食の再生屋と伝説のスープの行方!
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経緯を話してくれたあと、鉄平は新しいことを書いた。えーっと『スープがないことを知ればヤツはオレたちをおいて引き返すだろう』……ハアッ!? またしてもふざけんな!
「あの会長め~!」
「現実なんだ……ホントにスープは……」
「「「「あ――っ!!」」」」
私が怒りで拳を握り、小松さんが呆然としていたら、大声が聞こえた。上を見ればよーく見たことのある四人がいるんだけど……。
「なんっだこりゃあ!?」
「ちょっ、ティナさん!」
「と、あと確か……」
「ゾンゲだ」
小松さんに間違われる前に名乗ったね、ゾンゲ。港で見たことのある女性がいると思ったら、やっぱりティナさんだったのか。
「瑞貴、小松くん、これってまさか……ウッソ……」
「「ティナさん! ダメ!」」
「オイオイオイオイ! マジかよ!?」
ティナさんの言葉は私と小松さんで遮ったけど、ゾンゲはそのまま叫ぶつもりでいる。
「せっかくここまで来たのにスープどこにもな――……があっ!」
「しゃべり過ぎだ」
「「「〈ヒイイィィイイイ/クポー!〉」」」
私たちのそばからゾンゲの元へ一気に距離を詰めた鉄平がゾンゲに指先を当てる貫手を決めた。その威力にティナさんたちは青ざめて震え上がった。
「静かにしてくれ、ノッキングしただけだよ。安心しろ」
「ハァ~……」
「攻撃じゃない分だけマシか……」
指でノッキングするなんてトリコみたい。ハラハラした私はホッと息を吐いた。
「ったく。危うくスープがねぇのがバレるとこだったぜ」
…………。
カーネル会長の支給したライタースーツは盗聴器がある。そしてそれをティナさんたちも着て至近距離だから相手に聞こえるわけで――。
「「「?」」」
「「「わあ――っ!!」」」
なんのことかわからないティナさんたちは目をパチクリしたけど、私たちは周りに反響するぐらいの叫び声を上げた。完全にカーネル会長に聞かれたよ!
「ちょっとー! 自分で言ったばっかりですよー!? 口は災いの元だって!」
「シッ! 会話はノートで――」
「もう遅いっつーの! それも口で言ってるし!」
「がっ! げっ! ごっ!」
「「ゾンゲ様ー!」」
「どうしたの瑞貴!? 小松くん!? いったいなんなの!?」
絶対カーネル会長の奴、アイスヘルから出港したよ! 帰る手段を失ったー!
「って! 何やってんですか瑞貴さん!? 薙刀構えて!」
「あのおしゃべり男に疾風斬をくらわせてやるの。あっ、小松さんの分を考えれば疾風乱舞にしようか」
「ダメです!」
「風は生ぬるいか……なら火炎弾で。いや、アイスヘルらしく氷の技で氷漬けに――」
「だからダメですって!」
本気で鉄平を叩き潰そうとした私を、小松さんは前に出て慌てて制した。小松さんが止めなかったら確実にくらわせてやったのに。チッ、命拾いしたね。
「なんか、悪寒が……」
……ライタースーツを着ても瑞貴の殺気で鉄平は青ざめて体を震わせた。