「なあ、わかるかトリコ？　調和よ！　ハーモニ――ッ!!」

「あぐっ。おかわり頼む！　じゃんじゃん持って来てくれー！」

「お前(ﾏ)、全然聞いてねーし!?　てか、相変わらず美(ﾂｸ)しくねぇ食い方！」


半ばわかっていたとはいえ、トリコには調和とか美しさより料理がおいしいかどうかだ。今も食事に夢中でサニーの話を聞いていなかった。


「ったく、わざわざ修業中に来てやったのに」

「ンなことよりよ、サニー」

「ああ……例の話ね。てか、お前マジか？　グルメ界へ――入りたいと」


瑞貴が危惧していた通り、トリコはグルメ界へ入るための情報を得るためにサニーを呼んだのだ。



☆☆☆☆☆


……ホテルグルメの厨房では、次々と料理をする誤魔化したに他の料理人は感心していた。


「小松シェフ、最近メチャクチャ気合い入ってるよな～」

「ああ。なんたって、あの美食屋トリコとコンビ組んだんだもんな～。舞獣姫とセンチュリースープも作ったし、やっぱスゴいな～！」

「――小松シェフ」

「ん？」

「お知り合いの方が見えてますが」

「えっ？　ああ、はい。いったい誰だろ……？」


ウェイターが伝えた用件は予定になかったことなので、不思議に思いながら厨房を出ようとしたら――。


「なっ!?」

「ほまつふん！」

「ティ、ティナさん!?」


厨房の扉のガラスに顔を張り付けているのは、グルメキャスターのティナだ。

――ティナの妙な登場に驚いたが、場所を変えようと提案してレストランの一席に二人は座った。クルッポーもテーブルの上にいる。


「聞いたわよ、小松くん！　トリコとコンビを組んだんだって？　おめでとう！」

「はい、ありがとうございます」


美食屋四天王とコンビを組んでさらに話題になり、小松本人も照れくさいようだ。


「コンビを組んだってことは、瑞貴はもう二人と旅をしないの？」

「いえ、それは違います。トリコさんも僕も、瑞貴さんがいない旅なんて考えられなくて……。だから、これからも仲間として一緒にいます！」

「フフッ、まるでコンビというよりチームね。前に瑞貴が持ってきてくれたベジタブルスカイの野菜、あれ食べてからお肌がツルツルになっちゃったのよ～！」

〈クルッポー！〉

「ねぇねぇ、話聞かせて？　独占インタビュー！」


話を切り替えたティナは、ここに来た目的を達成するためにカメラを構えてさっそくインタビューを始める。