父を超えろ! 真夏のガツガツカレー!

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リンちゃんの水着はパンツタイプでフチは緑でシンプルな赤いビキニで、上の片方には小さなハートがトレードマークになっている。私は黄緑の下地に白の水玉模様があるフリル系スカート付きのビキニで、髪はサイドテールにしている。


「ウチのプロデュースした水着に間違いはないし! ほら、もっと堂々とするし!」

「せめて泳がせて……」


いつもシンプルな水着だったからこんな可愛いのに慣れていない。泳いだら気が紛れるのにリンちゃんは良しとしてくれないし……。


「さっ、お兄ちゃんに自慢してやるし!」

「えっ!?」

「前もグルメ馬車で瑞貴と会ったことを自慢してきたし。だから今度はウチが自慢してやるために、瑞貴に可愛い水着を着せて海に来たし!」

「ええっ!?」


リンちゃんは携帯を取り出して操作すると腕を伸ばし、次に私の肩を引き寄せて自撮りの体制を取る。


「ほら瑞貴、笑うし!」

「ちょっと、いきなり――」

「はい、チーズ!」


私の困った声も聞く耳を持たず、リンちゃんはシャッターを押した。変顔になってないよね!? リンちゃんはご満悦だから大丈夫だと思うけど……。


「これで第一目的は終了だし。あとは……」

「さっきから何探してるの?」


海に来たのは泳ぐためかと思ったけど、砂浜にはたくさんの屋台があるからそれが目当てかな?


「うーん。時期的に絶対いると思ったんだけど……――あー! いたしー!」

「ちょっと、リンちゃん!」


急にリンちゃんが走り出したので私は置いてかれた。『あった』じゃなくて『いた』ってことは、人を探してたのかな?


「ねぇ――」

「えっ」


……リンが目指した先は、美食人間国宝・節乃と共に海水浴客に囲まれているトリコの元だ。その離れた場所ではノッキングマスター・次郎が酒瓶で酒を飲み、小松とユンはトリコのそばでもみくちゃにされていた。

ちなみにユンとシャツを着ている次郎以外は、全員水着である。


「コラ――ッ!! みんな離れるし!」


リンはジャンプして空中回転をし、中心にいるトリコの前に着地すると両腕を広げて顔をしかめ、海水浴客に向かって叫ぶ。


「もう! トリコに近寄るんじゃないし! あっち行くし!」

「「「「「え~」」」」」

「あっち行くし」


一度は渋った海水浴客だが、リンの迫力に圧されて逃げるように去って行った。解放されたので節乃は次郎と共にその場を離れて行った。そして海水浴客が逃げる際に巻き込まれる形で踏み潰された小松は、頭を押さえながらリンの姿を確認する。


「アイテテ……リンさん!?」

「やっぱりいたし~!」

「お前、どうしてここに?」

「トリコ、毎年『アレ』食べに来るから、絶対来ると思ってたし~」

「えっ? もしかして今回のお目当ての食材ですか?」


小松がここに来たのはサミットの打ち上げである『サミットお疲れちゃんパーティー』の料理に悩む中、トリコがホテルグルメに行って誘いに来た。それを了承し、メニューのヒントを探しがてらユンと一緒やって来たのだ。


「まあそう慌てんなって。まずはゆっくりビーチを回ってからだ。ところで、リンは一人で来たのか?」

「あっ! 無我夢中で瑞貴のこと置いて来てしまったし!」

「えっ!? 瑞貴さんも来ているですか!?」

〈ユンユン!〉


トリコが問いかけると、しまったとリンが目を見開いた言葉に小松が驚いた。ユンは久しぶりに瑞貴に会えることで、嬉しそうに羽をバタバタ動かしている。


「ん? もしかして、あそこか?」

「「えっ?」」


……トリコが指を差した先には、さっきほどではないがたくさんの男性の海水浴客が集まっている場所だ。身長差があって見えないが、その中心から瑞貴の声が聞こえる。


「俺と一緒に泳ごうよ!」

「い、いえ……連れがいますので……」

「俺はグループで来ているから女子もいるぞ」

「そういう問題では……」

「じゃあ、僕と屋台を回らない? 全部奢るよ」

「いや、だから……」


一人断れば次から別の男性がやって来るおかげで、リンちゃんを探そうにも動けない! こんなに人がいっぱいな所で技を使うわけにもいかないし、誰か助けてー!


「コラ――ッ!! 瑞貴から離れるし――っ!!」

「俺たちの連れに何か用か?」

「えっ! トリコ!?」


リンちゃんが飛び出して私の前に着地したと思ったら、次いで聞こえてきたのは馴染みあるトリコの声。横には小松さんとユンちゃんもいる!
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