渾身の一作! 完成メルク包丁
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「メルクさん、もしかして小松さんに惚れた?」
「ぶっ! ケホッ、ケホッ」
「ああっ! 大丈夫!?」
どうやらお茶が気管に入ったらしく、咳き込むメルクさんを私は背中を擦った。
「フゥ……。お、俺は別に! そりゃあ、優しくて男気もあると思うが……」
「やっぱりそうじゃん! 私、応援してるよ!」
「いや、小松シェフはきっと……」
……メルクはこの数日で、小松が誰に好意を向けているのかわかっていた。自分を見る目は『研ぎ師としての憧れ』であり、瑞貴を見る目は『好きな女性』としてだ。わかってはいても、惹かれずにはいられなかったのだ。
「きっと?」
「ああ、いや、なんでもない。さあ、仕上げに入るぞ」
「うん!」
何か考え込んでいたし言葉の続きが気になるけど、もうすぐ小松さんの包丁が完成するんだ!
――女性二人組が中でそんな会話をしているとは露知らず、温泉で男性二人組も楽しそうに話していた。
「んっ、あ~! 気持ちいい~!」
「あの~……トリコさん」
「ん?」
「メルクさんが女性だったってこと、最初からわかってたんですか?」
「ああ。すぐに偽者だと怪しんだ」
……メルクとは戦いなどで接触していたし、いくら噂でも合わない点が多かったためトリコは女性とわかっていたのだ。
「確かに偽者ではあったが、実際は……お前がよく知ってるよな、小松」
「ええ。初代メルクさんの娘さんで、研ぎの技術を正しく受け継いだ正統な後継者でした」
「で、俺がメルクの星屑を捕獲しに出てた間に、メルクは本当の意味で二代目になれた。つまり、お前と瑞貴は役割をしっかり果たってことだ」
「僕らの役割? あっ……!」
出発前にトリコが言った『ただメルクと一緒にいてやればいい』という理由が、小松は今わかった。
「じ、じゃあ! 僕と瑞貴さんの仕事って!」
「今のメルクは迷いがなくなり、一流の研ぎ師としての自信に満ち溢れている。瑞貴も同じ女ならわかることもあるし、安心させれるかと思ってな」
「お二人共、今はとっても仲良しですよ。仕事以外ではメルクさんも瑞貴さんも友達として過ごしていましたから」
「それだけじゃない、お前の存在もあったからだ。小松――お前と瑞貴がメルクを変えたんだ」
「えっ!? 僕はただメルク包丁の素晴らしさをメルクさんに伝えたくなって、それで……」
瑞貴と共にメルク包丁で実際に料理をし、メルクが笑顔で食べてくれる姿が一番嬉しかった。
「でも、あの料理でメルクさんが安心して仕事に打ち込めるようになったなら、ホントによかったです」
小松は手拭いで顔を拭くと、メルクの姿を思い浮かべる。
「メルクさん、あんまり気を張らずに自然に女の子っぽくしていいのに。あんなに可愛らしいんだから」
「あん? ――あっ、小松! お前まさかメルクに惚れたか?」
「えっ!? ああいや、別にそういうわけじゃ!」
「ハハッ、隠すなって。いいじゃねぇか別に」
「いや、隠してるとかそんな、アレじゃないですよ! ト、トリコさんだって知ってるじゃないですか! 僕にはもう、心に決めた女性が――瑞貴さんがいるんですから!」
小松がそう声を上げると、ピタリとトリコがからかうのをやめた。そしてフッと微笑む。
「ぶっ! ケホッ、ケホッ」
「ああっ! 大丈夫!?」
どうやらお茶が気管に入ったらしく、咳き込むメルクさんを私は背中を擦った。
「フゥ……。お、俺は別に! そりゃあ、優しくて男気もあると思うが……」
「やっぱりそうじゃん! 私、応援してるよ!」
「いや、小松シェフはきっと……」
……メルクはこの数日で、小松が誰に好意を向けているのかわかっていた。自分を見る目は『研ぎ師としての憧れ』であり、瑞貴を見る目は『好きな女性』としてだ。わかってはいても、惹かれずにはいられなかったのだ。
「きっと?」
「ああ、いや、なんでもない。さあ、仕上げに入るぞ」
「うん!」
何か考え込んでいたし言葉の続きが気になるけど、もうすぐ小松さんの包丁が完成するんだ!
――女性二人組が中でそんな会話をしているとは露知らず、温泉で男性二人組も楽しそうに話していた。
「んっ、あ~! 気持ちいい~!」
「あの~……トリコさん」
「ん?」
「メルクさんが女性だったってこと、最初からわかってたんですか?」
「ああ。すぐに偽者だと怪しんだ」
……メルクとは戦いなどで接触していたし、いくら噂でも合わない点が多かったためトリコは女性とわかっていたのだ。
「確かに偽者ではあったが、実際は……お前がよく知ってるよな、小松」
「ええ。初代メルクさんの娘さんで、研ぎの技術を正しく受け継いだ正統な後継者でした」
「で、俺がメルクの星屑を捕獲しに出てた間に、メルクは本当の意味で二代目になれた。つまり、お前と瑞貴は役割をしっかり果たってことだ」
「僕らの役割? あっ……!」
出発前にトリコが言った『ただメルクと一緒にいてやればいい』という理由が、小松は今わかった。
「じ、じゃあ! 僕と瑞貴さんの仕事って!」
「今のメルクは迷いがなくなり、一流の研ぎ師としての自信に満ち溢れている。瑞貴も同じ女ならわかることもあるし、安心させれるかと思ってな」
「お二人共、今はとっても仲良しですよ。仕事以外ではメルクさんも瑞貴さんも友達として過ごしていましたから」
「それだけじゃない、お前の存在もあったからだ。小松――お前と瑞貴がメルクを変えたんだ」
「えっ!? 僕はただメルク包丁の素晴らしさをメルクさんに伝えたくなって、それで……」
瑞貴と共にメルク包丁で実際に料理をし、メルクが笑顔で食べてくれる姿が一番嬉しかった。
「でも、あの料理でメルクさんが安心して仕事に打ち込めるようになったなら、ホントによかったです」
小松は手拭いで顔を拭くと、メルクの姿を思い浮かべる。
「メルクさん、あんまり気を張らずに自然に女の子っぽくしていいのに。あんなに可愛らしいんだから」
「あん? ――あっ、小松! お前まさかメルクに惚れたか?」
「えっ!? ああいや、別にそういうわけじゃ!」
「ハハッ、隠すなって。いいじゃねぇか別に」
「いや、隠してるとかそんな、アレじゃないですよ! ト、トリコさんだって知ってるじゃないですか! 僕にはもう、心に決めた女性が――瑞貴さんがいるんですから!」
小松がそう声を上げると、ピタリとトリコがからかうのをやめた。そしてフッと微笑む。