至福の世界へ! 実食センチュリースープ
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〈ユユユユン!〉
「ユンちゃん……」
ギューッと強く抱きついてくるユンちゃんに、私も抱きしめ返した。
「きっとこの子も、瑞貴さんがいなくなることを望んでいませんよ」
〈ユン!〉
小松さんの言葉に力強く頷くユンちゃん。私は感謝の意味も込めて抱きしめた。
「なっ、言ったろ? あいつは『普通の人間』だって」
「……そうだな」
……鉄平は食材の違法者を何人も捕らえてきた。それ故に人を見る目は確かでもあるだろう。自分の力を熟知しているからこそ、周りが離れる恐れを抱く瑞貴の気持ちも伝わっていた。
「お嬢ちゃん」
「ん?」
「瑞貴ちゃんって呼んでもいいかな? これからもよろしくって証で」
「うん! よろしく、鉄平!」
今は瑞貴の周りに、抱きしめるユンを中心にリンとティナとクルッポーがいてみんなで笑い合っている。見ているだけで和む光景だ。
「トリコが『守りたい』って言った気持ちもわかるよ。あんな小さな体で抱える力は大き過ぎる。だからこそ、誰かがいてやらなきゃなんねぇな」
「ああ」
「なら……――俺でも問題なくね?」
「「「「「ハッ!?」」」」」
鉄平の言葉に男組は全員目を見開いた。それに構わず彼は続ける。
「いやだってさ……――力が強いのなんて危険区域には必要だし、むしろ誇らしいじゃん。そもそも瑞貴ちゃんって可愛いし俺も彼女に欲しいって思ってんだよね。ときどき怖いけどそれも彼女の魅力の一部だって思ったらなんてことないし。実は龍から戻ったときトリコたちの無事に安堵した、あの儚げな笑顔を見たらノックアウトしちゃったんだよ。料理もできて食材の知識もあるなんて再生屋の俺の彼女にピッタリじゃね?」
…………。
「……なんかしゃべれよ」
彼のおしゃべりも驚いたが、瑞貴を怖がっていたのであり得ないと思ったのに新たなライバルとなったので、一気に静まり返った男性陣たち。その沈黙に気まずいのか鉄平がそう言うのだった。
「ぼ、僕だっておじさんたちには負けませんからね」
「フンッ。年下のガキなんかより、年上の大人があいつには似合うだろ」
「「「俺たちはマッチさんを応援してます!」」」
「おや? 僕だってお姫様を譲るつもりはないよ」
「ダ、ダメです! 僕だって譲りません!」
「ったく、あいつはどんだけライバル増やせば気が済むんだよ」
ワイワイと騒ぎながら火花を散らす男性陣たち、そんな空気など露知らず遊びの約束を交わす女性陣たち。節乃は離れた場所で二つの光景を見守っていた。
「ウッフッフッ。面白いことになってきたの、あたしゃも昔は次郎(ジロ)ちゃんと燃える恋を……」
訂正。見守りつつ過去に起こった恋愛に酔いしれていた。
☆☆☆☆☆
あれからさらに数日後。マッチさんたちはネルグ街の子供たちにスープを届けに帰り、滝丸くんは愛丸さんに薬を飲んでもらうためトリコの伝言とスープと共に帰った。
私たちが作ったセンチュリースープはG7に正式に認められ、ホテルグルメは五ツ星から六ツ星ホテルにランクアップした。私は小松さんと繋がりがあることを教え、ときどき顔を出す派遣料理人という形になった。
ちなみにティナさんが撮り続けていた独占取材は部長からスープの透明度の高さゆえ何も映ってないと思い、却下されたようだ。そのとき悔しさと悲しさの泣き声と共に電話が来た。
《もお~! 部長ってば1グラムもわかってくれないの! 却下なんてありえないでしょ!》
「アハハハ……」
「おーい! 瑞貴ー!」
「瑞貴さーん! 列車が来ましたよー!」
「今行くー! じゃ、ティナさん。また今度遊んでリフレッシュしよう」
《てんこ盛り賛成! ストレス発散しまくるわ! 愚痴聞いてくれてありがとう、またね!》
「うん!」
ティナさんとの電話を終え、私はトリコと小松さんと共に列車に乗ってライフへと向かっていた。もちろん目的はサニーとトリコの腕を治してくれた与作さんにセンチュリースープを届けにね。
