競争! トリコの完治か##NAME1##と小松のスープか!?
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――散々悩んだ結果、私たちはグルメタウンにある節乃食堂を尋ねることにした。もちろん私も通常の服装で。営業しているわけじゃないけど名前を言ったらすぐに節乃さんが出てくれた。
「フッフッフッ」
「せ、節乃さん。こんばんは……」
「こんな時間にすみません……」
「そろそろ来る頃じゃと思ってたよ。瑞貴ちゃん、小松くん」
中に案内してもらうと、小松さんがグルメケースに入れたスープをテーブルに置く。
「今の段階で僕らが作ったスープです……」
「味を見ていただけますか、節乃さん……?」
「若者はすぐに答えを出したがるからの」
「「す、すみません……」」
でもグルメケースのフタを開けてくれたってことは味を見てくれるんだ。よかった。
「そういえば気になっていたんですけど」
「節乃さんはあんなおいしいセンチュリースープを、いったい何日ぐらいで完成させたんですか?」
「ん~と……」
私と小松さんの問いかけを、節乃さんはスープを小皿に移しながら思い返している。
「そうじゃなぁ、だいたい……三十年くらいかの」
「「へぇ~……――さ、三十年!?」」
「わみゃあぁぁあああ! 節乃さんで三十年なら!」
「僕らはいったい何年かかるんだー!?」
「フフフッ。では、いただくじょ」
あまりにのんびり口調だったから、ついこっちものんびりしてしまったけどとんでもない年数だった! 私も小松さんも頭に両手を当てて先の遠い未来に気が遠くなりそう!
(こ、これは!)
……慌てる二人を余所に、スープをひと口飲んだ節乃は眉をしかめた。
☆☆☆☆☆
……瑞貴と小松が節乃にスープの味を見ている一方で、トリコはサニーとリンに買ってもらった食料を食べていた。サニーとリンは往復し続けたせいで疲れて花のベッドで休み、与作は別室に移動し、鉄平は食糧を食べるトリコの隣に座っていた。
「しかし……俺も長いこと師匠の再生治療を見てきたが、こんなに回復が早い患者は初めてだぞ。さすがだな、トリコ」
「どれだけ食っても腹いっぱいにならねぇ……どんどん栄養を左腕に吸い取られていく感じだ。にしても、再生の種か……まさかこんな不思議なモノが自然界に存在していたとはな」
「いや、その種は師匠のオリジナルだよ」
「あ!?」
「再生機能を促すモノは自然界にもいくつかあるが……これほど特殊なモノはない。作り方は師匠しか知らないんだ」
「へぇ~、スゲーな。初めておっさんを尊敬した。フゥ~」
本来なら回復が二十年かかるとはいえ、腕を元に戻す種を作るなど至難の作業だ。トリコは与作のスゴさを鉄平の説明で感じ取った。
ある程度は腹に溜まったのか、トリコは再び治癒ゼリーに浸かった。治すにはこの繰り返しが必要なのだと言われたからだ。
「でも鉄平って、なんで与作の弟子になったんだ? ノッキングマスター次郎っていうスゲー美食屋の血を引いてんだから、美食屋になろうとは思わなかったのか?」
「ジジイのことは尊敬してるよ。子供の頃はよく狩りに連れてってもらったし、俺も美食屋に憧れてた。だがある日、ジジイと行った場所で見た光景にショックを受けてな……」
鉄平は目を閉じて当時のことを思い出した。それは今でも昨日のように思い返せるくらい。
土地の枯渇…死んだ食材……鉄平がショックを受けたのはその光景だけじゃなく、次郎のあまりにも悲しそうな顔だった。
「昔の仲間との思い出の場所だったらしい。いつもニヤけているジジイが落胆した顔を初めてみたよ。かつての景色を、その食材を、よほど俺に見せたかったんだなぁ。そのとき思ったんだ。俺は食材を『狩る』んじゃなくて――『守ろう』と」
「それで再生屋に……」
「当時は再生屋の数も少なかった。その分死んでいく食材も多かったんだ。まあ、俺の目的はひとまず――偉大なジジイが発見した食材の保護と、ジジイが酔っ払ってノッキングしたままの生き物を解放してやることかな」
