御披露目! 二代目襲名とメルクの星屑!
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「ま、まさかあんた……」
「ん?」
「その石、いつから使ってんだ?」
「これはごく最近見つけたモンじゃ。これを使うと蠍魔牛がすぐ動いてくれるんじゃよ」
「やっぱりー!? この人、無口とか人見知りとかじゃなくて、ただ声が小さくて誰にも聞こえてなかっただけなんじゃねぇか。そりゃ二代目も不安がるわけだ」
「む? 二代目とは? お主、私の娘に会(オウ)たか。どうじゃった? 娘の仕事っぷりは!」
あまりにも衝撃的な事実にトリコが呆れると、初代メルクはトリコが口にした『二代目』という言葉に飛び付いた。
☆☆☆☆☆
初代に認められるために強さを求めていたメルクさんに、私と小松さんは疑問を持ったので自分の意見をハッキリ言う。
「メ、メルクさんは紛れもなく本物の研ぎ師だよ!」
「瑞貴……」
「女性だからとか強さがどうとか、関係ないじゃないですか! 先代は先代、メルクさんはメルクさんです!」
「…………!」
「そ、そりゃあ包丁の材料とか全部一人で捕りに行く先代はスゴいかもしれません。けどそれをわざわざメルクさんが真似ることはないと思いますよ!」
「何よりもう――メルクさんは超一流の包丁を、事実作ってるじゃない!」
……小松と瑞貴の真っ直ぐな言葉に、メルクは溢れ出た涙を拭った。そして二代目を名乗り始めた経緯を話す。
「最初は、すぐ帰って来ると思ってた。いつものように……。でも、いつになっても師匠は戻らなかった」
――必要な材料を捕りに初代メルクが家を出るのはよくあるので、メルクは快く見送った。帰って来たらいつでも仕事に取り掛かれるよう準備もして待っていた。
待てども待てども初代メルクは戻らず、帰りを待ち続けるメルクだがポチコが依頼の包丁を次々と持ってくる。
「師匠がいなくなっても研ぎの依頼はあとを絶たず、俺は一つの懸念を抱くようになった。『師匠の身に、何かあったのか!? まさか、屈強の師匠に限ってそんなこと!』――俺はまた、己の力の無さを嘆いた。師匠の向かった場所に俺では近づけない。今俺にできることは、師匠が戻るまで『メルク』の名を守る! 師匠の包丁の信頼を、これまでに学んだ研ぎの技術で俺が繋ぎ止めなきゃ!」
――初代メルクが帰って来ると信じて、メルクは今日まで六年間ずっと研ぎ続けた。
「でも……ポチコは、ずっとああやって師匠の帰りを待っている。動物は正直だよね……俺ではダメなんだ。本当は依頼していただいている料理人も師匠の研いだ包丁じゃなきゃ、満足してはいないのかもね……」
「「メルクさん……」」
自信喪失してしまったメルクさんに私たちがやれることは一つだけだ。私は小松さんに顔を向けると、彼も同じことを考えていたのかこちらを見たので、私たちは頷きあってメルクさんを再び見る。
「メルクさん、包丁を何本か借りてもいい?」
「えっ?」
「あと、地下にある冷蔵庫の食材もお借りしますね!」
「?」
メルクさんは驚いて不思議に思っていたけど、私と小松さんは今じゃ慣れた階段を降りて行った。小松さんは冷蔵庫を、私は棚から食材を取り出す。
「これと、これ」
「あと、これとこれも」
私たちは両手に食材を抱えて再び上に上がって置くと、次に棚に置いてある包丁を選んでいく。
「ん?」
「その石、いつから使ってんだ?」
「これはごく最近見つけたモンじゃ。これを使うと蠍魔牛がすぐ動いてくれるんじゃよ」
「やっぱりー!? この人、無口とか人見知りとかじゃなくて、ただ声が小さくて誰にも聞こえてなかっただけなんじゃねぇか。そりゃ二代目も不安がるわけだ」
「む? 二代目とは? お主、私の娘に会(オウ)たか。どうじゃった? 娘の仕事っぷりは!」
あまりにも衝撃的な事実にトリコが呆れると、初代メルクはトリコが口にした『二代目』という言葉に飛び付いた。
☆☆☆☆☆
初代に認められるために強さを求めていたメルクさんに、私と小松さんは疑問を持ったので自分の意見をハッキリ言う。
「メ、メルクさんは紛れもなく本物の研ぎ師だよ!」
「瑞貴……」
「女性だからとか強さがどうとか、関係ないじゃないですか! 先代は先代、メルクさんはメルクさんです!」
「…………!」
「そ、そりゃあ包丁の材料とか全部一人で捕りに行く先代はスゴいかもしれません。けどそれをわざわざメルクさんが真似ることはないと思いますよ!」
「何よりもう――メルクさんは超一流の包丁を、事実作ってるじゃない!」
……小松と瑞貴の真っ直ぐな言葉に、メルクは溢れ出た涙を拭った。そして二代目を名乗り始めた経緯を話す。
「最初は、すぐ帰って来ると思ってた。いつものように……。でも、いつになっても師匠は戻らなかった」
――必要な材料を捕りに初代メルクが家を出るのはよくあるので、メルクは快く見送った。帰って来たらいつでも仕事に取り掛かれるよう準備もして待っていた。
待てども待てども初代メルクは戻らず、帰りを待ち続けるメルクだがポチコが依頼の包丁を次々と持ってくる。
「師匠がいなくなっても研ぎの依頼はあとを絶たず、俺は一つの懸念を抱くようになった。『師匠の身に、何かあったのか!? まさか、屈強の師匠に限ってそんなこと!』――俺はまた、己の力の無さを嘆いた。師匠の向かった場所に俺では近づけない。今俺にできることは、師匠が戻るまで『メルク』の名を守る! 師匠の包丁の信頼を、これまでに学んだ研ぎの技術で俺が繋ぎ止めなきゃ!」
――初代メルクが帰って来ると信じて、メルクは今日まで六年間ずっと研ぎ続けた。
「でも……ポチコは、ずっとああやって師匠の帰りを待っている。動物は正直だよね……俺ではダメなんだ。本当は依頼していただいている料理人も師匠の研いだ包丁じゃなきゃ、満足してはいないのかもね……」
「「メルクさん……」」
自信喪失してしまったメルクさんに私たちがやれることは一つだけだ。私は小松さんに顔を向けると、彼も同じことを考えていたのかこちらを見たので、私たちは頷きあってメルクさんを再び見る。
「メルクさん、包丁を何本か借りてもいい?」
「えっ?」
「あと、地下にある冷蔵庫の食材もお借りしますね!」
「?」
メルクさんは驚いて不思議に思っていたけど、私と小松さんは今じゃ慣れた階段を降りて行った。小松さんは冷蔵庫を、私は棚から食材を取り出す。
「これと、これ」
「あと、これとこれも」
私たちは両手に食材を抱えて再び上に上がって置くと、次に棚に置いてある包丁を選んでいく。