トリコ突入! グルメ界の真実!
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「ごめん、三人共。ピクニックは中止になった。フィル、行ってもらいたい場所があるの」
〈クウッ!〉
「サンとウォーも、またね」
〈アオッ!〉
〈ギュア!〉
サンとウォーと別れ、私はフィルの背に乗って行き先を告げるとすぐに向かってくれた。
♪ピリリリリ、ピリリリリ♪
「はい、瑞貴です。……ええ、彼から聞きました。今向かってます。――ザーベル島に」
新たに来た電話の相手である一龍会長に、私はそう告げた。
☆☆☆☆☆
……瑞貴が危惧していた通り、サニーに場所を聞いたトリコはさっそくザーベル島にやってきた。命の滝壺と呼ばれる崖の下を見渡すと広大な自然が見える。すなわち――グルメ界だ。
「ヒッヒッヒッヒッ、最近は手練の方が多くいらっしゃる。本日はまさか、美食屋のトリコ様とは」
彼はIGO防衛管理局・第18関所監視長のエルボー。グルメ界への入口・命の滝壺を守っており、サニーを始め数多くのグルメ界へ入った美食屋を見守り続けてきた。
「ワリィな。すんなり通してくれて。感謝するぜ」
「ヒッヒッヒッ。いえいえ、美食屋の仕事を邪魔する理由はどこにもありませんよ。それに数あるグルメ界へ入るルートの中で、ここを選んだのは賢明と言えましょう」
何しろ地球上の約7割を占める広大なグルメ界――異常な気象と特殊な磁場の影響で、衛星からも映像を捕らえることはできないので、グルメ界の情報は実際に入ってみなければやからない。しかし、海と空から入るのはまず不可能。人間界との境界線上には死の海流・毒潮が流れ、上空には巨大なサイクロンが壁を作っている。
残る陸の三つのルートでも、このザーベル島が一番安全と言えるだろう……あくまでも他と比べればだが。
「この地域は人間界とのグルメ界の間に大きな海抜差があります。これによりグルメ界の猛獣はなかなか人間界界へは登ってきません。と言っても、グルメ界から人間界に侵入してくるような物好きな猛獣など滅多におりませんがねぇ。ヒッヒッヒッ」
監視長として今まで見てきたからこそわかるのだろう。人間界からグルメ界へ、グルメ界から人間界へ入った人々も猛獣も。
「何故だかおわかりですか、トリコ様?」
「グルメ界のほうが食い物がうまいからだろ? それ以外考えられん。弱肉強食の世界で生きる場所を追われた獣ですら、滅多に人間界には入って来ねぇって話だからな」
「ヒッヒッヒッヒッ。しかし、こちらから向こうへ入る人間はあとを絶ちませんがねぇ。ただ、数年前に少女がグルメ界から現れたときは驚きましたよ。もっとも、それ以降はここに来ませんが」
(少女? ――まさか!)
トリコの脳裏に浮かぶのは最後までグルメ界に入るのを反対していた者――瑞貴だ。グルメ界で数年間生活して人間界へ来たと言ったが、ここから来たとは思わなかった。
「グルメ界が地獄への入口だとわかっていながらも、ここ第18関所だけで毎年数百人ものの挑戦者がグルメ界に飛び込みます。帰って来る者はほぼ皆無……皆、命を落とすために飛び込んでいるようなものです」
「…………」
「ここが、『命の滝壺』と呼ばれる由縁です」
〈クウッ!〉
「サンとウォーも、またね」
〈アオッ!〉
〈ギュア!〉
サンとウォーと別れ、私はフィルの背に乗って行き先を告げるとすぐに向かってくれた。
♪ピリリリリ、ピリリリリ♪
「はい、瑞貴です。……ええ、彼から聞きました。今向かってます。――ザーベル島に」
新たに来た電話の相手である一龍会長に、私はそう告げた。
☆☆☆☆☆
……瑞貴が危惧していた通り、サニーに場所を聞いたトリコはさっそくザーベル島にやってきた。命の滝壺と呼ばれる崖の下を見渡すと広大な自然が見える。すなわち――グルメ界だ。
「ヒッヒッヒッヒッ、最近は手練の方が多くいらっしゃる。本日はまさか、美食屋のトリコ様とは」
彼はIGO防衛管理局・第18関所監視長のエルボー。グルメ界への入口・命の滝壺を守っており、サニーを始め数多くのグルメ界へ入った美食屋を見守り続けてきた。
「ワリィな。すんなり通してくれて。感謝するぜ」
「ヒッヒッヒッ。いえいえ、美食屋の仕事を邪魔する理由はどこにもありませんよ。それに数あるグルメ界へ入るルートの中で、ここを選んだのは賢明と言えましょう」
何しろ地球上の約7割を占める広大なグルメ界――異常な気象と特殊な磁場の影響で、衛星からも映像を捕らえることはできないので、グルメ界の情報は実際に入ってみなければやからない。しかし、海と空から入るのはまず不可能。人間界との境界線上には死の海流・毒潮が流れ、上空には巨大なサイクロンが壁を作っている。
残る陸の三つのルートでも、このザーベル島が一番安全と言えるだろう……あくまでも他と比べればだが。
「この地域は人間界とのグルメ界の間に大きな海抜差があります。これによりグルメ界の猛獣はなかなか人間界界へは登ってきません。と言っても、グルメ界から人間界に侵入してくるような物好きな猛獣など滅多におりませんがねぇ。ヒッヒッヒッ」
監視長として今まで見てきたからこそわかるのだろう。人間界からグルメ界へ、グルメ界から人間界へ入った人々も猛獣も。
「何故だかおわかりですか、トリコ様?」
「グルメ界のほうが食い物がうまいからだろ? それ以外考えられん。弱肉強食の世界で生きる場所を追われた獣ですら、滅多に人間界には入って来ねぇって話だからな」
「ヒッヒッヒッヒッ。しかし、こちらから向こうへ入る人間はあとを絶ちませんがねぇ。ただ、数年前に少女がグルメ界から現れたときは驚きましたよ。もっとも、それ以降はここに来ませんが」
(少女? ――まさか!)
トリコの脳裏に浮かぶのは最後までグルメ界に入るのを反対していた者――瑞貴だ。グルメ界で数年間生活して人間界へ来たと言ったが、ここから来たとは思わなかった。
「グルメ界が地獄への入口だとわかっていながらも、ここ第18関所だけで毎年数百人ものの挑戦者がグルメ界に飛び込みます。帰って来る者はほぼ皆無……皆、命を落とすために飛び込んでいるようなものです」
「…………」
「ここが、『命の滝壺』と呼ばれる由縁です」