芳醇なる七色の果汁! 虹の実をとれ!
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「それじゃあ、今度こそ私はこれで……」
「なんでだよ!? お前も行こうぜ!」
「そうですよ! 精一杯おもてなししますから!」
「全然構いませんって。第一、五ツ星ホテルならドレスコードとかあるでしょ? 私ドレスとか持ってませんから!」
「報酬で買えばいいじゃねぇか!」
「あれは……使えないんです」
今月の生活費はトムさんに卸した分の一部で大丈夫だし、報酬は結構もらえたから食材の他に道具とか買って寄付を……。
「「使えない?」」
「あっ、えっと、とにかく遠慮します! それじゃあ!」
トリコと小松さんが首を傾げたのを見て、私は誤魔化しながら退散する……つもりだったんだけど。
ヒョイ。
「ドレスも靴も俺が買ってやる。女だし、なんなら美容師にセットしてもらえ」
「行きましょう!」
「え――っ!?」
またしてもトリコに抱っこされた私は、ノリノリの小松さんと共に第8ビオトープを出て行くのだった。
☆☆☆☆☆
あれから私は本当にトリコに一流の店でドレス一式を買ってもらった。しかもメイクや髪までプロにやってもらちゃったよ……。
「おーい。瑞貴、準備できたかー?」
「はーい! 今行きまーす!」
もうヤケになった私は別室の扉を開くと、待機していたトリコは白スーツに着替えて髪もオールバックにしていた。
「っ……!」
トリコは私を見た途端、目を見開いていた。でも私もトリコの姿に感嘆の声を上げる。
「わあ……!」
「ん? どうした?」
「トリコさんが、キッチリとスーツを着た姿を見るといつもと違うなぁって」
「そうか? ちょっと動き辛いのが難点だけどな」
「いつもの姿はワイルドでカッコいいから私は好きですが、そっちもいいですね!」
「っ!」
突然口元を手で隠したトリコに私は首を傾げる。そしたら顔まで逸らされた。何故?
(カ、カッコいいとか……反則だろ……。しかもドレスで上目遣いの挙げ句、小首まで傾げやがって……! 狙ってねぇだろうな!?)
「トリコさん?」
「いや、その、お前も綺麗だ。見違えた」
まあプロにやってもらったしね。お世辞としても素直に受け取っておこう。
「ありがとうございます。トリコさんのおかげです。でも、こんなに高いのを買ってもらって悪いので、お金は後日返しますから」
「いいんだよ。買ってやるって言ったろ。さっ、行こうぜ! 虹の実が待ってる!」
「……そこは『小松さんが』じゃないんですね」
――トリコにエスコートされて私たちはホテルグルメにやってきた。レストランは貸し切りにしているから他のお客さんが誰もいない。
次々料理が出されるけど、トリコは驚異的なスピードで食べていくから、スタッフたちも大慌て。もちろん私は自分の分を取って食べている。トリコも私の分は取らないでくれるからゆっくり食べれるんだ。
「おいしいですね!」
「ああ。さすがは五ツ星ホテル! どれもうまいぜ!」
しかし何十人前……いや、何百人前かも。それぐらい量があるのにトリコは次々食べていく。
「「!」」
突然今までとは違う香りがして私たちは顔を向けた。トリコはヨダレ垂らしているけど。
「お待たせしました。虹の実です」
移動式のワゴンで運んで来た小松さんもヨダレが垂れている……。クロッシュを開ければゼリーのような形をした虹の実が現れた。同時に香りも強くなってくる。
「なんだ!? この甘く芳醇な香りは!?」
「果汁が蒸発して虹ができてる!」
「や、やはりそのままいただくのがおいしいかと…ジュル…実の温度は五度に保ってあります…ジュル。時間が経つに連れ…温度が上がり味も…変化するでしょう……」
小松さん、気持ちはわかるけどヨダレは抑えて。あんた料理人でしょ。ちなみに私は出してません。だって女としてはヤバいでしょ、そんな光景。
「さあ、いただくぜ! この世の全ての食材に…ゴクッ…感謝を込めて…いただきます!」
「トリコしゃん…言えてましぇん……」
私から見たらどっちもどっちだけどね。さっそくトリコは虹の実をスプーンですくう。
(柔らかい! まるでプリンのようだ。だが、重い! まるで金の重さ……!)
ついに虹の実がトリコの口の中に運ばれた。
(口の中で味が四回変化した!? 完熟マンゴーを数百個凝縮したような糖度、時折顔を出す酸味は、レモンやキウイの比じゃねぇ! 五回目! 今度は甘栗のような香ばしさ! 味のデパートかよ!?)
次にトリコは虹の実を飲み込んだ。だけど虹の実の味はまだまだ終わらない。
(六回目! 喉元を過ぎてまで爆発的な存在感! 心臓を出発した血液が全身を回るのにかかる時間は約1分、それが永遠のように感じるほど、この甘みが一瞬で全身を巡り満たしやがる……!)
