溢れる食運! 巡礼グルメ神社!
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「ただ、運をつかみ損ねる店も当然ある。――おっ」
「ん?」
足を止めたトリコに続いて私も視線を追うと、露店が並んでいる場所とは少し離れた木の下に、一個3千円のグル樹の実を売る露店があった。あそこには人が一切寄り付いていない。
「ハァ……せっかく御神木のグル樹の下に出店できたのに……。やっぱり味がダメなのかな~……ハァ……」
「グル樹の実じゃねぇか!」
「えっ! あっ、はい!」
「オヤジ! その実、全部売ってくれ!」
「ええっ! 全部買っていただけるんですか!?」
「一個3千円もするのを全部!?」
「完全に大らかになってますよ、トリコさん!」
この参拝客の中で、トリコが一番の大金持ちじゃないだろうか……。限度無制限のブラックカード持ちでもあるし、いつも一緒にいるせいで美食屋四天王という重大なポジションにいることをついつい忘れてしまう。
「ほら、小松、瑞貴。お前らも食えよ」
「あ、ありがとうございます」
「いただきます」
店主から大きな袋にグル樹の実を入れてもらい、トリコは私たちに一つずつ渡してくれた。
「サクサクの皮の歯応えと、中の実はしっとりとクリーミーで甘酸っぱい!」
「う~ん! さすが穏やかで上品な味わいですね~!」
「木の実なのにクリームメロンパンみたいな感じで不思議~!」
続いて来た場所は、山のような大岩や一部の木造建設でできた手水舎。ところどころには祠みたいのもある。
「なっ! デッカい手水舎ですね!」
「一見すると噴水みたいな感じだね」
「聖なる湧水・ホーリーウォーターだ。参拝客はここで手や口をすすいで清め、巡礼の旅に向かう――『アカシアのフルコース巡り』」
「「アカシアのフルコース巡り?」」
初めて来るって割にトリコはかなり調べているのかな? とりあえず私たちは手水を始める。
「このグルメ神社は美食神・アカシアを祀る場所だ。アカシアの像がある本殿までは、アカシアのフルコースを祀ってるそれぞれの食の社――つまり、食殿を前菜から順に礼拝して行く」
トリコが柄杓を使って湧水を飲む……――って、神社への手水の仕方ってそうじゃないでしょ。
「くぅ~! うめー! フルコースを祀ってるっつっても、本当にモノがあるわけじゃねぇし、名前すら記されてねぇからな」
「な~んだ。てっきりアカシアのフルコースを見られるのかと期待しましたよ」
「あっても発見したのが五百年以上も前のだし、せいぜい模造品のだと思うけどね」
「そ、そうですね……」
ブオオォォオオオ――。
〈メェ~~〉
「だー! なんだこれー!?」
大風が吹いたと思ったら、それは巨大な羊の鼻息だった。小松さんは驚いているけど私は愛嬌があって可愛らしいと思うな。
「お待ちしておりました、トリコ様。こちらがお客様を運ぶ羊・タクシープでございます」
「「タクシープ?」」
「はい。広い境内をこちらに乗って快適に移動していただけます」
「俺がレンタル予約しといたのさ」
「ご利用、ありがとうございます」
係員の女性が連れてきたタクシープは、背中に毛の椅子とシートベルトが備え付けられている。
「ん?」
足を止めたトリコに続いて私も視線を追うと、露店が並んでいる場所とは少し離れた木の下に、一個3千円のグル樹の実を売る露店があった。あそこには人が一切寄り付いていない。
「ハァ……せっかく御神木のグル樹の下に出店できたのに……。やっぱり味がダメなのかな~……ハァ……」
「グル樹の実じゃねぇか!」
「えっ! あっ、はい!」
「オヤジ! その実、全部売ってくれ!」
「ええっ! 全部買っていただけるんですか!?」
「一個3千円もするのを全部!?」
「完全に大らかになってますよ、トリコさん!」
この参拝客の中で、トリコが一番の大金持ちじゃないだろうか……。限度無制限のブラックカード持ちでもあるし、いつも一緒にいるせいで美食屋四天王という重大なポジションにいることをついつい忘れてしまう。
「ほら、小松、瑞貴。お前らも食えよ」
「あ、ありがとうございます」
「いただきます」
店主から大きな袋にグル樹の実を入れてもらい、トリコは私たちに一つずつ渡してくれた。
「サクサクの皮の歯応えと、中の実はしっとりとクリーミーで甘酸っぱい!」
「う~ん! さすが穏やかで上品な味わいですね~!」
「木の実なのにクリームメロンパンみたいな感じで不思議~!」
続いて来た場所は、山のような大岩や一部の木造建設でできた手水舎。ところどころには祠みたいのもある。
「なっ! デッカい手水舎ですね!」
「一見すると噴水みたいな感じだね」
「聖なる湧水・ホーリーウォーターだ。参拝客はここで手や口をすすいで清め、巡礼の旅に向かう――『アカシアのフルコース巡り』」
「「アカシアのフルコース巡り?」」
初めて来るって割にトリコはかなり調べているのかな? とりあえず私たちは手水を始める。
「このグルメ神社は美食神・アカシアを祀る場所だ。アカシアの像がある本殿までは、アカシアのフルコースを祀ってるそれぞれの食の社――つまり、食殿を前菜から順に礼拝して行く」
トリコが柄杓を使って湧水を飲む……――って、神社への手水の仕方ってそうじゃないでしょ。
「くぅ~! うめー! フルコースを祀ってるっつっても、本当にモノがあるわけじゃねぇし、名前すら記されてねぇからな」
「な~んだ。てっきりアカシアのフルコースを見られるのかと期待しましたよ」
「あっても発見したのが五百年以上も前のだし、せいぜい模造品のだと思うけどね」
「そ、そうですね……」
ブオオォォオオオ――。
〈メェ~~〉
「だー! なんだこれー!?」
大風が吹いたと思ったら、それは巨大な羊の鼻息だった。小松さんは驚いているけど私は愛嬌があって可愛らしいと思うな。
「お待ちしておりました、トリコ様。こちらがお客様を運ぶ羊・タクシープでございます」
「「タクシープ?」」
「はい。広い境内をこちらに乗って快適に移動していただけます」
「俺がレンタル予約しといたのさ」
「ご利用、ありがとうございます」
係員の女性が連れてきたタクシープは、背中に毛の椅子とシートベルトが備え付けられている。