豪快治療! 再生屋・与作登場!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ん~? お前はまだ傷が完全に塞がってねーな。ペーストピトル!!」
シンの手首の傷を見た与作はその腕をつかみ、接着性の強い唾を傷口へ吐き出した。
「うわあ! 唾かけやがった!」
「そのままジッとしていれば傷が塞がる。お前の足元まだ完全じゃあねぇだろ」
「えっ……まさか……」
「ペッ!」
与作が葉巻樹で差した次の標的が自分となったマッチは青ざめると、ドクターアロエで巻いてあった太ももに与作の唾がかけられた。しかも強めの奴らしい。
「うおおっ!? 何を引っ掛けた!?」
「ガハハハッ! 特別効く奴をを掛けてやったぞ!」
どうやらこれでマッチたちの治療は終わったようだ。与作は滝丸に顔を向ける。
「さ~て、兄ちゃんはなんだっけ?」
「っ、あっ……!」
「あ~癒しの薬だったな。全ての病を癒すと言われる薬……それは確かに存在する」
「!」
「ただし! グルメ界から入ったウィルスや病……すなわち、人間界では『呪い』と呼ばれるモノは完全に治癒することはない」
「っ!」
「つまり……あんちゃんのその目のようなモノはな」
アイスヘルでボギーウッズも言っていた滝丸の左目にある『呪い』――つまりグルメ界のウィルスによってできた症状だ。一度も左目を見せていないのに与作は見破っていた。そんな彼にトリコは心配そうに見る。
「滝丸……」
「それでも譲ってほしいか? たまたまひと粒だけあるぞ。値段は100億だ!」
「…………!」
センチュリースープの依頼主・カーネル会長が提示した報酬と同じ額だった。トリコは目を見開く滝丸に声をかける。
「その薬で愛丸の病気を治したいんだろ?」
「……トリコさんは、気づいていたんですね」
「どういうことだ?」
滝丸はアイスヘルで『誰に渡したい』かを言っていなかったが、グルメ騎士(ナイト)のリーダー・愛丸はトリコとは旧知の仲だ。少しの会話で察したのだろう。しかし事情をよく知らないマッチは尋ねる。
――グルメ時代では肉食主義や菜食主義はもちろん、海の物しか食べない海産主義や辛い物だけを食べる辛食主義のように様々な偏食家が存在する。だが……。
「愛丸は病原菌やウィルスを食っちまう特異体質の持ち主――言わば、病食主義の人間なんだ。その体質とグルメ騎士(ナイト)の施しの精神が相まって、愛丸は病気で苦しむたくさんの患者を治癒することになった」
「僕も、その患者の一人だったんです。人間界のモノではない未知の病に侵されて余命一ヶ月と言われていた……」
その病気は呪いと呼ばれ、『絶対に治らない』という理由から周りの人にも見捨てられ……滝丸はとうとう一人ぼっちになってしまった。本当に悲しいことは死ぬことなんかじゃない――最期まで一人で過ごすことだ。
「一人で泣いていた僕に手を差し伸べてくれたのが、愛丸さんだったんです」
「それで、病気は治してもらったのか?」
「ええ」
「だが、その左目は――」
「グルメ界の病気はとても厄介で完治は叶いませんでさた。でも、誰からも見放されてしまった僕の命を救ってくれた愛丸さんは、僕にとってとても大切な人なんです」
後遺症なのか滝丸の左目はその証なのだろう。だが、今の滝丸にとって左目は愛丸が孤独から救ってくれた誇らしい証になっている。
「ところが今は、そいつのほうが病に侵されちまったってわけか」
「長年人の病を治して、体に蓄積された毒が回ったんだな……」
与作もトリコも愛丸の病気の原因がわかった。医療技術で治るかわからないが、たとえ治すことができてもグルメ騎士(ナイト)の教えがあるので愛丸は拒否するだろう。だから滝丸は自然でできた癒しの薬を求め、危険区域のアイスヘルに入って依頼を完遂しようとした。
「で、どうする? 癒しの薬は」
「…………!」
試すように見てくる与作に顔を向け、滝丸は決意すると土下座した。
「ください!! お金は一生を懸けて必ず払います! お願いします! 譲ってください……!」
「呪いは治らないかもしれんが、それでも欲しいのか? ん?」
「治らないかもしれない……。でも、治る可能性が0.1パーセントでもあるのなら! 愛丸さんなら…その定説を…そのルールを……きっと、破ってくれるはずです!!」
「おおっ! よく言った!」
ダンッ!
