さばけ猛毒フグ鯨! 四天王ココ登場!
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「ハァ……。私がついて行ってもトリコに得することなんかないと思うのにな……」
「そんなことありませんよ。僕は瑞貴さんが一緒に来てくれて嬉しいです!」
「ありがとうございます、小松さん」
こう屈託のない笑顔で言ってくれると、心が癒されるよ……。
「って、あれ? 瑞貴さんはいつの間にトリコさんのことを呼び捨てで?」
「嫌がる人を誘拐の如く無理矢理連れて行く奴に、敬語を使う必要性が感じられませんから」
「ナルホド……タシカニ……」
呆気に取られて棒読みだけど小松さんも納得してくれた。
「でしたら、僕のことも敬語使わなくていいですよ」
「とんでもありません! 小松さんは私より年上だし、トリコと違っていろんな意味で尊敬できますから!」
「僕は年上とか年下とか全然気にしませんよ。ぜひ、お願いします!」
ここで断れって言うほうがムリな気がする……。小松さんは至って真剣だから。
「じゃあ、小松さんと言う呼び名はそのままでいいかな?」
「はい!」
「――おーい! 早くしないと発車しちまうぞー!」
せっかく和やかな雰囲気だったのに元凶がぶち壊して! 小松さんは今の私にとって癒しだ。拉致されたあとだから尚更癒されたのだ。
「はい! 瑞貴さん、行きましょう!」
「うん!」
列車に乗って大きなテーブルの席に着いた早々に、トリコは車内販売していたお酒を大量に買い占めた。どんだけ酒好きなんだよ……。
「あ~~! うめぇ!」
「それ何杯目? よく酔わないね」
「車内販売のお酒、全部飲む気ですか?」
「いや~嬉しくてな~。もうすぐ幻の魚・フグ鯨に会えると思うとよ! お前もそうだろ?」
「ええ、それはもちろん!」
……深海の珍味と呼ばれるフグ鯨が浅瀬に姿を現すのは十年に一度。ちょうど今この時期だけ。淡雪のように繊細なフグの身と、脂がのったマグロの大トロ、そして鯨の肉を合わせ持つ絶妙な味がするのだ。
「まっ、小松は食うよりもフグ鯨を捌ける奴に興味あるんだろ?」
「えっ……わかってましたか。今回トリコさんに同行させてもらったのは、フグ鯨を捌く料理人の技術を見たいと思って……。フグ鯨の体内にある猛毒の毒袋を取り除くのは難しく、特殊調理食材に指定されるほど」
「まあ、捌けるのは世界に十人といねぇ。まっ、これから会いに行く奴は料理人じゃあねぇけどな」
「――オイコラァ!」
「「「?」」」
突然怒鳴られて顔を上げると、毛皮の服を着た原始人のような男がいた。なんか『トリコ』の登場人物でスゴい見たことがある気がする。
「酒が少ねぇと思ったらこんな所にたくさんあるじゃねぇか! 舐めやがって! 俺は美食屋ゾンゲ様だぞ、コラァ!」
「ああ? フゥ……」
あっ、そうそうゾンゲだった。だけど興味がないというようにトリコはカラになった瓶をユラユラと振る。それにお構いなしにゾンゲの子分たちが声を上げた。
「やいやいやいやい!」
「見て驚けよ! ゾンゲ様の人生のフルコースを!」
「それ、横になってますよ」
「「あっ!」」
あっ、二人の名前も思い出した。子分の一人である黄色いハチマキの白川が取り出したメニュー表の向きを私が指摘すると、緑のハチマキの坂巻と共に慌てて元に戻した。
ゾンゲのフルコースメニュー――オードブル・金色イクラ、スープ・ヘビガエルの肝スープ、魚料理・ストライプサーモン、肉料理・蟹ブタ、メイン・ガララワニ、サラダ・アーモンドキャベツ、デザート・ホワイトアップル、ドリンク・エナジーヘネスィー……簡単に獲れたり買えるものばかりだ。
