御披露目! 二代目襲名とメルクの星屑!
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「黒小出刃包丁に、蘇生牛刀……」
「羽衣薄刃も必要だね。あとは――」
食材に合わせて包丁も選んだあと、さっそくそれぞれで調理に取り掛かった。初めて使うメルク包丁は――。
「スゴい……!」
「これがメルク包丁……!」
確かに一歩間違えると危険だけど、自分の包丁以外でこれほど心強い包丁に会ったことはない。小松さんと私は顔を見合わせるともう一度頷き合った。
私たちはもう夢中で包丁を使い分けて調理し、いつの間に切り株テーブルでは収まらないほどの料理の品々が完成した。
「できたよ!」
「さあメルクさん、食べましょう!」
「こ、これ……! 瑞貴? 小松シェフ?」
「よく考えてみたら、ちゃんとしたご飯もまだだったしね」
「まずは腹ごしらえをしましょう」
☆☆☆☆☆
……初代メルクはトリコが娘である二代目メルクに会ったことを知り、嬉しそうに彼女のことを話す。
「フフッ、娘は天才じゃ。なんたって六年前――あの子がまだ十五のとき、すでに研ぎ師としての腕は私と変わらんかったからのう」
「初代、さっきの重要な仕事ってなんなんだ? 六年前にそのことを娘には伝えたのか?」
「もちろんじゃ。私の重要な仕事――龍さんから包丁の依頼を受けておるんじゃ。美食神アカシアのフルコースメニュー『エア』という名のサラダを捌くための包丁をのう」
「アカシアのフルコース……エア……!?」
重要な仕事とはわかっていたが、予想以上のものだったのでトリコは驚いた。自分の『GOD』、サニーの『アース』に引き続いて、アカシアのフルコースメニューを新たに聞くとは思わなかった。
「その依頼を受けた時点で、私は引退を決意した。その包丁は大量にメルクの星屑を使わなければならん」
「メルクの星屑……!」
「しかも、完成までに長い年月を要する。恐らく、私の人生の最後の作品になるであろうからな。娘には事細かに全部話した。その上で伝えた。――『二代目はお前に託した』とな」
初代メルクは六年間ヘビーホールにいたのはこのためで、自分と同等の腕を持つ娘だからこそ託したのだ。しかしトリコはハッキリ言う。
「それ全部聞こえてなかったと思うぞ」
「えー!? なんで!?」
「あんた声小さいから」
「なんてこったー!」
全て話してわかってもらったから笑顔で見送られたと思っていたようだ。自分の声の大きさをもともと認知していなかった初代メルクは盲点だったと頭を抱える。しかしトリコは同時に謎が解けた。
(二代目メルク――どこか気の張った状態というか、一流の職人の堂々とした気概や落ち着きを感じなかったのは、そのためだったのか。技術は伴ってても、『二代目』を託されたと思ってない。完璧な自信を手に入れてはいないんだ)
「ハァ……。小さい頃から慣れてじゃれついて来たと思っとったのは、私が何を言ってるか聞き取りたかったのか……」
(だが今ここで初代にそのことまでは言えねぇな。二代目に自信を持ってもらうには……――頼んだぜ、瑞貴! 小松!)
トリコは脳裏に自分のパートナーたちを思い浮かべた。分業したのはそのためだから。
「羽衣薄刃も必要だね。あとは――」
食材に合わせて包丁も選んだあと、さっそくそれぞれで調理に取り掛かった。初めて使うメルク包丁は――。
「スゴい……!」
「これがメルク包丁……!」
確かに一歩間違えると危険だけど、自分の包丁以外でこれほど心強い包丁に会ったことはない。小松さんと私は顔を見合わせるともう一度頷き合った。
私たちはもう夢中で包丁を使い分けて調理し、いつの間に切り株テーブルでは収まらないほどの料理の品々が完成した。
「できたよ!」
「さあメルクさん、食べましょう!」
「こ、これ……! 瑞貴? 小松シェフ?」
「よく考えてみたら、ちゃんとしたご飯もまだだったしね」
「まずは腹ごしらえをしましょう」
☆☆☆☆☆
……初代メルクはトリコが娘である二代目メルクに会ったことを知り、嬉しそうに彼女のことを話す。
「フフッ、娘は天才じゃ。なんたって六年前――あの子がまだ十五のとき、すでに研ぎ師としての腕は私と変わらんかったからのう」
「初代、さっきの重要な仕事ってなんなんだ? 六年前にそのことを娘には伝えたのか?」
「もちろんじゃ。私の重要な仕事――龍さんから包丁の依頼を受けておるんじゃ。美食神アカシアのフルコースメニュー『エア』という名のサラダを捌くための包丁をのう」
「アカシアのフルコース……エア……!?」
重要な仕事とはわかっていたが、予想以上のものだったのでトリコは驚いた。自分の『GOD』、サニーの『アース』に引き続いて、アカシアのフルコースメニューを新たに聞くとは思わなかった。
「その依頼を受けた時点で、私は引退を決意した。その包丁は大量にメルクの星屑を使わなければならん」
「メルクの星屑……!」
「しかも、完成までに長い年月を要する。恐らく、私の人生の最後の作品になるであろうからな。娘には事細かに全部話した。その上で伝えた。――『二代目はお前に託した』とな」
初代メルクは六年間ヘビーホールにいたのはこのためで、自分と同等の腕を持つ娘だからこそ託したのだ。しかしトリコはハッキリ言う。
「それ全部聞こえてなかったと思うぞ」
「えー!? なんで!?」
「あんた声小さいから」
「なんてこったー!」
全て話してわかってもらったから笑顔で見送られたと思っていたようだ。自分の声の大きさをもともと認知していなかった初代メルクは盲点だったと頭を抱える。しかしトリコは同時に謎が解けた。
(二代目メルク――どこか気の張った状態というか、一流の職人の堂々とした気概や落ち着きを感じなかったのは、そのためだったのか。技術は伴ってても、『二代目』を託されたと思ってない。完璧な自信を手に入れてはいないんだ)
「ハァ……。小さい頃から慣れてじゃれついて来たと思っとったのは、私が何を言ってるか聞き取りたかったのか……」
(だが今ここで初代にそのことまでは言えねぇな。二代目に自信を持ってもらうには……――頼んだぜ、瑞貴! 小松!)
トリコは脳裏に自分のパートナーたちを思い浮かべた。分業したのはそのためだから。