競争! トリコの完治か##NAME1##と小松のスープか!?
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……ライフの再生所では、トリコは与作に言われた通り治癒ゼリーに浸かっていた。
「二十年も待つのか……。こんなに髪切りやがって……!」
ガチャ。
「ただいまー」
「食料買って来たしー!」
与作の指示通りサニーとリンがたくさんの食糧を買って帰ってきた。するとサニーが治癒ゼリーに使っているトリコを見て声を出す。
「あっ」
「ん?」
「ナッハッハッハッ! んだ、お前その髪! 似合わねー! 美(ツク)しくねー! ハッハッハッ!」
「うっせーな! ほっとけ!」
「その髪も、ワイルドでイケてるし~!」
髪を切ったあとのトリコを見てサニーは涙を流すほど大爆笑をし、リンは頬を赤らめて見惚れていた。二人が帰ってきたので与作は次の指示を出す。
「トリコ、これからお前はメシを食うことが仕事だ」
「ん?」
「その種はお前の体から養分を吸収して成長する。栄養が足りないと成長しないし、油断してると……――お前は死ぬことになるぜ」
「食べることが仕事か。へへっ、何より楽しい仕事だな! ――おっ!?」
トリコは意気揚々と治癒ゼリーから出ると、筋肉質で大きかった体が一気に痩せ細った。
「「トリコ!?」」
「なっ……早い! メシを食え、トリコォ!」
与作にも予想外だったのか驚いてトリコに早く食料を食べるように言った。サニーとリンが買ってきた食材は大きな切り株に乗せたので、トリコはリンゴを一つ取った。
「い、いっただき、まーす……。モグッ……――っ!!」
ひと口食べたトリコは目を見開き、次々と食料を口に入れていく。なんとか体型は戻ったが食べないと再び痩せそうだ。
すると左腕を巻いているドクターアロエの隙間から芽が出てきた。その光景に与作はまたも驚く。
「バカな! もう腕の芽が出やがった! 通常早くても一年はかかるが……!」
「ヤベェ! 死ぬ! もっと持って来い!」
「トリコ……! こいつのグルメ細胞は……!」
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あれから三週間……私はレストランの営業時間の間は料理したり、たまにスープ作りに必要な食材を現地で捕獲している。もちろん小松さんも市場に行って食材を調達してくれている。新鮮なのがよりうま味がいいのもあるしね。
そして毎日同じように今日も営業時間の終了後、小松さんとセンチュリースープ作りを始める。
「小松さん! とげうなぎをゲットできたよ!」
「ありがとうございます! これで抜群のダシが採れますね!」
「スープ作りが始まって三週間! 小松シェフと舞獣姫は連日徹夜で作業を続けています!」
……ティナも自撮りをしつつ二人の様子をレポートしていた。ユンとクルッポーは壁に座り込んで寄り添いながら寝ている。
「一週間水に浸したステーキ昆布と、ハラミイワシ、霧シイタケも加えてと……」
「マグロ豚のとんこつ、ハム鯖の燻製、バニラニンニクとピーチレモンの皮も付け足しましょう」
それぞれの食材を鍋に入れ、よく掻き混ぜてから味見をすると……。
「違う……。バニラニンニクはいらないか」
「いい線いっていると思ったんですけどね」
――根詰め過ぎないように私たちは休憩所で休むことにした。もう他の従業員はこの辺りに来ないので私も仮面を外してひと息つく。するとティナさんが心配そうな顔をしてきた。
「瑞貴、小松くん、調子はどう?」
「それが難しくて……」
「まだまだ全然、先が見えないです……」
〈ユ~ン〉
ティナさんのあとに続いて、ユンちゃんとクルッポーが来た。
「励ましてくれてるのかい?」
〈ユユユユン!〉
「ハハッ、ありがと!」
「ねぇ、ちょっと抱っこしていい? なんか癒しが欲しくて」
〈ユン!〉
ユンちゃんに合わせるようにしゃがんで頼むと、快く了承してくれたのかユンちゃんが飛び込んできた。その優しさと温かさに癒される。
小松さんも私の隣に立ち、腕の隙間から見えるユンちゃんの顔を見て笑うと頭を撫でた。
「お前の故郷で生まれたスープ、必ず完成させるからね!」
「私と小松さんの手で! 約束するよ」
〈ユーン!〉
嬉しそうに笑うユンちゃんの口からはヨダレが垂れてきた。
「ハハッ! ヨダレなんか出して!」
「早く飲みたいのかな?」
〈ユーン!〉
……瑞貴と小松とユンの光景を、ティナとクルッポーは微笑ましそうに見ていた。
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……再びライフに戻る。勝った食料を食い尽くしたトリコはまた痩せ細ってしまった。
「うおお……もっとメシを……」
「急げぇ――っ!! 食料だ! もっと買って来ーい!」
「「わわわっ!」」
与作が急かすと、サニーとリンは慌てて追加の食料を買いに出かけた。
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もうあれから三ヶ月の月日が流れた。それでも私たちが作ったスープは一向に本物のセンチュリースープどころか節乃さんにすら追いついていない。
「節乃さんのセンチュリースープには全然及ばない……」
「何が悪いんだろう……?」
私と小松さんはいろんな食材で試行錯誤を続けていたが、一向に近づく気配がしなかった。
「スープ作り開始から三ヶ月経とうとしています……。小松シェフと舞獣姫は休まず作業を続けています……」
……厨房の外でティナは自撮りをしているが、寝不足なのか顔をしかめておりついに寝落ちしてしまった。ちなみにユンとクルッポーはすでに寝ている。
「節乃さんのスープのスゴさは、あの具材です。全部ここ百年で新発見されたものばかりでした……」
「今を代表する具材での太古の味の再現……それは先人に対するリスペクトと現代を生きる料理人のプライドからなるもの……」
「節乃さんは紛れもなく、今世紀のセンチュリースープを作っていました。僕も……僕たちも今思う食材で、今世紀のセンチュリースープを作ってみせましょう!」
「とはいえ、どうしたら……」
口で言うのは簡単だけど、三ヶ月続けているのに全然ダメだ。一筋縄どころか二筋縄……いや、百筋縄ではいかないね。