芳醇なる七色の果汁! 虹の実をとれ!
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「うめぇ……うめぇよぉ……。デザート、決まりだ! 俺の人生のフルコースメニュー――『デザート』は『虹の実』に決まりだ!」
「わあっ! おめでとうございます、トリコさん!」
「ありがとな、瑞貴! 小松、スタッフ全員集めろ!」
「えっ?」
「みんなで虹の実、食おうじゃないか! みんなで食ったほうがうめぇからな!」
「は、はい!」
――それからはもう宴会騒ぎだった。お酒を片手に騒いだり、虹の実を食べて感動したりと、てんやわんや。
そんな中、私はその場から離れて壁にもたれて休んでる。お酒は飲んでないけど、少し疲れちゃった。
「フゥ……」
「ちゃんと虹の実食ったか?」
「もしかしてお疲れですか?」
いつの間にか両隣にトリコと小松さんが来た。主役のトリコとコック長の小松さんがここに来ていいの!?
「虹の実はいただきました。おいしかったです。慣れない格好だし、おいしい料理をたくさんいただきましたからお腹を休ませているんです」
「満足していただけてよかったです!」
「……一つ聞いていいか?」
「はい?」
「お前、報酬を『使えない』って言ってたよな。ありゃどういう意味だ?」
いきなり核心を突いてきますか。まあ……これは別に隠すことないよね。
「実は私、物心を付く前から施設で育ったんです。近所の人たちはとてもいい方ばかりで、畑の収穫物や料理の差し入れをしてくれたり、施設を出た方たちも援助してくれたから食事も満足に取れました。……でも、全ての国がそうとは言えません」
私がいた施設は都会ってほどじゃないけど自然が多かったから街の中でも、一角に畑や田んぼがあったんだよね。
この世界は食材に溢れているけどIGO非加盟国には安定的な食材が送られないし、グルメ税が払えない村やスラムや施設はそういかない。
「だから私は得た報酬を生活用の一部しかもらわず、残りを全て食材や生活用品にして送り続けているんです」
「なるほどな。だからドレスとか買えないって言ったのか」
「今までドレスが必要なときがなかったので。ちなみにノッキングガンは物品報酬だったんです。私自身の食糧もハントで事足りますし。付け焼き刃になることもありますが……少しでも多くの人々のお腹が満たされてほしいんです」
私がもらった報酬なんだからどう使おうが私の自由。だからこそグルメ時代の世の中、大人も子供も関係なくおいしものを食べてほしい。
「……って、小松さん! なんで泣いているんですか!?」
「だ、だって感動して……。僕も多くの人たちに僕の料理を食べてほしいって思ってますから共感しちゃって……――ん? 食材などを寄付する美食屋……」
「小松、どうした?」
「も、もしかして瑞貴さん……あの有名な『美食屋兼料理人・舞獣姫』ですか!?」
「……その名前、小松さんの耳にまで届いていたんですね」
本名を出すと平和に生きるのが難しくなりそうだから、四神が呼んでいた名を使うようになった。
普段は信頼した人たちに寄付した物の配布を頼んでるんだけど、たまに現地の国で料理を振る舞うこともあるから、『美食屋兼料理人』とも呼ばれることになった。
「その名なら俺も聞いたことあるぜ。狩りもできない村やスラム街だけじゃなく施設にまで提供する奴……しかもスゲーうまい料理も振る舞ってんだよな。一度その料理を食ってみてぇと思ってたんだ」
「でも私は料理人じゃありません。本業は美食屋なのに周りが勝手に呼んでるだけです。現地で捕獲した猛獣を捕獲して調理したものを配ってただけです。それでも限りがありますから不定期ですけどね」
「だが、スゲーことだ。うまいモンはみんなで食べたほうがもっとうめぇからな!」
「はい! 僕も立派だと思います!」
「ありがとうございます……!」
髪もセットしているせいか、トリコはポンポンと優しく私の頭を叩いた。小松さんも満面の笑みで、私はとても嬉しくなった。
「あっ、トリコさん。今回みたいに無理矢理ハントに連れて行くのはやめてくださいね!」
「小松ー! ビールおかわりー!」
「あっ、はーい!」
「無視ですか!? 小松さんも止めてください!」
(だって一緒に行きてぇし。瑞貴がいると楽しいし嬉しいんだよな)
(トリコさんに付いて行けば、トリコさんのハントが見れて、素晴らしい食材に出会えて、瑞貴さんも一緒だし、一石三鳥ですから)
……二人がそんなことを思ってるなんて露知らず、瑞貴の言い分は全て無視された。
☆☆☆☆☆
……とある場所の『CoCo占い』という店の中で、一人の男が自身の手相を見ると溜息を吐いた。
「ハァ……。参った、嫌な運勢だな。『左目の下に三本傷の男が現れる』……か。ホント、嫌な予感が……――ん?」
男はもう一度手相を見直すと、気になることが現れていた。
「『同行者に僕の運命を変える姫がいる』? なんのことだ?」
――瑞貴が美食屋四天王の一人・ココと出会う日が近づいていた。
「わあっ! おめでとうございます、トリコさん!」
「ありがとな、瑞貴! 小松、スタッフ全員集めろ!」
「えっ?」
「みんなで虹の実、食おうじゃないか! みんなで食ったほうがうめぇからな!」
「は、はい!」
――それからはもう宴会騒ぎだった。お酒を片手に騒いだり、虹の実を食べて感動したりと、てんやわんや。
そんな中、私はその場から離れて壁にもたれて休んでる。お酒は飲んでないけど、少し疲れちゃった。
「フゥ……」
「ちゃんと虹の実食ったか?」
「もしかしてお疲れですか?」
いつの間にか両隣にトリコと小松さんが来た。主役のトリコとコック長の小松さんがここに来ていいの!?
