〈――ユン、ユン、ユン……〉

「君は！」

「ユンちゃん!?」

「おっ、そいつはウォールペンギン。絶滅危惧種じゃねぇか」


声が聞こえて小松さんと私を始め全員が振り向くと、悲しそうに眉を下げるユンちゃんが来た。


「どうしたの？　せっかく親に会えたのに、なんでここに？」

〈ユ……ユーンユーン！〉

「泣いてる……？　まさか！」


言葉はわからないけど涙を浮かべながら叫ぶユンちゃん。上には美食會がいるし、副料理長のトミーロッドまでいるんだ。最悪のことを考えた私と小松さんは顔を見合わせる。この子は……両親を亡くしたんだ。


「君…一人ぼっちになっちゃったの……？」

〈ユーンユーン！　――ユ？〉

「どうしたの？」

「ん？　――小松さん！　上！」

「えっ」


小松さんの腕の中で泣くユンちゃんが天井を見上げていたので私も続くと、オーロラが輝いていた。


「オーロラだ……！」

｢｢！｣｣


ポツリと小松さんが呟くと鉄平もティナさんも驚くようにオーロラを見上げる。しかしそれはすぐに消えてしまった。


「消えた……けど！」

「オーロラが見えたってことは……鉄平さん！」

「あるぞ！　スープ！」

「ホント!?」

「ああ！　少量だが、確実にある！」


オーロラを全員この目で確認した。鉄平もガッツポーズしながら立ち上がり、ティナさんも嬉しそうに声を上げた。