至福の世界へ! 実食センチュリースープ
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「そういえばトリコ、髪切った?」
「ああ。左腕を生やすためにDNAが必要だって言われてな。これでも伸びたんだぜ? 切ったあとはずいぶんサッパリしてたんだよ」
「へぇ~、見たかった。でも今も前より少し短いからそっちが似合ってるね」
「そ、そうか?」
私たちは会場となるレストランを目指すため、エレベーターへと向かって行く。こういうホテルのエレベーターは広いから一度に全員入れるのはありがたいね。
「リンちゃん、そういえばサニーは? トリコの治療にひと役買ってくれたって聞いたからぜひ来てほしかったのに」
「用事あるとかでライフに残ってるし」
「あとで、持って行ってあげたら?」
「そうですね、ココさん。喜んでくれるといいな」
「あれ? ゾンビさんたちもいませんけど?」
「ライフでドクターフィッシュを獲ろうとして、捕まったよ」
「もったいないわね、あの人たち」
……瑞貴たちが和やかな会話をする中、スミスはスープ実食を断られたパッチが隣にいることがいたたまれなく、冷や汗をかきながら謝る。
「パッチ様! 申し訳ございません!」
「いや、いい。彼らが先客では仕方あるまい。また来よう」
「ハ、ハァ……」
(IGOのシェフと共にいるとはいえ、まさか舞獣姫がセンチュリースープを作ったとは……)
瑞貴の勘の通り、パッチはとある国のスラムでIGOの会長ともう一人のG7と共に、瑞貴の料理を食べたことがある。あのときは表舞台にあまり出てないため勿体ないと思ったが、伝説のスープ完成については世界の耳に届きやすい。
「それより一つ忠告を」
「?」
「スープ完成で、あのシェフたちの名は世間に知れ渡った。舞獣姫は美食屋としての実力があるからまだしも、小松シェフにこれからはボディーガードを付けることを勧めるぞ」
「えっ?」
……そう言い残して去って行くパッチに、スミスは目をパチクリした。
――貸し切りのレストランに全員移動して小松さんはコックコートに、私はいつもの服装に着替え、私たちは一つの大きなテーブルに座るみんなにクロッシュを被せたスープと飲み物を配る。
ティナさんは先にカメラで撮りたいからと少し離れた場所で立ったままだ。
「それではみなさん!」
「センチュリースープを、どうぞお召し上がりください!」
「この世の全ての食材に感謝を込めて」
「「「「「いただきます!」」」」」
そして全員がクロッシュを取ると、全てのスープからオーロラが浮かび上がった。
「ス、スゲー!」
「オーロラが出た!」
「これが、本物の!」
「センチュリースープ!」
マッチさんやラムさんやココさんや節乃さんを始め、まずは全員目の前に浮かぶオーロラを堪能していた。そして次はスープが入っている器に目を移す。
「透き通っていて、まるで何も入っていないようだ……。でも、確かにスープはある。この温もり…なんて優しいんだ……!」
「何十時間も煮込んで、適温に保ったからこそ出る温もり……。ん~……」
「なんとも言えねぇ、いい匂い……!」
「数百物の具材が、濃厚な香りのハーモニーを奏でている……!」
器に両手を当てて匂いを嗅ぐココさんと鉄平とマッチさんと滝丸くん。節乃さんもスプーンをスープの表面に当てた。
「このスープの上品な音、涼やかで心地良い音色じゃが、太古よりの重みも感じさせる。フフッ、音で満喫させよる。目で楽しみ、手の平で堪能し、鼻で頬張る、味覚以外でここまで味わえるとは……」
「「!」」
「なんとまあ、しゅごいスープ!」
こっちを見たから小松さん共々びっくりしたけど、まずは見た目で節乃さんからお褒めの言葉をもらった。
そしてついに実食。トリコもスプーンですくったスープを口に運ぶと……。
モグッ。
(えっ!? なんだ!? 噛んじまった……! 味が濃厚過ぎて、一瞬ハンバーグステーキを口に入れたのかと思ったぞ……!? 太古より積み重なったおいしさの分厚い層が、口の中でだんだんほどけて広がっていく感じだ……! 今まで眠っていた原始的味覚が、少しずつ起こされていく……!)
……口に含むだけでも自然界をイメージしてしまうほどだが、飲み込んでも味の楽しさは続いていた。
(太古の味なのに新鮮……なんて満足感……! これがセンチュリースープか!)
脳裏にはアイスヘルで見たグルメショーウィンドーが思い浮かぶ。あれは何百年の食材でできた代物だが、瑞貴と小松のセンチュリースープは新しく発見した物で作ったのだ。古来の味を引き継ぎつつ新しい時代の味に生まれ変わる。
「うまっ……!」
……うまい、と言おうとしたトリコだが口より顔の筋肉が緩んでしまって続きが言えない。
(なんだ!? 力が……! 目尻が下がり、口角が上がっていく…笑顔になろうとする顔を止められねぇ……! うま過ぎて、満足し過ぎて……ニヤけちまう~~!)
トリコを始め、滝丸くんもマッチさんも部下の三人も、リンちゃんも節乃さんも鉄平も顔がスゴくニヤけていた。ココさんはテーブルに顔を突っ伏して腕で見えないようにしていたけど、体は間違いなく震えている。
「わみゃあぁぁあああ!」
「みんな淫らな顔にー!」
思わず私と小松さんは飛び退いてしまった。ずっと我慢していたとはいえ、気を緩めたらあんな顔に私もなるとこだったんだ……! よかった、隠してて!