「虹の実はいただきました。おいしかったです。慣れない格好だし、おいしい料理をたくさんいただきましたからお腹を休ませているんです」
「満足していただけてよかったです!」
「……一つ聞いていいか?」
「はい?」
「お前、報酬を『使えない』って言ってたよな。ありゃどういう意味だ?」
いきなり核心を突いてきますか。まあ……これは別に隠すことないよね。
「実は私、物心を付く前から施設で育ったんです。近所の人たちはとてもいい方ばかりで、畑の収穫物や料理の差し入れをしてくれたり、施設を出た方たちも援助してくれたから食事も満足に取れました。……でも、全ての国がそうとは言えません」
私がいた施設は都会ってほどじゃないけど自然が多かったから街の中でも、一角に畑や田んぼがあったんだよね。
この世界は食材に溢れているけどIGO非加盟国には安定的な食材が送られないし、グルメ税が払えない村やスラムや施設はそういかない。
「だから私は得た報酬を生活用の一部しかもらわず、残りを全て食材や生活用品にして送り続けているんです」
「なるほどな。だからドレスとか買えないって言ったのか」
「今までドレスが必要なときがなかったので。ちなみにノッキングガンは物品報酬だったんです。私自身の食糧もハントで事足りますし。付け焼き刃になることもありますが……少しでも多くの人々のお腹が満たされてほしいんです」
私がもらった報酬なんだからどう使おうが私の自由。だからこそグルメ時代の世の中、大人も子供も関係なくおいしものを食べてほしい。
「……って、小松さん! なんで泣いているんですか!?」
「だ、だって感動して……。僕も多くの人たちに僕の料理を食べてほしいって思ってますから共感しちゃって……――ん? 食材などを寄付する美食屋……」
「小松、どうした?」
「も、もしかして瑞貴さん……あの有名な『美食屋兼料理人・舞獣姫』ですか!?」
「……その名前、小松さんの耳にまで届いていたんですね」
本名を出すと平和に生きるのが難しくなりそうだから、四神が呼んでいた名を使うようになった。
普段は信頼した人たちに寄付した物の配布を頼んでるんだけど、たまに現地の国で料理を振る舞うこともあるから、『美食屋兼料理人』とも呼ばれることになった。
「その名なら俺も聞いたことあるぜ。狩りもできない村やスラム街だけじゃなく施設にまで提供する奴……しかもスゲーうまい料理も振る舞ってんだよな。一度その料理を食ってみてぇと思ってたんだ」
「でも私は料理人じゃありません。本業は美食屋なのに周りが勝手に呼んでるだけです。現地で捕獲した猛獣を捕獲して調理したものを配ってただけです。それでも限りがありますから不定期ですけどね」
「だが、スゲーことだ。うまいモンはみんなで食べたほうがもっとうめぇからな!」
「はい! 僕も立派だと思います!」
「ありがとうございます……!」
髪もセットしているせいか、トリコはポンポンと優しく私の頭を叩いた。小松さんも満面の笑みで、私はとても嬉しくなった。
「あっ、トリコさん。今回みたいに無理矢理ハントに連れて行くのはやめてくださいね!」
「小松ー! ビールおかわりー!」
「あっ、はーい!」
「無視ですか!? 小松さんも止めてください!」
(だって一緒に行きてぇし。瑞貴がいると楽しいし嬉しいんだよな)
(トリコさんに付いて行けば、トリコさんのハントが見れて、素晴らしい食材に出会えて、瑞貴さんも一緒だし、一石三鳥ですから)
……二人がそんなことを思ってるなんて露知らず、瑞貴の言い分は全て無視された。
☆☆☆☆☆
……とある場所の『CoCo占い』という店の中で、一人の男が自身の手相を見ると溜息を吐いた。
「ハァ……。参った、嫌な運勢だな。『左目の下に三本傷の男が現れる』……か。ホント、嫌な予感が……――ん?」
男はもう一度手相を見直すと、気になることが現れていた。
「『同行者に僕の運命を変える姫がいる』? なんのことだ?」
――瑞貴が美食屋四天王の一人・ココと出会う日が近づいていた。