天空の野菜畑・ベジタブルスカイ!
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……スカイダイビングとは比にならない高さから落ちていくので、小松はトリコにしがみつきながら悲鳴を上げる。
「あ~~っ!! トリコさ――ん!!」
「ええい! 落ち着け、小松!」
トリコは胸にあるベルトのボタンを押すと、腕と足の間と両足の間を繋ぐ布が現れた。
「わおっ!」
「特製ムササビスーツだ!」
「スゴーい! 空飛んでますよ、トリコさーん!」
ムササビのように風を受けて落ちることなく浮かんだ、。体制も安定したので小松は純粋に感動する。
落下したせいでさっきの場所よりずいぶん後退したが、あと少しでスカイプラントの元に戻るというときだった――。
「えっ!?」
〈〈〈〈〈ギャア! ギャア!〉〉〉〉〉
小松がうしろを振り向くと、そこには捕獲レベル13の鳥獣類・ドリルバードの群れがいた。羽を大きく羽ばたいて体を回転するとドリルのように二人に襲いかかる。
「トリコさん! 何か突っ込んできますよ!」
「わっ! なっ! おっ!」
懸命に空中でよけるもムササビスーツには穴が空いていき、さらにスカイプラントに突っ込んだはずのドリルバードが戻ってトリコたちに再び襲いかかった。
「仕方ねぇ! フライングナイフ!!」
無数のナイフがドリルバードを墜落させたが、ムササビスーツは使い物にならない。トリコは精一杯バランスを取り、さらには空中で平泳ぎして懸命に近づく。
「トリコさん、もう少し! もう少しですよー! がんばってください~!」
「ふんぬ~~っ!!」
あと少しでスカイプラントの葉をつかもうとすると――。
スカッ。
「「あっ/えっ」」
つかみ損なってしまった。一瞬呆気に取られたものの、もう一度平泳ぎして進むっ今度はちゃんとつかむことができた。
「やった……」
なんとかスカイプラントに戻ることができて小松もトリコもホッとした。
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邪悪な豆の木とエアゴリラの群れを抜けて、上空15000メートルぐらいまで登ってひと息付く。
「二人共、大丈夫かな……」
――思い返すのは一龍会長との約束。それはトリコもその場にいた。
『瑞貴ちゃん、お主はスカイプラントでトリコとコンビ候補と別れることになったら、絶対二人を助けてはならん』
『ええっ!? ちょっ、なんでですか!? 私も行くことになったら、助け合わないと――』
『それじゃ』
『なっ!?』
『わしはトリコやマンサムから聞いておる。お主はグルメ界で過ごせる実力を持つだけじゃなく、環境適応能力も持っておる。だからこそ、能力を持たないトリコが過酷な環境に順応するために瑞貴ちゃんが助けると修業にならん』
『でも、トリコは無事でも小松さんが……』
『心配すんなよ、瑞貴。俺が小松を守る。お前はお前自身を守れ、会長(オヤジ)の言う通り、俺の修業のためにも協力してほしい』
『トリコ……――わかった』
――そうして私は一龍会長とトリコと約束した。
これは私の忍耐を鍛えるためでもあるんだろう。アイスヘルでは結局スープよりトリコの元へ行ってしまった。『原作を少しでも覚えている私が全てを守らないと』という勝手な使命感があったんだろう。仲間を信じる強さを、私は身に付けなければならない。
「約束破ったら、承知しないからね……」
ビュオォォオオオ――!!
「っ! これは……この冷たい空気……それにこの空は!」
下から突き上げるような風と暗くなった空――それは空の怪物が現れることを意味する。
「修業にはちょうどいいってことか。それに……」
〈アオオォォオオオ!!〉
「やっぱり! この場所だと会えると思ってた!」
黒い雲の中から現れた存在に、私は笑顔になって大きく手を振った。
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……瑞貴が上空にいる間、トリコも小松も黒い雲を見上げていた。雲の隙間がまるで不気味に笑っているように見える。
「なんです……あれ!?」
「雲の化け物……『いい修業になる』だと? 人が悪いじゃねぇか、会長(オヤジ)! あれは空の立ち入り禁止区域――積乱雲だ!」
トリコの表情はこれから戦う相手に焦りと恐怖もあるが、どこかワクワクしていた。
「瑞貴……絶対に上で待ってろよ!」