天空の野菜畑・ベジタブルスカイ!
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翌日。待ち合わせ場所にはIGOが用意してくれたジェット機に乗り、目的地までのんびりしていた。景色を楽しむ小松さんとは違い、トリコなんて景気づけなのかラッパ飲みで酒を飲んでるし。
「まさかIGOが捕獲専用機を用意してくれるとはな」
「スゴい……会長さんからの直々の依頼って嘘じゃなかったんですね。感動ですね~」
「あのなぁ、信じてなかったのかよ」
昔は腕利きの美食屋だった一龍会長からの依頼なんて、小松さんは話を聞いたときから半信半疑だったんだろうなぁ。
「瑞貴さん、楽しみですね! 野菜天国か~」
「オゾン草の他にもどんな野菜があるのかワクワクするよ」
……瑞貴と話す小松を見て、トリコは一龍との会話を思い出した。瑞貴は一龍から条件を出されたと、運動後の二人に料理を振る舞うために先に屋敷へと帰ったときのことだ。
『ハッハッハッ! トリコ、お主いい料理人に巡りおうたと見えるな』
『あん?』
『ハッハッ。とぼけても様子を見てればわかるわい。瑞貴ちゃんもいい料理人じゃが……お主が頭に思い浮かべたのは違う人物じゃろ?』
『…………』
背を向けてもトリコが目を逸らしたのをわかるように、一龍は笑って正面を向いた。
『ええか、トリコ。食材を調達する美食屋にとって、それを調理してくれる料理人は何より大切な存在じゃ。自分の食材のレベルに見合った調理をこなす料理人とコンビを組み、常に一緒に旅をする』
『一緒に旅をする……』
『そうじゃ。いくらスゴい食材を調達する美食屋がおっても、それを調理できる者がいなければ、それはなんの価値もなくなる。――わしみたいにな』
『会長(オヤジ)……』
『オゾン草、楽しみに待っておるぞ!』
……トリコは今まで誰ともコンビを組んだことなかった。先ほどだって一龍の言う通り『いい料理人』という言葉で、真っ先に思い浮かべたのは瑞貴ではない。自分がコンビを組む運命となる相手は――。
「……小松、なのか?」
「えっ? どうかしました?」
「トリコ?」
「あっ……なんでもねぇよ」
「?」
誤魔化したようだけど、トリコは確実に小松さんの名前を呼んでいた。この旅がトリコに小松さんが自分にとってどんな存在かを確認させる……それは私が二人にとって――。
「っ!」
「どうした?」
「もしかして、また何か嫌な予感がしたんじゃ……?」
「小松さん。――大当たりだよ」
ガッシャ――ンッ!!
「うわあ! なんですかーこれー!?」
「窓の外を見て!」
「うええぇえええ!? トリコさ――ん!! 瑞貴さ――ん!!」
さっき感じた気配の主が大きな窓から中にいる私たちを確認した。同時に私も猛獣の正体がわかる。
「これは、捕獲レベル18の哺乳獣類・トドバード!」
「心配するな。トドバードなら捕獲網で動きを封じられる!」
トリコの言う通り、機体から放たれた網に捕まったトドバードは身動きがとれず、下に落ちて行った。
「今だ! 振り切るぞ!」
「ごめんだけど先に行くねー!」
捕獲専用機も加速し、一気に落ちていくトドバードから離れた。
それから機体も安定して周りに猛獣の気配もなくなったのを確認した。私がブレスレットから変形した薙刀の最終点検をしている間、小松さんはトリコに尋ねる。
「あの~トリコさん」
「ん?」
「さっき何か考えごとでもしてたんですか?」
「っ……なんでもねぇよ。気にするな」
「気になりますよ。教えてくださいよ~!」
「……今度からの旅の道中は、なるべく俺がお前の身を守ってやろうと思ってな」
「え~~」
「あ?」
小松さんには嬉しい言葉のはずなのに、思いっきり疑い深い目をして口を尖らせていた。
「ホントにそれが言いたかったんですか~?」
「なんだよ。じゃあもう助けねーぞ!」
「嫌です! 助けてください!」
「!」
小松さん見るトリコの表情が今までより穏やかだ。なんだかんだ言っても、トリコも今まで小松さんと一緒に旅をして思う所があったから、こうして連れて来ているんだろうな。