「これは、俺たち四人で手に入れたモノ！　礼を言うぜ、瑞貴、小松、ゼブラ！　そしてサラマンダースフィンクスよ！　この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます！」


手を合わせて礼をしたトリコは、流れて来るメロウコーラに向けて口を大きく開けて飲み込む。すると口の周りに火花が出たような衝撃がした。


「うっめぇ――っ!!」


飲み込んだ途端、一気に体に栄養が行き渡るとトリコの筋肉まで膨れ上がった！


「なんて圧倒的な甘みだ！　メープルシロップ数百倍の糖度！　糖分がジワジワと全身の隅々まで沁み渡る！　そしてこの強烈な炭酸！　シャンパンやソーダ水とは比較になんねぇ量だ！　全身の細胞という細胞が、一気に跳ね起きて震えてくる！」

「それでいて、優しい爽快感が体を包み込むように広がります！　体中に広がる甘さも、いつまでも残り続けて……なんておいしいんでしょう！」

「グルメ馬車で飲んだ二十年物の水晶コーラとは比較にならない……これが世界一のコーラ！　なんて存在感なの！」

「力を使い果たしたはずの体が、一気にエネルギーが満ち溢れてきたぞ！　いや、それだけじゃねぇ……細胞が進化してやがる！」


このメロウコーラはゼブラのグルメ細胞に適合したんだ！　きっとトリコもパワーアップしたに違いない！


「グルメピラミッドの頂点・サラマンダースフィンクス！　その生態系が織り成す全ての生物からの恩恵だな！」

「はい！」

「そうだね！」

〈ゴアアァァアアア！〉

「見てください、嬉しそうな顔してますよ！」

「こいつも溜まったモンが吐き出せて、気持ちいいのかもな！」

「年に一度しか流せない涙だもんね！」


サラマンダースフィンクスの笑った顔を見ていると、もしかしたら泣きたくてもレシピ本に記してある方法でしか泣けないのかな。そりゃ確かに辛い。


「決めたぜ」

｢｢｢？｣｣｣

「俺はこのメロウコーラを、フルコースに入れる」

｢｢えっ！｣｣


ゼブラの宣言に私と小松さんは驚いて肩を跳ねた。なんか嫌な予感が……。


「どうだ小僧……これなら、俺とコンビになるよな？」

「あっ……」

「あらら……」

「何っ!?」


ニヤリと笑うゼブラに、小松さんと私は冷や汗を流した。事情を知らないトリコは当然驚いているけど……。