四人席に私は小松さんの隣に座り、トリコはお酒を持って向かいに座っている。
「ユンちゃん……」
ギューッと強く抱きついてくるユンちゃんに、私も抱きしめ返した。
「きっとこの子も、瑞貴さんがいなくなることを望んでいませんよ」
〈ユン!〉
小松さんの言葉に力強く頷くユンちゃん。私は感謝の意味も込めて抱きしめた。
「なっ、言ったろ? あいつは『普通の人間』だって」
「……そうだな」
……鉄平は食材の違法者を何人も捕らえてきた。それ故に人を見る目は確かでもあるだろう。自分の力を熟知しているからこそ、周りが離れる恐れを抱く瑞貴の気持ちも伝わっていた。
「お嬢ちゃん」
「ん?」
「瑞貴ちゃんって呼んでもいいかな? これからもよろしくって証で」
「うん! よろしく、鉄平!」
今は瑞貴の周りに、抱きしめるユンを中心にリンとティナとクルッポーがいてみんなで笑い合っている。見ているだけで和む光景だ。
「トリコが『守りたい』って言った気持ちもわかるよ。あんな小さな体で抱える力は大き過ぎる。だからこそ、誰かがいてやらなきゃなんねぇな」
「ああ」
「なら……――俺でも問題なくね?」
「「「「「ハッ!?」」」」」
鉄平の言葉に男組は全員目を見開いた。それに構わず彼は続ける。
「いやだってさ……――力が強いのなんて危険区域には必要だし、むしろ誇らしいじゃん。そもそも瑞貴ちゃんって可愛いし俺も彼女に欲しいって思ってんだよね。ときどき怖いけどそれも彼女の魅力の一部だって思ったらなんてことないし。実は龍から戻ったときトリコたちの無事に安堵した、あの儚げな笑顔を見たらノックアウトしちゃったんだよ。料理もできて食材の知識もあるなんて再生屋の俺の彼女にピッタリじゃね?」
…………。
「……なんかしゃべれよ」
彼のおしゃべりも驚いたが、瑞貴を怖がっていたのであり得ないと思ったのに新たなライバルとなったので、一気に静まり返った男性陣たち。その沈黙に気まずいのか鉄平がそう言うのだった。
「ぼ、僕だっておじさんたちには負けませんからね」
「フンッ。年下のガキなんかより、年上の大人があいつには似合うだろ」
「「「俺たちはマッチさんを応援してます!」」」
「おや? 僕だってお姫様を譲るつもりはないよ」
「ダ、ダメです! 僕だって譲りません!」
「ったく、あいつはどんだけライバル増やせば気が済むんだよ」
ワイワイと騒ぎながら火花を散らす男性陣たち、そんな空気など露知らず遊びの約束を交わす女性陣たち。節乃は離れた場所で二つの光景を見守っていた。
「ウッフッフッ。面白いことになってきたの、あたしゃも昔は次郎(ジロ)ちゃんと燃える恋を……」
訂正。見守りつつ過去に起こった恋愛に酔いしれていた。
☆☆☆☆☆
あれからさらに数日後。マッチさんたちはネルグ街の子供たちにスープを届けに帰り、滝丸くんは愛丸さんに薬を飲んでもらうためトリコの伝言とスープと共に帰った。
私たちが作ったセンチュリースープはG7に正式に認められ、ホテルグルメは五ツ星から六ツ星ホテルにランクアップした。私は小松さんと繋がりがあることを教え、ときどき顔を出す派遣料理人という形になった。
ちなみにティナさんが撮り続けていた独占取材は部長からスープの透明度の高さゆえ何も映ってないと思い、却下されたようだ。そのとき悔しさと悲しさの泣き声と共に電話が来た。
《もお~! 部長ってば1グラムもわかってくれないの! 却下なんてありえないでしょ!》
「アハハハ……」
「おーい! 瑞貴ー!」
「瑞貴さーん! 列車が来ましたよー!」
「今行くー! じゃ、ティナさん。また今度遊んでリフレッシュしよう」
《てんこ盛り賛成! ストレス発散しまくるわ! 愚痴聞いてくれてありがとう、またね!》
「うん!」
ティナさんとの電話を終え、私はトリコと小松さんと共に列車に乗ってライフへと向かっていた。もちろん目的はサニーとトリコの腕を治してくれた与作さんにセンチュリースープを届けにね。
四人席に私は小松さんの隣に座り、トリコはお酒を持って向かいに座っている。