膳は急げ! 氷土のサバイバルレース!
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……グルメ研究所では、マンサムがウーメン梅田からの通信の報告に驚いていた。
「センチュリースープだと!?」
《ええ。美食會はすでにスープ捕獲に動き出しているとの情報が……》
「宝石の肉(ジュエルミート)の捕獲には失敗したが、奴らのことだ」
《恐らく幹部クラスが乗り込んでくるでしょう……ハンパないのが》
「今、ハンサムって言った!?」
《言ってねぇよ!》
マンサムの恒例とも言われる聞き間違いに、ウーメン梅田も先ほどのシリアスモードから一転してツッコミを入れた。
「トリコはすでにスープ捕獲に向かっているようだが、他の四天王も向かわせるべきか……。美食會、いったい誰が出て来る!?」
《そういえば、トリコちゃんの他に同行者がいるそうよ。小松シェフと――瑞貴ちゃんがね》
「何っ!?」
宝石の肉(ジュエルミート)のときも小松とリンから、スタージュンが瑞貴を連れて行こうとしたのはマンサムも知っている。ただのスタージュンの気まぐれならいいが、最悪の可能性だってあるのだ。
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……ツンドラドラゴンの元では、美食會の副料理長・トミーロッド、第4支長支部長・バリーガモン、第5支部支部長・ボギーウッズがいた。
「で、センチュリースープの在処はどこなんだい? ボギー」
「はい、トミー様。氷山に輝くオーロラが目印だと」
「じゃあさっそく向かおうぜ。ああ、他にも美食屋共がいるようですが、どうします? 副料理長」
「ん? 決まってんでしょ、バリー。――皆殺しだよ」
サラリと恐ろしいことを言うトミーロッドだが他の二人も異論はないようだ。しかしトミーロッドはふと思い出したように言う。
「ああ、でも、あの子はどうしようかな。グリンが言っていたスターの気になる女の子――瑞貴って奴は」
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翌日。センチュリースープを目指して歩き始め、トリコは再び小松さんを背負っている。だけど進む度にだんだん吹雪も強くなってきた。今は邪魔だから薙刀もブレスレットに戻している。
「みんな! 大丈夫か!?」
「ああ! まあ、うしろは俺の部下以外、全員リタイアだがな!」
「ライタースーツも、これ以上は耐えられませんよ。なんです、この寒さは!?」
「朝だってのに、太陽は雲に覆われて顔を出してない。気温は下がる一方ってわけね!」
環境適応能力を持つ私、常人より鍛えているトリコと滝丸くんとマッチさんと部下さんたち。だけど小松さんは違う……。
「トリコ、小松さんは!?」
「ヤベェな、小松……体温が奪われていってる」
「おい、何か見えてきたぞ」
「あれは!」
マッチさんの言葉に滝丸くん始め目の前に見えたのは、凍った草木だった。あっ、もしかして!
「緑の大地……ただ一瞬のブリザードで固まってしまったようですね」
「急がねぇと、俺たちもこんな風に……――って、瑞貴!?」
マッチさんの制止も聞かずに私は凍った大地向かって走って顔を巡らせる。思いがけない進化をするのは猛獣だけじゃなく草木もそうだ。だったら、何かいい食材があるかも!
「あった! トリコ!」
「おっ、こいつは……」
私が見つけたのは凍ったキノコ。その氷を一部取るとトリコがグルメスティックを当てた。予想通りの結果に目を輝かせる。
「やっぱり、ホットマッシュルーム!」
「小松、食え。少しはあったまる」
「んぐ……少し辛い…けど温まる……。なんだかホッとします……」
よかった。辛いものは体温を上げる効果もあるから、こんな場所には最適だ。ひと口だけでもだいぶ違うみたい。
「あっ…トリコさんも瑞貴さんも食べてください……」
「「えっ?」」
「今日ほとんど食べてないじゃないですか……。僕はもう大丈夫ですから……」
「小松…お前……」
「小松さん……」
「こんな状況でも、自分より人の心配をするとは……」
どんなときでも人のことを思う優しい心を持つ……それが小松さんのいい所だ。滝丸くんやマッチさんたちも感心している。
「小松、その気持ちだけいただくぜ」
「私も大丈夫。ありがとう」
「いいからお前が食えよ」
「って、無理矢理かい!」
「ムググ! トリコさん…瑞貴さん…ありがとうございます……!」
トリコはホットマッシュルームの残りを思いっきり小松さんの口の中に入れた。おかげで小松さんが涙目になってるぞ!