『あと、これは俺の勘だがな、鉄平』

『？』

『もうグルメショーウィンドーはダメかもしれん』

『ええっ!?　やめてくださいってば、そんなこと言うの！　師匠の勘は当たるんだから！　ハァ～……』


美食人間国宝・節乃の依頼、現場に美食屋四天王のトリコ、グルメショーウィンドーはダメになる……鉄平にとって面倒くさいことが満載である。


『万が一ショーウィンドーが死んでたら……最後のひと滴はセンチュリースープの赴くままに』

『えっ!?　スープの……赴くまま？』


そのときはどういう意味かわからなかったが、実際に現場に赴くと思うことがたくさんある。


（この大陸で、朽ちていく命……。そして、生き抜く命……）


入口にいたツンドラドラゴン、地上にいるトミーロッド。そして目の前でルイを担ぎ直すマッチ、トリコを支える瑞貴と心配する小松……それぞれを順番に見る。


「おっと」

「大丈夫ですか？」

「へへっ、スゲー技を編み出した反動だな」

「スゴい技？　なんですか、それ？」

「それより小松、瑞貴の奴が上でデッケー龍になってたぞ！」

「龍!?　何があったんですか!?」

「まあ、それは追々話すよ」


……誤魔化すように笑う瑞貴にとって、あまり詮索されたくないのだろう。鉄平はプロテクトツリーに守られているグルメショーウィンドーを見上げた。


「最後にスープが選んだのは美食會……本当にそうなのか？　なあ、センチュリースープよ……」


ゴゴゴゴゴ――……!!


「何!?」


突然の地響きにティナさんが驚くと、トリコとマッチさんと私はその原因がわかっていた。もちろん鉄平も。


「おい、あれは！」

「まだ化け物が上でやり合ってんだ……！」

「ば、化け物？」

「小松さんは見てなかったね。上で大変な猛獣が戦ってるの。トミーロッドの巨大昆虫獣類と、アイスヘルの支配者だよ」

〈クポ～……！〉

〈ユ、ユユ～……！〉


担いだままだとバランスが取れないのか、マッチさんも鉄平もシンさんとラムさんをそれぞれ降ろした。


「スープがあろうがなかろうが、結局俺らは、ここから生きて帰れないかもな……」


どちらが勝っても次のエサを求めてこちらに来るだろう。さっきは感情の暴走でなれたけど、自分の意思で私はまだ四神になれないし力がコントロールできない。どうすれば……!?