超重力! ヘビーホールを攻略せよ!
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翌日。私と小松さんは二階のメルクさんの部屋を一部借りて眠っていた。目を覚ますと小松さんはまだ寝ていたので私は先に降りるとメルクさんはまだ仕事をしている。
「おはようございます、メルクさん」
「ああ、瑞貴シェフ。おはよう。よく眠れたかい?」
「はい。小松さんは昨夜寝つけなかったようで、まだ寝てます」
「フフッ。スープできているから、どうぞ」
「ありがとうございます!」
メルクさんがよそってくれたので、私はひと口飲むと温かくてとてもおいしい。
「おいしいです! この酒かすがいいダシを取れてて……これって、サケカスッポンですよね」
「さすがだね。ひと口飲んだだけでダシの素材を当てるなんて」
それにしてもメルクさんってずっと作業してたんだ……昨日の夕方で百本もあるし、あの集中力を毎回出せば当然か。そういえば今はメルクさんと私だけなんだよね……この機会に思い切って聞いてみよう。
「……あ、あの。メルクさん、聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「ん? ああ」
私はもう一度二階の気配を確認し、メルクさんも今の研ぎが終わったのかこちらを見てくれた。
「間違っていたらすみません。メルクさんって……――女性ですよね」
「!」
私が問いかけたらメルクさんは目を見開いた。その反応で間違いないと確信もできる。
「……いつから気づいていた?」
「実は最初から。男性にしては違和感があったんですが、一日過ごしてだんだん確信を持てました。同じ女性だからでしょうか」
小松さんはあの様子からして気づいていないし、トリコは気づいていてもおかしくなさそう。他に言えば……匂いとかで?
「だからと言って私も自分からバラしたりしませんから。男装しているのも、何か事情があるでしょうし」
「ありがとう……。そうだ、瑞貴シェフっていくつだい?」
「私ですか? 私は20歳です」
「俺と一つしか変わらないのか。それなら敬語を使わなくても構わないよ」
「えっ!? メルクさんっていくつですか?」
「俺は21だ」
「年上じゃないですか! それに世界一の研ぎ師にタメ口で言えませんよ!」
「本人がいいって言うんだ。敬語も構わないよ」
同性だけどこんな凛々しくてステキな人にタメ口……恐れ多い。でも、世界一の研ぎ師だかってメルクさんも一人の女性なんだ。
「じゃあメルクさん。私のことも瑞貴って呼んでね」
「だけど、舞獣姫で小松シェフと共にセンチュリースープを作った有名人だろ? さすがに……」
「本人がいいって言うから、いいの!」
さっきのお返しで言ったら、メルクさんも私の考えていたことがわかったかのようにクスクスと笑っていた。
「ああ、わかった。改めてよろしくな――瑞貴」
「うん!」
メルクさんとこうやって仲良くなれるなんて思わなかったけど、リンちゃんやティナさんとは違う感じの友達ができて嬉しい!
タンッ、タンッ。
「あっ、おはようございます」
一段一段が大きいから、小松さんはゆっくりジャンプして降りてきた。やっと眠れても浅い眠りだったみたいだね。
「小松さん、おはよう」
「おはよう、小松シェフ。眠れた?」
「いやぁ、昨日はずっと興奮しててなかなか寝付けなくて……徹夜で作業してましたよね。もう気になって気になって……」
「依頼が多いから、寝る暇がなくてね」
「っと、ええ。一日であの量ですもんね」
「スープ作ってあるけど、飲む?」
「わあっ、いただきます!」
メルクさんは立ち上がって私のときのようにスープを用意し、小松さんに渡す。