衝撃! 折れた包丁と研ぎ師メルク!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ…ああ……ぎ、ぎえ――っ!!」
我に返った小松さんは慌てて駆け寄り、しゃがんで折れた包丁の歯を拾った。
「ほ、包丁が! 僕の、包丁が!」
〈ユーン〉
「小松さん! それ、首領(ドン)ドングリじゃない!」
「そいつの殻は固いから、専用のハンマーじゃないと割らねぇと!」
まな板の上にある食材の正体に私とトリコは気づいて声を上げる。捕獲レベル1以下の木の実・首領(ドン)ドングリは、ドングリの王様と謳われる食材だ。
「凡ミスだ……大事な包丁だったのに……」
「長年使って疲労してたのかもしんねぇし、とにかく折れちまったモンは仕方ねぇ。また買うしかねぇな」
「……そう簡単に言わないでよ、トリコ」
「ん?」
「包丁は料理人にとって命も同然。それにあれほど手入れが行き届いていたのなら、小松さんは相当思い入れがあるんだよ」
私の包丁も初めて園長先生からもらったもの。手入れはしているけど、万が一折れることがあればショックのあまり寝込むかもしれない。
「はい……。この包丁は決して高い物ではないですけど、僕が修業時代にお金を貯めて、初めて自分で買った思い出の包丁なんです……。今まで数えきれないくらいの食材を捌いてきました……僕はこの包丁に成長させてもらったんです……。今の僕があるのは、この包丁のおかげなんですよ……! 思い出があり過ぎて……!」
共に過ごしてきた包丁だからこそ、小松さんは思い出すことがたくさんあるんだろう。体は小刻みに震えて涙を流していて、同じ料理人として痛々しかった。
「ありがとう……! 今までたくさんがんばってくれたね…ずっと僕に付き合ってくれて……!」
「小松さん……」
(小松の物に対するこの誠実な心が、食材の声を聞くという才能の源になっているかもな。それに瑞貴も包丁を見ただけで、どれほど小松が包丁に対する思い入れがあるかわかった。きっとこいつの才能の源も同じなんだろう)
……トリコは二人がどうして食材の声が聞こえるのか、美食人間国宝の節乃も認めた理由の一つがわかったかもしれない。
「ホントにありがとう……!」
「包丁か……――あっ! そうだ!」
「「〈ん/ユン?〉」」
「確か、この中に!」
声を上げたトリコに今まで泣いていた小松さんも含めて私たちは顔を向けた。するとトリコは一枚の折りたたんだ紙を取り出す。
「あっ、それは……」
「あのとき一龍会長から捕獲の依頼されたリストじゃん」
「ああ。この中に気になる名前があったんだ。――『メルクの星屑』」
「え――っ!! もしかして、料理人の憧れ、メルク包丁の研ぎ師・メルク!?」
「グルメデパートでも100万以上はする包丁を作れるんだよね! どれもこれも素晴らしい一品ばかりだったよ!」
「メルクの星屑って食材は俺も聞いたことねぇが、ひょっとして研ぎ師・メルクなら何か情報を知ってるかもしれねぇな」
あのあとカーネル会長が全て買い取ったから全部見たわけじゃないけど、一部の包丁だけでもスゴかった。
「確かメルク本人は人も寄りつかねぇ岩山・メルクマウンテンに住んでるらしいが……どうだ小松? メルクの星屑を探しがてら、お前はメルクに新しい包丁を作ってもらうってのは?」
「ホ、ホントですか!? くぅ~~賛成です! 研ぎ師・メルクに会えるぞー!」
先ほどまでの涙はどこに行ったのやら、小松さんは喜びのあまり笑顔で両腕を上げながら飛び跳ねている。
〈ユユユユユン!〉
「ああ。お土産持って帰るから、しっかり留守番しててね」
〈ユーン!〉
「ったく、さっきまであんなに泣いてたくせに」
「コンビを組んで初めての旅が包丁作りの旅になるなんて、スッゴく嬉しいです!」
「それに、新たなスタートとしてはいいかもね」
「まっ、俺は食材探しがメインになるが。メルクの星屑……そう簡単には手に入らねぇだろうな」
簡単に手に入る食材を一龍会長が修業に選ぶわけがない。いったいどんな場所なんだろう……?