「……小松さん、ガララワニ以外は捕獲レベルが低いですね」
「……はい。普段僕が料理で使う食材ばっかりです」
私たちが小声で話している内容に気づかず、白川は自慢げに言う。
「そしてメインディッシュは、あのガララワニだぞ! オラァ!」
「この前捕獲したんだ。驚いたか!」
「1メートルの小型だったけどな」
思いっきり赤ちゃんじゃん。捕獲レベルも他のフルコースと同じくらいだろう。
「コラァ! 酒寄越さねぇと痛い目に――」
席からトリコが立ち上がった。トリコの身長はゾンゲより40センチ近く高い、おかげでゾンゲは面食らった顔をしている。
(結構デケェじゃねぇか……)
ポンッ。
迫力に圧されているゾンゲの肩に、トリコは優しく手を置いて叩いた。
「酒は好きなだけ持ってってくれ。悪かったね、ゾンビくん」
「オ、オウッ……今日のところは勘弁してやらぁ。ゾンゲ、だけどな……」
「ん?」
「…………」
そう言い捨ててゾンゲはお酒を何本か白川と坂巻に持たせて去って行った。
「トリコ、あれって牽制でしょ?」
「ああ。この列車はフグ鯨漁に向かう美食屋だらけ。現場では争奪戦もありえる。だから腹の探り合いはもう始まってるんだ。ここらで一発脅しをかけたってところだろうな」
「じゃあ、どうしてお酒をあげたんですか?」
「『旅は道連れ世は情け』ってな。争奪戦になることもあれば、お互いに助け合わなきゃならねぇこともあるだろうよ」
「――あ、あの~……」
「「「ん?」」」
「あっしにも酒分けてはくれませんかねぇ? ヒック」
再び聞こえた声に顔を向ければ白髪リーゼントのおじいさんがいた……って、次郎さんだ! スゴいおじいさんだってことは覚えてる。
「いいぜ」
「どうぞどうぞ」
「いっぱいありますから」
「ありがとうごぜぇます、旦那。この酒の恩はいつか……ギヘッ」
「そんなことありませんよ。僕は瑞貴さんが一緒に来てくれて嬉しいです!」
「ありがとうございます、小松さん」
こう屈託のない笑顔で言ってくれると、心が癒されるよ……。
「って、あれ? 瑞貴さんはいつの間にトリコさんのことを呼び捨てで?」
「嫌がる人を誘拐の如く無理矢理連れて行く奴に、敬語を使う必要性が感じられませんから」
「ナルホド……タシカニ……」
呆気に取られて棒読みだけど小松さんも納得してくれた。
「でしたら、僕のことも敬語使わなくていいですよ」
「とんでもありません! 小松さんは私より年上だし、トリコと違っていろんな意味で尊敬できますから!」
「僕は年上とか年下とか全然気にしませんよ。ぜひ、お願いします!」
ここで断れって言うほうがムリな気がする……。小松さんは至って真剣だから。
「じゃあ、小松さんと言う呼び名はそのままでいいかな?」
「はい!」
「――おーい! 早くしないと発車しちまうぞー!」
せっかく和やかな雰囲気だったのに元凶がぶち壊して! 小松さんは今の私にとって癒しだ。拉致されたあとだから尚更癒されたのだ。
「はい! 瑞貴さん、行きましょう!」
「うん!」
列車に乗って大きなテーブルの席に着いた早々に、トリコは車内販売していたお酒を大量に買い占めた。どんだけ酒好きなんだよ……。
「あ~~! うめぇ!」
「それ何杯目? よく酔わないね」
「車内販売のお酒、全部飲む気ですか?」
「いや~嬉しくてな~。もうすぐ幻の魚・フグ鯨に会えると思うとよ! お前もそうだろ?」
「ええ、それはもちろん!」
