競争! トリコの完治か##NAME1##と小松のスープか!?
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ホテルグルメのレストランの営業時間が終了した。タダで厨房を使わせてもらうのは忍びないので私も調理の手伝いをし、最初は抵抗のあった小松さん以外のシェフも、私の腕前とできた料理の味で見事に了承してくれた。
そしてついに私と小松さんはセンチュリースープ作りに取り掛かることになり、私は手首を捻り、小松さんは服の腕をまくった。
「よーし!」
「やるか!」
……厨房の扉の窓では、ティナがカメラを構えてクルッポーと共にレポートを始めた。
「いよいよ、小松シェフと舞獣姫のセンチュリースープ作りがスタートします! 百年に一度のスープの味を再現できるのでしょうか!?」
ガチャ。
扉が開いた音に私たちは顔を向けると、半分顔を出したユンちゃんが寂しそうにしていた。
「ああ、ダメだよ。厨房に入っちゃ」
〈ユーン……〉
「ごめんね、集中したいの」
〈ユーン……〉
「「ごめん……」」
ユンちゃんは扉を閉めてくれたけど……あんな超絶悲しそうな顔をされたら良心が痛む! でもユンちゃんの故郷のスープでもあるから、なんとしてでも作らなきゃ!
「まず基本的な煮出し汁を作って、そこから加えていきましょう」
「うん。あんみつ鳥の鳥ガラをベースに、梅玉ねぎ…ゴールドニンジン…あられこしょうを弱火でジックリ煮込もう」
事前に二人で材料を決めておいたからね。手分けして切った食材を鍋に入れて掻き混ぜると、できた汁をそれぞれの小皿に入れて味見をしてみる。
「うん、おいしい!」
「これなら、まずは貝のうま味を足してみようか」
松茸貝、スモークハマグリ、ミルクホタテ、虹あさりを入れてもう一度煮込んで味を見る。
「う~んおいしい~! ……けど違う」
「センチュリースープとは違い過ぎますね。調味料で味を調(トトノ)えてみましょう。寿司塩がいいですね」
「七味酒も入れたら風味が増すんじゃない?」
「それもいいですね」
二つの調味料を加えて味見する。何度もしないと微妙なチョイスがわからないもんね。
「う~ん。デリシャ~ス!」
「でも……やっぱり全然違う」
私たちは顔を見合わせて頷いた。あのメンバーで味わって料理人の私たちだからこそわかる。
「センチュリースープはもっとコクがあった。何より、深みが段違いだった!」
「これはさすがに、一筋縄ではいかないようですね……」
ガチャ。
「「!」」
思案する中で再び扉が開かれる音に顔を向けると、また顔を半分に覗き込むユンちゃんがいた。
〈ユーン……〉
「ああ、ダメだよ」
〈ユーン……〉
グウ~~……。
「お腹空いたの?」
グウ~~……。
「そういや、何も食べてませんでしたね……」
ユンちゃんに続いて私と小松さんのお腹も鳴った。通常営業とスープ作りに夢中になって食事をするのをすっかり忘れてた。時計を見ればもう夜の23時20分だ。
「小松さん、今日はもう切り上げようか」
「そうですね。でも、きっと再現してみせましょう! センチュリースープ!」
「うん!」
私と小松さんは拳を握って顔を見合わせると頷いた。たくさんの人たちの期待がかかっている分、がんばらないと!
――明日の営業も手伝うことを約束し、家に帰って携帯の電源を入れると通話履歴が結構あった。ココさんにサニーにリンちゃん……うわっ、アイスヘルに行っている間にこんなにいたとは。
♪ピリリリリ、ピリリリリ♪
すると携帯が鳴った。表示は……リンちゃんだ!
「もしも――」
《瑞貴――っ!! 無事だし!? 元気にしてるし!?》
通信を繋げて耳に当てると、鼓膜が破れるんじゃないかと思うほどのリンちゃんの声が反対側の耳にまで突き抜けた。