「「ト、トリコさん……?」」
顔を上げて動かないトリコに私と小松さんが声をかけると、トリコの両目から涙が流れる。
「なんでだよ!? お前も行こうぜ!」
「そうですよ! 精一杯おもてなししますから!」
「全然構いませんって。第一、五ツ星ホテルならドレスコードとかあるでしょ? 私ドレスとか持ってませんから!」
「報酬で買えばいいじゃねぇか!」
「あれは……使えないんです」
今月の生活費はトムさんに卸した分の一部で大丈夫だし、報酬は結構もらえたから食材の他に道具とか買って寄付を……。
「「使えない?」」
「あっ、えっと、とにかく遠慮します! それじゃあ!」
トリコと小松さんが首を傾げたのを見て、私は誤魔化しながら退散する……つもりだったんだけど。
ヒョイ。
「ドレスも靴も俺が買ってやる。女だし、なんなら美容師にセットしてもらえ」
「行きましょう!」
「え――っ!?」
またしてもトリコに抱っこされた私は、ノリノリの小松さんと共に第8ビオトープを出て行くのだった。
☆☆☆☆☆
あれから私は本当にトリコに一流の店でドレス一式を買ってもらった。しかもメイクや髪までプロにやってもらちゃったよ……。
「おーい。瑞貴、準備できたかー?」
「はーい! 今行きまーす!」
もうヤケになった私は別室の扉を開くと、待機していたトリコは白スーツに着替えて髪もオールバックにしていた。
「っ……!」
トリコは私を見た途端、目を見開いていた。でも私もトリコの姿に感嘆の声を上げる。
「わあ……!」
「ん? どうした?」
「トリコさんが、キッチリとスーツを着た姿を見るといつもと違うなぁって」
「そうか? ちょっと動き辛いのが難点だけどな」
「いつもの姿はワイルドでカッコいいから私は好きですが、そっちもいいですね!」
「っ!」
突然口元を手で隠したトリコに私は首を傾げる。そしたら顔まで逸らされた。何故?
(カ、カッコいいとか……反則だろ……。しかもドレスで上目遣いの挙げ句、小首まで傾げやがって……! 狙ってねぇだろうな!?)
「トリコさん?」
「いや、その、お前も綺麗だ。見違えた」
まあプロにやってもらったしね。お世辞としても素直に受け取っておこう。
「ありがとうございます。トリコさんのおかげです。でも、こんなに高いのを買ってもらって悪いので、お金は後日返しますから」
「いいんだよ。買ってやるって言ったろ。さっ、行こうぜ! 虹の実が待ってる!」
「……そこは『小松さんが』じゃないんですね」
――トリコにエスコートされて私たちはホテルグルメにやってきた。レストランは貸し切りにしているから他のお客さんが誰もいない。
次々料理が出されるけど、トリコは驚異的なスピードで食べていくから、スタッフたちも大慌て。もちろん私は自分の分を取って食べている。トリコも私の分は取らないでくれるからゆっくり食べれるんだ。
「おいしいですね!」
「ああ。さすがは五ツ星ホテル! どれもうまいぜ!」
しかし何十人前……いや、何百人前かも。それぐらい量があるのにトリコは次々食べていく。
「「!」」
突然今までとは違う香りがして私たちは顔を向けた。トリコはヨダレ垂らしているけど。
「お待たせしました。虹の実です」
移動式のワゴンで運んで来た小松さんもヨダレが垂れている……。クロッシュを開ければゼリーのような形をした虹の実が現れた。同時に香りも強くなってくる。
「なんだ!? この甘く芳醇な香りは!?」
「果汁が蒸発して虹ができてる!」
「や、やはりそのままいただくのがおいしいかと…ジュル…実の温度は五度に保ってあります…ジュル。時間が経つに連れ…温度が上がり味も…変化するでしょう……」
小松さん、気持ちはわかるけどヨダレは抑えて。あんた料理人でしょ。ちなみに私は出してません。だって女としてはヤバいでしょ、そんな光景。
「さあ、いただくぜ! この世の全ての食材に…ゴクッ…感謝を込めて…いただきます!」
「トリコしゃん…言えてましぇん……」
私から見たらどっちもどっちだけどね。さっそくトリコは虹の実をスプーンですくう。
(柔らかい! まるでプリンのようだ。だが、重い! まるで金の重さ……!)
ついに虹の実がトリコの口の中に運ばれた。
(口の中で味が四回変化した!? 完熟マンゴーを数百個凝縮したような糖度、時折顔を出す酸味は、レモンやキウイの比じゃねぇ! 五回目! 今度は甘栗のような香ばしさ! 味のデパートかよ!?)
次にトリコは虹の実を飲み込んだ。だけど虹の実の味はまだまだ終わらない。
(六回目! 喉元を過ぎてまで爆発的な存在感! 心臓を出発した血液が全身を回るのにかかる時間は約1分、それが永遠のように感じるほど、この甘みが一瞬で全身を巡り満たしやがる……!)
「「ト、トリコさん……?」」
顔を上げて動かないトリコに私と小松さんが声をかけると、トリコの両目から涙が流れる。