「ああ。左腕を生やすためにDNAが必要だって言われてな。これでも伸びたんだぜ? 切ったあとはずいぶんサッパリしてたんだよ」
「へぇ~、見たかった。でも今も前より少し短いからそっちが似合ってるね」
「そ、そうか?」
私たちは会場となるレストランを目指すため、エレベーターへと向かって行く。こういうホテルのエレベーターは広いから一度に全員入れるのはありがたいね。
「リンちゃん、そういえばサニーは? トリコの治療にひと役買ってくれたって聞いたからぜひ来てほしかったのに」
「用事あるとかでライフに残ってるし」
「あとで、持って行ってあげたら?」
「そうですね、ココさん。喜んでくれるといいな」
「あれ? ゾンビさんたちもいませんけど?」
「ライフでドクターフィッシュを獲ろうとして、捕まったよ」
「もったいないわね、あの人たち」
……瑞貴たちが和やかな会話をする中、スミスはスープ実食を断られたパッチが隣にいることがいたたまれなく、冷や汗をかきながら謝る。
「パッチ様! 申し訳ございません!」
「いや、いい。彼らが先客では仕方あるまい。また来よう」
「ハ、ハァ……」
(IGOのシェフと共にいるとはいえ、まさか舞獣姫がセンチュリースープを作ったとは……)
瑞貴の勘の通り、パッチはとある国のスラムでIGOの会長ともう一人のG7と共に、瑞貴の料理を食べたことがある。あのときは表舞台にあまり出てないため勿体ないと思ったが、伝説のスープ完成については世界の耳に届きやすい。
「それより一つ忠告を」
「?」
「スープ完成で、あのシェフたちの名は世間に知れ渡った。舞獣姫は美食屋としての実力があるからまだしも、小松シェフにこれからはボディーガードを付けることを勧めるぞ」
「えっ?」
……そう言い残して去って行くパッチに、スミスは目をパチクリした。
――貸し切りのレストランに全員移動して小松さんはコックコートに、私はいつもの服装に着替え、私たちは一つの大きなテーブルに座るみんなにクロッシュを被せたスープと飲み物を配る。
ティナさんは先にカメラで撮りたいからと少し離れた場所で立ったままだ。
「それではみなさん!」
「センチュリースープを、どうぞお召し上がりください!」
「この世の全ての食材に感謝を込めて」
「「「「「いただきます!」」」」」
そして全員がクロッシュを取ると、全てのスープからオーロラが浮かび上がった。
「ス、スゲー!」
「オーロラが出た!」
「これが、本物の!」
「センチュリースープ!」
マッチさんやラムさんやココさんや節乃さんを始め、まずは全員目の前に浮かぶオーロラを堪能していた。そして次はスープが入っている器に目を移す。
「透き通っていて、まるで何も入っていないようだ……。でも、確かにスープはある。この温もり…なんて優しいんだ……!」
「何十時間も煮込んで、適温に保ったからこそ出る温もり……。ん~……」
「なんとも言えねぇ、いい匂い……!」
「数百物の具材が、濃厚な香りのハーモニーを奏でている……!」
器に両手を当てて匂いを嗅ぐココさんと鉄平とマッチさんと滝丸くん。節乃さんもスプーンをスープの表面に当てた。
「このスープの上品な音、涼やかで心地良い音色じゃが、太古よりの重みも感じさせる。フフッ、音で満喫させよる。目で楽しみ、手の平で堪能し、鼻で頬張る、味覚以外でここまで味わえるとは……」
「「!」」
「なんとまあ、しゅごいスープ!」
こっちを見たから小松さん共々びっくりしたけど、まずは見た目で節乃さんからお褒めの言葉をもらった。
そしてついに実食。トリコもスプーンですくったスープを口に運ぶと……。
モグッ。
(えっ!? なんだ!? 噛んじまった……! 味が濃厚過ぎて、一瞬ハンバーグステーキを口に入れたのかと思ったぞ……!? 太古より積み重なったおいしさの分厚い層が、口の中でだんだんほどけて広がっていく感じだ……! 今まで眠っていた原始的味覚が、少しずつ起こされていく……!)
……口に含むだけでも自然界をイメージしてしまうほどだが、飲み込んでも味の楽しさは続いていた。
(太古の味なのに新鮮……なんて満足感……! これがセンチュリースープか!)
脳裏にはアイスヘルで見たグルメショーウィンドーが思い浮かぶ。あれは何百年の食材でできた代物だが、瑞貴と小松のセンチュリースープは新しく発見した物で作ったのだ。古来の味を引き継ぎつつ新しい時代の味に生まれ変わる。
「うまっ……!」
……うまい、と言おうとしたトリコだが口より顔の筋肉が緩んでしまって続きが言えない。
(なんだ!? 力が……! 目尻が下がり、口角が上がっていく…笑顔になろうとする顔を止められねぇ……! うま過ぎて、満足し過ぎて……ニヤけちまう~~!)
トリコを始め、滝丸くんもマッチさんも部下の三人も、リンちゃんも節乃さんも鉄平も顔がスゴくニヤけていた。ココさんはテーブルに顔を突っ伏して腕で見えないようにしていたけど、体は間違いなく震えている。
「わみゃあぁぁあああ!」
「みんな淫らな顔にー!」
思わず私と小松さんは飛び退いてしまった。ずっと我慢していたとはいえ、気を緩めたらあんな顔に私もなるとこだったんだ……! よかった、隠してて!