我に返った小松さんは慌てて駆け寄り、しゃがんで折れた包丁の歯を拾った。
「ほ、包丁が! 僕の、包丁が!」
〈ユーン〉
「小松さん! それ、首領(ドン)ドングリじゃない!」
「そいつの殻は固いから、専用のハンマーじゃないと割らねぇと!」
まな板の上にある食材の正体に私とトリコは気づいて声を上げる。捕獲レベル1以下の木の実・首領(ドン)ドングリは、ドングリの王様と謳われる食材だ。
「凡ミスだ……大事な包丁だったのに……」
「長年使って疲労してたのかもしんねぇし、とにかく折れちまったモンは仕方ねぇ。また買うしかねぇな」
「……そう簡単に言わないでよ、トリコ」
「ん?」
「包丁は料理人にとって命も同然。それにあれほど手入れが行き届いていたのなら、小松さんは相当思い入れがあるんだよ」
私の包丁も初めて園長先生からもらったもの。手入れはしているけど、万が一折れることがあればショックのあまり寝込むかもしれない。
「はい……。この包丁は決して高い物ではないですけど、僕が修業時代にお金を貯めて、初めて自分で買った思い出の包丁なんです……。今まで数えきれないくらいの食材を捌いてきました……僕はこの包丁に成長させてもらったんです……。今の僕があるのは、この包丁のおかげなんですよ……! 思い出があり過ぎて……!」
共に過ごしてきた包丁だからこそ、小松さんは思い出すことがたくさんあるんだろう。体は小刻みに震えて涙を流していて、同じ料理人として痛々しかった。
「ありがとう……! 今までたくさんがんばってくれたね…ずっと僕に付き合ってくれて……!」
「小松さん……」
(小松の物に対するこの誠実な心が、食材の声を聞くという才能の源になっているかもな。それに瑞貴も包丁を見ただけで、どれほど小松が包丁に対する思い入れがあるかわかった。きっとこいつの才能の源も同じなんだろう)
……トリコは二人がどうして食材の声が聞こえるのか、美食人間国宝の節乃も認めた理由の一つがわかったかもしれない。
「ホントにありがとう……!」
「包丁か……――あっ! そうだ!」
「「〈ん/ユン?〉」」
「確か、この中に!」
声を上げたトリコに今まで泣いていた小松さんも含めて私たちは顔を向けた。するとトリコは一枚の折りたたんだ紙を取り出す。
「あっ、それは……」
「あのとき一龍会長から捕獲の依頼されたリストじゃん」
「ああ。この中に気になる名前があったんだ。――『メルクの星屑』」
「え――っ!! もしかして、料理人の憧れ、メルク包丁の研ぎ師・メルク!?」
「グルメデパートでも100万以上はする包丁を作れるんだよね! どれもこれも素晴らしい一品ばかりだったよ!」
「メルクの星屑って食材は俺も聞いたことねぇが、ひょっとして研ぎ師・メルクなら何か情報を知ってるかもしれねぇな」
あのあとカーネル会長が全て買い取ったから全部見たわけじゃないけど、一部の包丁だけでもスゴかった。
「確かメルク本人は人も寄りつかねぇ岩山・メルクマウンテンに住んでるらしいが……どうだ小松? メルクの星屑を探しがてら、お前はメルクに新しい包丁を作ってもらうってのは?」
「ホ、ホントですか!? くぅ~~賛成です! 研ぎ師・メルクに会えるぞー!」
先ほどまでの涙はどこに行ったのやら、小松さんは喜びのあまり笑顔で両腕を上げながら飛び跳ねている。
〈ユユユユユン!〉
「ああ。お土産持って帰るから、しっかり留守番しててね」
〈ユーン!〉
「ったく、さっきまであんなに泣いてたくせに」
「コンビを組んで初めての旅が包丁作りの旅になるなんて、スッゴく嬉しいです!」
「それに、新たなスタートとしてはいいかもね」
「まっ、俺は食材探しがメインになるが。メルクの星屑……そう簡単には手に入らねぇだろうな」
簡単に手に入る食材を一龍会長が修業に選ぶわけがない。いったいどんな場所なんだろう……?