるのに。
「やっぱり金儲け?」
バシッ!
「違うわい! 言葉に気をつけい!」
サラリと失礼なことを言うトリコに、私がひっぱ叩いたのと同時によっちさんのツッコミが入った。そもそも金儲けが狙いなら、この家は豪邸になっているし、大金を持って来た買い取り手を追い出さないだろう。
よっちさんはお茶を飲んで湯呑を置くと、昔を懐かしむように話してくれた。
「その前の年じゃったなぁ……わしが女房を亡くしたのは」
「「「!」」」
「まだわしが現役の美食屋だった頃……当時のわしは遮二無二働いておった」
……もともと病気がちだった女房を助けるため、たくさん稼いでうまいメシを食わせてやろうと、仕事の依頼も全部受け、食材探しに没頭していた。しかし――。
『おい、帰ったぞ! ――っ!』
女房の病気は悪化していた。よっちが仕事を終え久々に帰った頃にはもう手遅れだった。そのとき女房が絞り出した言葉を、よっちは今でも忘れることがない。
『使いきれないほどの大金を送ってもらうより……一回でも多く…一緒に食事をしたかったわ……』
……そうよっちに言い残して、女房は事切れてしまった。
「おおっ!」
「ニワトラの卵だけで作った、フワッフワのプレーンオムレツと」
「にんにく鳥の茶碗蒸し! 生姜豚とクリーム松茸のタマゴチャンプルーだよ」
「ヒャッハ~! うまそ~! この世の全ての食材に感謝を込めて」
「「「「いただきます!」」」」
両手を合わせて礼をし、トリコはオムレツ、小松さんは茶碗蒸し、私はタマゴチャンプルーをひと口食べて……あまりのおいしさに感動して頬がとても緩んでしまった。
「まろやかだが、腰のある強い味だ!」
「!」
……トリコが言う味の感想に、よっちは再びある女性を思い出した。
――食事をしたあとは談笑して夜になっても盛り上がって、そこでよっちさんが昔は美食屋だったことを話してくれた。
「えっ? よっちじいさん、もともと美食屋だったのか!」
「ああ。もうずいぶん前に引退したがの」
「ひょっとしてニワトラを手懐けて卵を産ませてるのも、よっちさんなんですか?」
「そうじゃよ。昔あの場所で鳥の雛を見つけての。それがなんとニワトラの雛だったんじゃ」
「雛から育てたのか。ニワトラは大人になると強暴で捕獲レベル50はくだらん。かなり危険だ。それこそが巨万のひと坪から誰も卵を横取りできない理由でもあるが……」
「そんな強暴な鳥の雛を、何故育てようと……?」
小松さんの疑問はもっともだ。美食屋をやっていたよっちさんなら、ニワトラのことを知っているはずだし、あそこまで手懐けるには相当の根気も必要になるのに。
「やっぱり金儲け?」
バシッ!
「違うわい! 言葉に気をつけい!」
サラリと失礼なことを言うトリコに、私がひっぱ叩いたのと同時によっちさんのツッコミが入った。そもそも金儲けが狙いなら、この家は豪邸になっているし、大金を持って来た買い取り手を追い出さないだろう。
よっちさんはお茶を飲んで湯呑を置くと、昔を懐かしむように話してくれた。
「その前の年じゃったなぁ……わしが女房を亡くしたのは」
「「「!」」」
「まだわしが現役の美食屋だった頃……当時のわしは遮二無二働いておった」
……もともと病気がちだった女房を助けるため、たくさん稼いでうまいメシを食わせてやろうと、仕事の依頼も全部受け、食材探しに没頭していた。しかし――。
『おい、帰ったぞ! ――っ!』
女房の病気は悪化していた。よっちが仕事を終え久々に帰った頃にはもう手遅れだった。そのとき女房が絞り出した言葉を、よっちは今でも忘れることがない。
『使いきれないほどの大金を送ってもらうより……一回でも多く…一緒に食事をしたかったわ……』
……そうよっちに言い残して、女房は事切れてしまった。