美食王決定戦! 究極のスイーツを探せ!
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〈ア゙ア゙ーッ!〉
「ここだ! ハニードラゴンの巣!」
「こんな上空に、しかも大きな花のような巣が……!」
まるでヒマワリみたいに葉と茎があって表面を日差しへ向けている。しかも表面は蜂の巣のように六角形が集中しているけど、その中には溢れんばかりのミツがたくさんあった。
「ココさん! ミツがあんなに!」
「牙が命のドラゴンたちも、我を忘れて食べ過ぎて虫歯になるほどハマると言う。栄養価も高いし、これでクリスが元気になればいいけど」
「そうですね。――っ!」
久々に感じた第六感の危機察知。巣は主がいないとできないもので、ミツが入っていない穴から捕獲レベル28の昆虫獣類・ハニードラゴンが出てきた。
〈〈〈〈〈ブブブブッ!〉〉〉〉〉
「この量なら何年分もある。すまないが、クリスのために少し分けてもらうよ」
「私も及ばずながらお手伝いします!」
私は力を集中させるように手に小さな竜巻を作った。薙刀に変化させたらキッスやココさんが危険だからね。
「あの毒針……刺されば一瞬で毒が回り、体がボロボロに崩れてしまう」
「サラリと恐ろしいこと言わないでくださいよ! まあ私は平気ですけど……ココさんはハニードラゴンの抗体は?」
「残念ながら持っていない。あのミツ、さすがにそう簡単には分けてもらえそうにないな」
〈〈〈〈〈ブブブブッ!!〉〉〉〉〉
そりゃあ、苦労して集めて作ったミツだからね……。とかなんとか思っていたら、ハニードラゴンがこっちに来て毒針を飛ばしてきた! 直接刺すんじゃなくてピストルのように撃つのかよ!
「瑞貴ちゃん、しっかりつかまって!」
「はい!」
飛ばしてくる毒針をキッスが華麗によけていく。だけどハニードラゴンは連携するように一列になって背後から追ってきた。
〈〈〈〈〈ブブブブッ!!〉〉〉〉〉
「素早い!」
「この動き……まるで遺伝子レベルでプログラミングされているようだ……!」
シュルシュルと両手首の包帯を取るココさんに伴い私も力を集中させ、二人そろってうしろを向く。ココさんは左手を右腕に当てて右手を伸ばし、私は逆に右手を左腕に当てて左手を伸ばした。
「ポイズンドレッシング!!」
「雪氷牙!!」
ココさんの毒と私の氷を撃ち飛ばす。この技はかつて鉄平に撃とうと思った技なんだよね。
けれどハニードラゴンに一匹も当たることなくかわされてしまった。巣に近づこうとすれば回り込まれ、今度は正面から来る。
〈〈〈〈〈ブブブブッ!!〉〉〉〉〉
「やっぱりハチミツをもらって退散、ってわけにはいきませんね」
「抗体ができるまで、体の中の毒が保(モ)てばいいけど……」
まるで軍隊のような相手に、私たちはどう戦えば……!
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「うわあぁぁあああ!!」
……それぞれが苦戦する一方、トリコと小松とテリーは転がる丸い物体から逃げていた。主に小松は悲鳴を上げながら。
「これって、登り坂ですよねー!?」
「気をつけろ、小松! こいつはただの栗じゃねぇ!」
「ええっ!?」
そう、この物体の正体は捕獲レベル21の哺乳獣類・クリマジロである。今度は栗と同じように持つイガを飛ばし始めた。
「うわー! わわわっ、わあー!」
次々と飛んでくるイガに小松は青ざめながら走っていた。
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……美食王決定戦の会場では、我こそはと次々美食屋たちが食材を持ってくるがクリスは一向に食べなかった。
「ひと口食べてみるだけでも。ほら、これも結構いい食材じゃないか」
〈グルルル……〉
ボーノがクリスの口元に食材を差し出すが、クリスは口を開くことすらしなかった。
「クリス……。僕らはいつでもなんでも一緒に分け合って食べてきた……。なのに、クリスだって食べなきゃ保(モ)たないのはわかっているはず。いったい何故急に……」
「…………」
家族が食事をしないことに悲しむボーノを見て、ティナも眉を下げる。そしてふと次の参加者に目を向けると……。
「ん? わああっ!」
「俺だ! よく見ろ、コラ!」
「トンマ?」
「ゾンゲ! いい加減覚えろ!」
なんとお馴染みのゾンゲがいた。そこまではいいのだが彼は薄い桃色のドレスを着ているので、ティナが驚くのもムリはないだろう。