「うわっ!」
迷いがなく絶対という意思がある滝丸の目と言葉を聞いて、与作は勢いよく床を踏みつけると木の板がシーソーのように跳ね上がり、同じ板の上にいた滝丸は飛んで与作の腕の中に入った。
シンの手首の傷を見た与作はその腕をつかみ、接着性の強い唾を傷口へ吐き出した。
「うわあ! 唾かけやがった!」
「そのままジッとしていれば傷が塞がる。お前の足元まだ完全じゃあねぇだろ」
「えっ……まさか……」
「ペッ!」
与作が葉巻樹で差した次の標的が自分となったマッチは青ざめると、ドクターアロエで巻いてあった太ももに与作の唾がかけられた。しかも強めの奴らしい。
「うおおっ!? 何を引っ掛けた!?」
「ガハハハッ! 特別効く奴をを掛けてやったぞ!」
どうやらこれでマッチたちの治療は終わったようだ。与作は滝丸に顔を向ける。
「さ~て、兄ちゃんはなんだっけ?」
「っ、あっ……!」
「あ~癒しの薬だったな。全ての病を癒すと言われる薬……それは確かに存在する」
「!」
「ただし! グルメ界から入ったウィルスや病……すなわち、人間界では『呪い』と呼ばれるモノは完全に治癒することはない」
「っ!」
「つまり……あんちゃんのその目のようなモノはな」
アイスヘルでボギーウッズも言っていた滝丸の左目にある『呪い』――つまりグルメ界のウィルスによってできた症状だ。一度も左目を見せていないのに与作は見破っていた。そんな彼にトリコは心配そうに見る。
「滝丸……」
「それでも譲ってほしいか? たまたまひと粒だけあるぞ。値段は100億だ!」
「…………!」
センチュリースープの依頼主・カーネル会長が提示した報酬と同じ額だった。トリコは目を見開く滝丸に声をかける。
「その薬で愛丸の病気を治したいんだろ?」
「……トリコさんは、気づいていたんですね」
「どういうことだ?」
滝丸はアイスヘルで『誰に渡したい』かを言っていなかったが、グルメ騎士(ナイト)のリーダー・愛丸はトリコとは旧知の仲だ。少しの会話で察したのだろう。しかし事情をよく知らないマッチは尋ねる。
――グルメ時代では肉食主義や菜食主義はもちろん、海の物しか食べない海産主義や辛い物だけを食べる辛食主義のように様々な偏食家が存在する。だが……。
「愛丸は病原菌やウィルスを食っちまう特異体質の持ち主――言わば、病食主義の人間なんだ。その体質とグルメ騎士(ナイト)の施しの精神が相まって、愛丸は病気で苦しむたくさんの患者を治癒することになった」
「僕も、その患者の一人だったんです。人間界のモノではない未知の病に侵されて余命一ヶ月と言われていた……」
その病気は呪いと呼ばれ、『絶対に治らない』という理由から周りの人にも見捨てられ……滝丸はとうとう一人ぼっちになってしまった。本当に悲しいことは死ぬことなんかじゃない――最期まで一人で過ごすことだ。
「一人で泣いていた僕に手を差し伸べてくれたのが、愛丸さんだったんです」
「それで、病気は治してもらったのか?」
「ええ」
「だが、その左目は――」
「グルメ界の病気はとても厄介で完治は叶いませんでさた。でも、誰からも見放されてしまった僕の命を救ってくれた愛丸さんは、僕にとってとても大切な人なんです」
後遺症なのか滝丸の左目はその証なのだろう。だが、今の滝丸にとって左目は愛丸が孤独から救ってくれた誇らしい証になっている。
「ところが今は、そいつのほうが病に侵されちまったってわけか」
「長年人の病を治して、体に蓄積された毒が回ったんだな……」
与作もトリコも愛丸の病気の原因がわかった。医療技術で治るかわからないが、たとえ治すことができてもグルメ騎士(ナイト)の教えがあるので愛丸は拒否するだろう。だから滝丸は自然でできた癒しの薬を求め、危険区域のアイスヘルに入って依頼を完遂しようとした。
「で、どうする? 癒しの薬は」
「…………!」
試すように見てくる与作に顔を向け、滝丸は決意すると土下座した。
「ください!! お金は一生を懸けて必ず払います! お願いします! 譲ってください……!」
「呪いは治らないかもしれんが、それでも欲しいのか? ん?」
「治らないかもしれない……。でも、治る可能性が0.1パーセントでもあるのなら! 愛丸さんなら…その定説を…そのルールを……きっと、破ってくれるはずです!!」
「おおっ! よく言った!」
ダンッ!
「うわっ!」
迷いがなく絶対という意思がある滝丸の目と言葉を聞いて、与作は勢いよく床を踏みつけると木の板がシーソーのように跳ね上がり、同じ板の上にいた滝丸は飛んで与作の腕の中に入った。