遂に登場人物! 最後の四天王ゼブラ!
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「あっ! あの人知ってます!」
「小松さん、知り合い?」
「いえ、知り合いって言うより……」
「高級料理店での無銭飲食の総額が2千兆円を超えた、第一級グルメ詐欺師――通称・食い逃げのノリ介。有名な詐欺師です」
「僕の店も狙われたことがありますよ」
「彼は大の甘党ゆえ、奪食のフルコースの前菜は甘みを感じる味覚を遮断させていただきました」
「甘いモン、食わせてくれー!」
食べているケーキはいかにも甘そうなのに甘くない。それは確かに彼にとって地獄だ。
「大好物を奪われる苦しみか。グルメ刑務所ならではな」
「ねぇ、あの人も様子がおかしくない?」
私が示したのは汗をかいて震えている男。何も手にしていないのに、なんの味覚を失われたんだろう?
「彼は一匹で一国を滅ぼすと言われる隔離生物・ドラッグまいまいの養殖と密売、及び使用の罪で収監された重罪人――リックです。快感神経を遮断させていますので、禁断症状により永遠に苦しみ続けるでしょう」
「味覚だけでなく神経も遮断させるんだ……」
まさに生き地獄というのにふさわしいな。周りの囚人も近づこうともせず気味悪がっている。
「他にもグルメ山賊のリーダー・バイダンは、二十人の美食屋を殺し食糧を強奪した凶悪犯です。グルメ食材密猟グループのヘッド・ジョイマルは、今までに十七種・百六十頭もの保護動物を乱獲した重罪犯です」
壁に写真が張っている檻の中から懸命に廊下にある料理を取ろうとしている腕が見える。彼らも大好物を目の前にして食べられない苦しみを味わっているのだ。
するとベランダがまたしてもエレベーターのように下へ降り始めた。
「いずれも、奪食のフルコースゆえに好物を奪われておりますが、これはまだ単なるコースの前菜です」
……料理罰が重い囚人は次のスープの階へ進み、毒入りの食材が出されるが、それでも食えるだけマシ。コースの次のメニュー・魚料理の階では食事はナシ。肉料理の階では水も絶たれる。
それでも生きていた重罪人は、いよいよ次は自分が調理される番。サラダの階では切られ、デザートの階では煮られ、ドリンクへの階では焼かれる。
「最後はハニープリズンから外へ落とされて確実の死を迎えます。――これがグルメ刑務所・ハニープリズン」
「まさに死へのフルコースってわけだな」
「目には目を、恐ろしい時代です。さっ、こちらへ」
……エレベーターが止まり、オーバンが次の通路へ歩き始めたのでトリコも続くが、瑞貴と小松は動けなかった。
「私たちは人に料理を提供するのが仕事……いつも食事をおいしく食べてもらうことだけを考えてた。ここは全く逆だね……」
「ここは食を奪う場所。眩いほどに光るグルメ時代の、言わば闇の部分……」
今までたくさんの施設やスラムに行ったけど、彼らは食事が目の前に出ることもままならないことが多い。でも、このグルメ刑務所は目の前にあるのに食べられず奪われる――小松さんの言う通り表舞台に出られない闇の場所だ。
私たちは駆け出してトリコのあとを追うと、今度は洞窟のような通路に入った。だけど周りに明かりがたくさんあるから、とても明るい。
「着きました。ここが所長室です」
「「「おおっ!」」」
豪華な扉だけど取っ手すらトリコが背を伸ばしても届かない、巨大な猛獣も入れそうな扉だ。
「デケェ! 所長ってのは、初代メルクみてぇな巨人か?」
「いや、初代メルクさんですら有り余ると思うけど」
「所長。お連れしました」
メルクマウンテンや自宅の出入口よりも大きい。何がどうしてこの大きさに設計したんだ? 扉が開き、現れたのは――。
「あちしを初代メルクなんかと一緒にすんじゃないわよ、失礼ね」
「「…………」」
「えー!? 子供ー!?」
私とトリコは思わず絶句してしまった。だって驚く小松さんよりも小さい、ハチのような横縞の服と帽子をかぶった女性だった。いや、女の子と言っても過言ではない気がする。
「小松さん、知り合い?」
「いえ、知り合いって言うより……」
「高級料理店での無銭飲食の総額が2千兆円を超えた、第一級グルメ詐欺師――通称・食い逃げのノリ介。有名な詐欺師です」
「僕の店も狙われたことがありますよ」
「彼は大の甘党ゆえ、奪食のフルコースの前菜は甘みを感じる味覚を遮断させていただきました」
「甘いモン、食わせてくれー!」
食べているケーキはいかにも甘そうなのに甘くない。それは確かに彼にとって地獄だ。
「大好物を奪われる苦しみか。グルメ刑務所ならではな」
「ねぇ、あの人も様子がおかしくない?」
私が示したのは汗をかいて震えている男。何も手にしていないのに、なんの味覚を失われたんだろう?