「ハハッ、そうか。たくさんいそうだな。ノッキングされた奴」
アイスヘルで見たヘルボロスもその一匹だろう。だからこそ鉄平はノッキングから解放したのだ。
「フッフッフッ」
「せ、節乃さん。こんばんは……」
「こんな時間にすみません……」
「そろそろ来る頃じゃと思ってたよ。瑞貴ちゃん、小松くん」
中に案内してもらうと、小松さんがグルメケースに入れたスープをテーブルに置く。
「今の段階で僕らが作ったスープです……」
「味を見ていただけますか、節乃さん……?」
「若者はすぐに答えを出したがるからの」
「「す、すみません……」」
でもグルメケースのフタを開けてくれたってことは味を見てくれるんだ。よかった。
「そういえば気になっていたんですけど」
「節乃さんはあんなおいしいセンチュリースープを、いったい何日ぐらいで完成させたんですか?」
「ん~と……」
私と小松さんの問いかけを、節乃さんはスープを小皿に移しながら思い返している。
「そうじゃなぁ、だいたい……三十年くらいかの」
「「へぇ~……――さ、三十年!?」」
「わみゃあぁぁあああ! 節乃さんで三十年なら!」
「僕らはいったい何年かかるんだー!?」
「フフフッ。では、いただくじょ」
あまりにのんびり口調だったから、ついこっちものんびりしてしまったけどとんでもない年数だった! 私も小松さんも頭に両手を当てて先の遠い未来に気が遠くなりそう!
(こ、これは!)
……慌てる二人を余所に、スープをひと口飲んだ節乃は眉をしかめた。
☆☆☆☆☆
……瑞貴と小松が節乃にスープの味を見ている一方で、トリコはサニーとリンに買ってもらった食料を食べていた。サニーとリンは往復し続けたせいで疲れて花のベッドで休み、与作は別室に移動し、鉄平は食糧を食べるトリコの隣に座っていた。
「しかし……俺も長いこと師匠の再生治療を見てきたが、こんなに回復が早い患者は初めてだぞ。さすがだな、トリコ」
「どれだけ食っても腹いっぱいにならねぇ……どんどん栄養を左腕に吸い取られていく感じだ。にしても、再生の種か……まさかこんな不思議なモノが自然界に存在していたとはな」
「いや、その種は師匠のオリジナルだよ」
「あ!?」
「再生機能を促すモノは自然界にもいくつかあるが……これほど特殊なモノはない。作り方は師匠しか知らないんだ」
「へぇ~、スゲーな。初めておっさんを尊敬した。フゥ~」
本来なら回復が二十年かかるとはいえ、腕を元に戻す種を作るなど至難の作業だ。トリコは与作のスゴさを鉄平の説明で感じ取った。
ある程度は腹に溜まったのか、トリコは再び治癒ゼリーに浸かった。治すにはこの繰り返しが必要なのだと言われたからだ。
「でも鉄平って、なんで与作の弟子になったんだ? ノッキングマスター次郎っていうスゲー美食屋の血を引いてんだから、美食屋になろうとは思わなかったのか?」
「ジジイのことは尊敬してるよ。子供の頃はよく狩りに連れてってもらったし、俺も美食屋に憧れてた。だがある日、ジジイと行った場所で見た光景にショックを受けてな……」
鉄平は目を閉じて当時のことを思い出した。それは今でも昨日のように思い返せるくらい。
土地の枯渇…死んだ食材……鉄平がショックを受けたのはその光景だけじゃなく、次郎のあまりにも悲しそうな顔だった。
「昔の仲間との思い出の場所だったらしい。いつもニヤけているジジイが落胆した顔を初めてみたよ。かつての景色を、その食材を、よほど俺に見せたかったんだなぁ。そのとき思ったんだ。俺は食材を『狩る』んじゃなくて――『守ろう』と」
「それで再生屋に……」
「当時は再生屋の数も少なかった。その分死んでいく食材も多かったんだ。まあ、俺の目的はひとまず――偉大なジジイが発見した食材の保護と、ジジイが酔っ払ってノッキングしたままの生き物を解放してやることかな」
「ハハッ、そうか。たくさんいそうだな。ノッキングされた奴」
アイスヘルで見たヘルボロスもその一匹だろう。だからこそ鉄平はノッキングから解放したのだ。