……深海の珍味と呼ばれるフグ鯨が浅瀬に姿を現すのは十年に一度。ちょうど今この時期だけ。淡雪のように繊細なフグの身と、脂がのったマグロの大トロ、そして鯨の肉を合わせ持つ絶妙な味がするのだ。
「まっ、小松は食うよりもフグ鯨を捌ける奴に興味あるんだろ?」
「えっ……わかってましたか。今回トリコさんに同行させてもらったのは、フグ鯨を捌く料理人の技術を見たいと思って……。フグ鯨の体内にある猛毒の毒袋を取り除くのは難しく、特殊調理食材に指定されるほど」
「まあ、捌けるのは世界に十人といねぇ。まっ、これから会いに行く奴は料理人じゃあねぇけどな」
「――オイコラァ!」
「「「?」」」
突然怒鳴られて顔を上げると、毛皮の服を着た原始人のような男がいた。なんか『トリコ』の登場人物でスゴい見たことがある気がする。
「酒が少ねぇと思ったらこんな所にたくさんあるじゃねぇか! 舐めやがって! 俺は美食屋ゾンゲ様だぞ、コラァ!」
「ああ? フゥ……」
あっ、そうそうゾンゲだった。だけど興味がないというようにトリコはカラになった瓶をユラユラと振る。それにお構いなしにゾンゲの子分たちが声を上げた。
「やいやいやいやい!」
「見て驚けよ! ゾンゲ様の人生のフルコースを!」
「それ、横になってますよ」
「「あっ!」」
あっ、二人の名前も思い出した。子分の一人である黄色いハチマキの白川が取り出したメニュー表の向きを私が指摘すると、緑のハチマキの坂巻と共に慌てて元に戻した。
ゾンゲのフルコースメニュー――オードブル・金色イクラ、スープ・ヘビガエルの肝スープ、魚料理・ストライプサーモン、肉料理・蟹ブタ、メイン・ガララワニ、サラダ・アーモンドキャベツ、デザート・ホワイトアップル、ドリンク・エナジーヘネスィー……簡単に獲れたり買えるものばかりだ。
「……小松さん、ガララワニ以外は捕獲レベルが低いですね」
「……はい。普段僕が料理で使う食材ばっかりです」
私たちが小声で話している内容に気づかず、白川は自慢げに言う。
「そしてメインディッシュは、あのガララワニだぞ! オラァ!」
「この前捕獲したんだ。驚いたか!」
「1メートルの小型だったけどな」
思いっきり赤ちゃんじゃん。捕獲レベルも他のフルコースと同じくらいだろう。
「コラァ! 酒寄越さねぇと痛い目に――」
席からトリコが立ち上がった。トリコの身長はゾンゲより40センチ近く高い、おかげでゾンゲは面食らった顔をしている。
(結構デケェじゃねぇか……)
ポンッ。
迫力に圧されているゾンゲの肩に、トリコは優しく手を置いて叩いた。
「酒は好きなだけ持ってってくれ。悪かったね、ゾンビくん」
「オ、オウッ……今日のところは勘弁してやらぁ。ゾンゲ、だけどな……」
「ん?」
「…………」
そう言い捨ててゾンゲはお酒を何本か白川と坂巻に持たせて去って行った。
「トリコ、あれって牽制でしょ?」
「ああ。この列車はフグ鯨漁に向かう美食屋だらけ。現場では争奪戦もありえる。だから腹の探り合いはもう始まってるんだ。ここらで一発脅しをかけたってところだろうな」
「じゃあ、どうしてお酒をあげたんですか?」
「『旅は道連れ世は情け』ってな。争奪戦になることもあれば、お互いに助け合わなきゃならねぇこともあるだろうよ」
「――あ、あの~……」
「「「ん?」」」
「あっしにも酒分けてはくれませんかねぇ? ヒック」
再び聞こえた声に顔を向ければ白髪リーゼントのおじいさんがいた……って、次郎さんだ! スゴいおじいさんだってことは覚えてる。
「いいぜ」
「どうぞどうぞ」
「いっぱいありますから」
「ありがとうごぜぇます、旦那。この酒の恩はいつか……ギヘッ」