「彼は一匹で一国を滅ぼすと言われる隔離生物・ドラッグまいまいの養殖と密売、及び使用の罪で収監された重罪人――リックです。快感神経を遮断させていますので、禁断症状により永遠に苦しみ続けるでしょう」
「味覚だけでなく神経も遮断させるんだ……」
まさに生き地獄というのにふさわしいな。周りの囚人も近づこうともせず気味悪がっている。
「他にもグルメ山賊のリーダー・バイダンは、二十人の美食屋を殺し食糧を強奪した凶悪犯です。グルメ食材密猟グループのヘッド・ジョイマルは、今までに十七種・百六十頭もの保護動物を乱獲した重罪犯です」
壁に写真が張っている檻の中から懸命に廊下にある料理を取ろうとしている腕が見える。彼らも大好物を目の前にして食べられない苦しみを味わっているのだ。
するとベランダがまたしてもエレベーターのように下へ降り始めた。
「いずれも、奪食のフルコースゆえに好物を奪われておりますが、これはまだ単なるコースの前菜です」
……料理罰が重い囚人は次のスープの階へ進み、毒入りの食材が出されるが、それでも食えるだけマシ。コースの次のメニュー・魚料理の階では食事はナシ。肉料理の階では水も絶たれる。
それでも生きていた重罪人は、いよいよ次は自分が調理される番。サラダの階では切られ、デザートの階では煮られ、ドリンクへの階では焼かれる。
「最後はハニープリズンから外へ落とされて確実の死を迎えます。――これがグルメ刑務所・ハニープリズン」
「まさに死へのフルコースってわけだな」
「目には目を、恐ろしい時代です。さっ、こちらへ」
……エレベーターが止まり、オーバンが次の通路へ歩き始めたのでトリコも続くが、瑞貴と小松は動けなかった。
「私たちは人に料理を提供するのが仕事……いつも食事をおいしく食べてもらうことだけを考えてた。ここは全く逆だね……」
「ここは食を奪う場所。眩いほどに光るグルメ時代の、言わば闇の部分……」
今までたくさんの施設やスラムに行ったけど、彼らは食事が目の前に出ることもままならないことが多い。でも、このグルメ刑務所は目の前にあるのに食べられず奪われる――小松さんの言う通り表舞台に出られない闇の場所だ。
私たちは駆け出してトリコのあとを追うと、今度は洞窟のような通路に入った。だけど周りに明かりがたくさんあるから、とても明るい。
「着きました。ここが所長室です」
「「「おおっ!」」」
豪華な扉だけど取っ手すらトリコが背を伸ばしても届かない、巨大な猛獣も入れそうな扉だ。
「デケェ! 所長ってのは、初代メルクみてぇな巨人か?」
「いや、初代メルクさんですら有り余ると思うけど」
「所長。お連れしました」
メルクマウンテンや自宅の出入口よりも大きい。何がどうしてこの大きさに設計したんだ? 扉が開き、現れたのは――。
「あちしを初代メルクなんかと一緒にすんじゃないわよ、失礼ね」
「「…………」」
「えー!? 子供ー!?」
私とトリコは思わず絶句してしまった。だって驚く小松さんよりも小さい、ハチのような横縞の服と帽子をかぶった女性だった。いや、女の子と言っても過言ではない気がする。