出会いの酒場! 群雄割処の美食屋達!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
☆☆☆☆☆
翌日、カーネル会長が指定した港には豪華客船並の砕氷船の前にたくさんの美食屋が集まっていた。トリコと小松さんはスーツだけど私はいつもの服装になったよ。私にとってドレスなんてハント向きじゃないしね。
「なんかバーにいる人数より集まってない?」
「噂が噂を呼ぶって奴だろ。誰かから聞いた情報に食いついたんだろうよ」
「まあ、100億ですからね……」
確かに。そんな大金を出してくれるってなら食いつくのは当然か。って、あれ?
「どうしたんですか?」
「今、海賊の格好をした人がいたんだけど、見覚えのあるような……?」
誰だかすぐに思いつかず私は首を傾げた。肩に乗っていた鳥も何かに似ていた気がするんだけど。
……トリコがいるという情報を聞きつけて変装したティナとクルッポーに、瑞貴はどこか気づいていた。
♪パラララーパラパッ♪
音楽が鳴ったと思ったら船の上からカーネル会長が台に乗って現れ、隠しマイクを通して話し出す。
《諸君らの勇気と心意気に感謝しよう!》
そう言って開けられた船への階段にトリコを先頭に私たち参加者全員は乗り込んだ。全員船内に入ったことを確認すると船は出港された。カーネル会長も行くのか……いや、行くのは『本人じゃない』みたいね。
船内にある待合室のような場所で全員が椅子に座ると、黒スーツの人たちから大きな封筒をもらった。
「なんです? これ」
「スーツ……だね。でもなんで?」
小松さんと私が封筒から取り出したのはスーツだった。確認したあとカーネル会長が一番前の教壇に立ち、背後のモニターにも自分の顔をアップさせていた。
《さて、諸君。これよりセンチュリースープの在処を教える。これから向かう場所は――『アイスヘル』! そこは別名・美食屋の冷蔵庫》
……冷凍保存の技術がなかった大昔の美食屋たちが、己のフルコースの食材を持ち寄り保存したという伝説の大陸。その中央部の氷山に数多の食材が収められている。
《その氷は先人たちが力量を保持するか如く輝きを放つ、別名・『グルメショーウィンドー』。それが百年に一度溶け出すことがわかった。燃える氷と言われるヘルメタンハイドレードの発生が原因だ。それにより解凍され、流れ出たモノが何を隠そうセンチュリースープだ!》
「「「「「おおぉぉおおお!!」」」」」
《ヘルメタンハイドレードの発生は百年に一度、故に『century soup(百年のスープ)』! なんとしても探し当てるんだ、センチュリースープを!》
長い説明も終わって配られたスーツに着替えるように言われた。男ばかりだからこの場で着替えようとする者がいるので私は見ないようにして立ち上がる。
「先に甲板に行ってるね」
「オウッ」
「わかりました」
トリコと小松さんにそう言うと廊下に続く出入口にいる黒スーツの人に、先ほどもらったスーツの入った封筒を渡す。
「これ、返します」
「おいおい。これはアイスヘルに行くのに必要不可欠のモノだぞ」
「私には必要ないですから」
不思議そうに私と封筒を交互に見る人に対し私はそう言って甲板に向かった。環境適応人間である私に防寒具は必要ないのだから。